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制度ニュース

2013年11月13日 11:20

NPO議連総会で訪米調査の結果を報告

2013年11月11日、超党派の国会議員による「NPO議員連盟」(以下、NPO議連)は総会を開催した。総会には、議員12名と秘書ら13名が参加し、訪米視察の報告とNPO法改正への方向性を検討した。

NPO議連は、9月30日から1週間の日程で訪米視察を実施した。
視察には、超党派5党から7名が参加し、米国のNPO政策に関する最新事情や課題、アメリカの先進事例、オバマ政権下でのNPO政策について視察してきた。
今回の総会はその視察での成果を、NPO議連参加議員らに報告し、NPO議連として、次のNPO法改正の内容を検討するもの。

総会は、事務局長の岸本周平衆議院議員が司会を務め、スタートした。

まず、阪口直人衆議院議員(NPO議連幹事・日本維新の会)が訪米視察での特徴的な点を報告した。

阪口議員は、「政治は、もっと現場に関わっていかなければならない。現場の弱い立場の人を政策につなげていく必要があるという問題意識を持って視察に参加した。アメリカのオバマ大統領は、大学卒業後3年間シカゴの貧困地域で社会起業家として活動した経験を持っており、この経験が、社会のイノベーションを積極的に進める動機付けになっている。アメリカのNPO活動は米国GDPの5.6%を生み出し、1370万人の雇用を創出している。オバマ政権下においては、社会イノベーション市民参加局をつくって、市民の力を公共の担い手として強化する明確な方針がある。
今回の訪米で、連邦政府、シンクタンク、財団、NPO、民間企業、大学を訪ねてきた。オバマ政権後の新しい手法の開発として、ソーシャル・イノベーション・ファンドや、ペイ・フォー・サクセス・ボンドという先駆的事業を行っている。両方とも、プロジェクトに払うのではなくて、成果に払うという流れがあること。しかし、その成果をどう評価するのか、すべてで明確な評価基準を持つのは難しいこともヒアリングした。
民間の力を巻き込むこと、市民が主体となってダイナミズムを生み出していこうという、革新的な思いを新しい手法を開発している人からは感じることができた。」と述べた。

そして、今後の課題について、「自分もNPO法人設立に関わったこともあるが、日本はNPO法人をもっと簡単に設立できるようにしなければならない。煩雑である。NPO法人の設立はスピーディーにするよう一層の緩和を行い、また、関連事業の非課税措置を実現したい。超党派のNPO議連の働きかけで、なんとか変えていかれるようにしなければならない。」と述べた。

次に、辻元清美衆議院議員(NPO議連幹事長・民主党)から、視察を受けての今後の抱負が語られた。

辻元議員は、「NPO法が施行されて、今年12月で15周年を迎える。次の改正にむけて、ひとつの区切りを迎える年となる。この度の視察では、NPO政策に先進的に取り組むアメリカの事例を学び、日本の法改正にもプラスになるようにと計画し、各党の代表に参加いただいた。すべての党に、お声がけして、7人のメンバーで超党派で行ってくることができた。9月30日から1週間弱で、貪欲にヒアリングしてきた。
今回、2011年の税制改正で実働を担っていただいたメンバーが参加することができた。今回の視察も踏まえて、日本のNPO制度が学ぶ点を各党に持ち帰り、今後、改正に向け、NPO議連として、次のに進められたらと思う。東日本大震災でNPOの活躍もあった。NPO活動の次の発展への弾みになるように改正していきたい。」と述べた。

報告を受けて、参加議員からは次のような質疑があった。

訪米参加した一人の阿部俊子衆議院議員(NPO議連事務局次長・自由民主党)は、「サラリーマンの年末控除が使えるようになると、寄付税制の利用は増えていく。超党派で頑張って参りたい」と述べた。

郡和子衆議院議員(民主党)は、「報告書を感慨深く読ませてもらった。阿部先生からの指摘も大事だし、関連事業の非課税も必要だ。制度設計には時間がかかるだろうが、いつ頃の改正を考えているのか、ゼンマイをまいて行って欲しい。」と述べた。

その後、訪米視察団に同行したシーズの松原明代表理事より、日本のNPO法の現状を踏まえて、
「1998年の施行から15年が経過し、NPO法自体が時代遅れになっている。今では、株式会社の法律も改正されて、1円会社がつくれたり、また、一般社団、一般財団の設立はすぐに行える。公益法人も実績なしで設立が可能となっている。米国は今回見てきたように、州に届出をすれば、すぐにNPO法人になれる。そして、法人設立後すぐに、内国歳入庁(IRS)に認定申請ができる。税制でも、NPOの社会的事業の成長を促すには、関連事業非課税もセットで盛り込むように、制度設計をお願いしたい。米国でも、NPOが活躍する背景を作ったのは、認定要件の緩和であり、NPO発展の土台になった。改正後、現在262法人の認定NPO法人が設立されているが、予想より少ない。一層の要件緩和を願いたい。また、現場のNPOからは、金融面での支援も必要である。特定非営利活動促進法という法の名前にあるように、「促進」に資する法律へと見直ししていただきたい。」と要望があった。

終わりに、中谷元衆議院議員(NPO議連共同代表・自民党)が「ぜひ、今後、視察で得た、日本の制度に取り入れたいとしたことを制度化していきたい。」と挨拶し、総会は閉会した。

2013年11月11日「NPO議員連盟」総会開催の様子1

2013年11月11日「NPO議員連盟」総会開催の様子2

2013年11月11日「NPO議員連盟」総会開催の様子3

2013年11月11日「NPO議員連盟」総会開催の様子4

2013年11月11日「NPO議員連盟」総会開催の様子5

2013年11月11日「NPO議員連盟」総会開催の様子6

2013年11月11日「NPO議員連盟」総会開催の様子7

2013年11月11日「NPO議員連盟」総会開催の様子8

NPO議連は、超党派の国会議員からなる議員連盟。1999年8月5日に発足した。
2001年のNPO支援税制(認定NPO法人制度)創設を推進した他、2003年の特定非営利活動促進法(NPO法)改正に当たって、議員立法での改正を実現するなど国会でのNPO/NGOのカウンターパートとして活動している。
共同代表は、中谷元衆議院議員(自由民主党)および、江田五月参議院議員(民主党)が務める。

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