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制度ニュース

2014年03月27日 14:28

川田議員、参院で税額控除方式の維持を訴える

3月13日、参議院財政金融委員会で、結いの党の川田龍平参議院議員が、質問に立ち、認定NPO法人等への税額控除制度の見直しについて、政府に、税額控除方式の堅持を訴えた。

これは、昨年末の与党税制改正大綱で、「寄附金税制については、税額控除方式を適用する場合の対象範囲等についての考え方や、控除の選択制の適否を含めた控除方式のあり方について、総合的に検討し、早期に結論を得る」とされる文言が入ったことで、税額控除制度が、廃止や縮小されるのでは、というNPO側の懸念を受けたもの。
また、川田議員は、認定における所轄庁による審査のバラつきについても、これを是正するように要望した。

財務金融委員会で質問する川田龍平議員

財政金融委員会でのやりとりは以下の通り。

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今日は、このNPOの関連で質問をしたいと思います。
この認定NPOなどに対する寄附税制というのが、二〇一一年の税制改正で所得税の寄附金控除の制度に税額控除方式が導入されました。これによって、従来行われてきた所得控除方式と選択制となったわけでありますが、これは全国のNPOの間で大変歓迎をされておりまして、小口の寄附金を多く集めていくというこの国の寄附文化を大きく変えるという一歩と評価をされ、徐々に定着しつつあると認識しています。
ところが、昨年末に策定されました与党の税制改正大綱の検討事項の四として、「寄附金税制については、これまでの制度拡充の効果等を踏まえ、所得控除による対応を基本としている所得税において税額控除を適用する場合の対象範囲等についての考え方や、控除の選択制の適否を含めた控除方式のあり方等について、主要国の制度も参考にしつつ総合的に検討し、早期に具体的な結論を得る。」との文言が入りました。
これについて、このNPOの法人関係者やこの公益法人関係者からは、政府・与党がこの税額控除制度の廃止、縮小を目指しているのではないかという心配の声が多く寄せられていますので、大臣に幾つか質問をさせていただきます。
与党の税制改正大綱の検討事項は、文部科学省から、私学が税額控除の対象となっているのに国立大学は対象になっていないというので対象にしてほしいという要望が出されたことがきっかけとなったと聞いておりますが、実際はどういう経緯だったのでしょうか。

○副大臣(愛知治郎君) 川田先生、初めてのこの委員会での質問ということで、いろんな、様々な角度からここで議論をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
御質問あった寄附金控除について、これは与党の税制改正大綱についての、文科省からの要望に関わっての実際の経緯についてお尋ねがございましたけれども、文部科学省からは、学校法人への個人寄附に係る税額控除の要件の見直し、また国立大学法人等への個人寄附に係る税額控除の導入等について要望がございました。これに基づきまして、平成二十五年度税制改正法附則に沿って検討を行いまして、所得控除による対応を基本としている所得税において税額控除を適用する場合の対象範囲等の論点について、まずは基本的な考え方を整理する必要があるというふうに判断したところであります。
このような考え方を与党における平成二十六年度税制改正の議論においてもお示しいたしまして、検討がなされた結果、御指摘の与党大綱の方針が決定されたと承知しております。
その中の議論なんですけれども、公益社団、財団法人、学校法人、認定NPO法人などは民間の資金で運営される団体でありまして、寄附金について手厚い対応を行う観点から税額控除が採用をされております。一方で、公的な資金で運営されている国立大学法人への寄附金に税額控除を適用するには慎重な意見もあり、与党税制改正大綱において、先ほど申し上げたとおりの整理とされたところであります。

○川田龍平君 この寄附金税制というのは、社会保障を公費だけで賄うことが困難となってきている中で、民間による共助の活動を支える重要な制度であり、一層拡大することは目指すことはあっても、縮小することはあってはならないと考えております。
この国の寄附文化を発展させるべきことについての大臣の御見解を伺います。

○国務大臣(麻生太郎君) これは川田先生御存じのように、日本では寄附文化というのは育っていない文化の一つですよ。多分、先進国の中で最も進んでいないと思いますね。
その上で、経済社会の中でこれ民間による公益活動の果たす役割というのは高まっておりますのはもうはっきりしていますので、そうした中であって個人の寄附、個人の寄附というのの重要性というのは非常に大事なものだと認識をしておりますので、これまで行ってきた累次の寄附金税制の拡充の効果というものが発揮されて、民間の公益活動に対する寄附というものには、これは効果があるということが証明されると私どもとしては更にやりやすいなと思っております。

○川田龍平君 税額控除と所得控除の選択制というのがありますが、これが煩雑だという声もあるとのことですが、それを言うのであれば、実は政党や議員の後援会への寄附金控除というのもかねてより選択制になっているのであって、こちらも煩雑で問題だということになってしまうのではないでしょうか。
政党や政治家だけが特別扱いとなっては世論の反発を受けるのは必至と考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) これは、御指摘のように、NPOに対しますいわゆる寄附金につきましては、税額控除、所得控除のいわゆる選択制が認められているのですが、これにつきましては、昨年の税制改正プロセスにおいて、納税者にとっての効果の分かりやすさということから、簡単に言えば、納税者にとってそれぞれの制度の下での控除額は計算しないと各々幾らのメリットがあるか分からぬわけですから、そういった点が論点になった。その結果、平成二十六年度、先ほど愛知先生の話にありました税制改正大綱において、控除の選択制の適否を含めた控除方式の在り方について総合的に検討するというふうに記載をされたという経緯だと承知をいたしております。今後の検討の方向性について、まだ、今言えるような段階ではとてもありません。他方、政党や後援会に対する寄附金控除の在り方につきましては、これは政治献金の在り方に密接に関連するものでありまして、これにつきましては、ちょっと政治献金の在り方に関するいわゆる公党間のいわゆる様々な御議論の中で取り扱われるもので、ちょっと財務省としてこれに対して発言するのは控えさせていただきたいと存じます。

○川田龍平君 是非、この選択制ということで、これが煩雑だといっても、税額控除で最低幾らになるかは分かるわけですし、特に確定申告のときには、国税庁のウエブサイトにおいてどちらが優位な方かというのは自動的に判断をされます、選択されます。
いずれにせよ、寄附金税制の更なる拡充はあっても、選択制をやめるということやこの対象範囲を狭めるなどの縮小ということはしないことをここで是非確認したいと思いますが、大臣の前向きな答弁をお願いします。

○国務大臣(麻生太郎君) これは、寄附金控除につきましては、平成二十五年度の改正法の附則に沿って検討を行って、その結果、所得控除による対応を基本としている所得税において税額控除を適用する場合には、その対象範囲の論点についてまずは基本的な考え方を整理する必要があると判断をされたところであります。
これは、今後、早期に具体的結論を得るとした与党大綱の方針を踏まえて、望ましい寄附金税制の在り方につきまして今後とも総合的に検討してまいりますので、したがって、現段階で見直しの方向性について今言及できる段階にはありませんので、先ほど申し上げましたように、こちらの方が効果があるんだという証明をしていただくと我々としても御要望に沿いやすいと存じます。

○川田龍平君 これは、大臣、是非、少なくともNPOに対する税額控除は守っていただきたいと思います。
次に移ります。
今、内閣府では全国のNPOが検索できるサイトというのを持っていますが、団体名が検索できるだけで、地域や分野ごとに活動内容まで一覧で表示できる仕組みにはなっていません。こんな分野でこの地域で活動しているNPOに寄附をしたいと思ったときに簡単に情報を得られるような工夫を更にしていただきたいと思います。
この苦労して取得した認定NPO法人格の価値を高めるためにも、寄附文化を広げていくためにも、このような機能を持ったウェブサイトを是非構築すべきじゃないかと考えていますが、内閣府、いかがでしょうか。

○政府参考人(林崎理君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、内閣府及び都道府県、政令市は、NPO法人に関するデータベースの整備を図り、国民にインターネット等を通じて迅速に情報を提供できるよう必要な措置を講ずるものというふうに法律の七十二条で規定をされておりまして、私ども内閣府におきましても、今御紹介あったNPO法人ポータルサイトと呼ばれます全国のNPO法人の基礎情報等を検索できるシステムを管理しております。
このシステムの中で、一覧という意味でいきますと、寄附金控除の対象となる認定NPO法人、この一覧を都道府県、政令市別に各掲載はしておるところでございます。そして、そのサイトの中では、NPO法人が法人の活動分野や活動内容について一定の内容を登録、自らですね、できるようなそういうシステムにもしているところでございますけれども、今御指摘があったように、それではそういった分野で一覧的に見られるかというと、なかなかまだそうなっていない現状でございますので、寄附を検討される方々にとっても更に使いやすいサイトとなるように今後とも検討してまいりたい、こう考えております。

○川田龍平君 是非、大臣、担当部署が人も予算も足りないということだそうですので、これまで聞いての御感想を是非お願いします。

○国務大臣(麻生太郎君) キーワード検索ができないという話だろう。簡単には、キーワード検索ができないということだな。

○川田龍平君 一覧の表示ができない。

○国務大臣(麻生太郎君) だから、そのキーワードを入れたら全部その地域の中でできるようにしてもらわなきゃいかぬと。もう少し、遠回しに言わぬで分かりやすくぱっと言った方がいいよ。役人じゃないんだから分かりやすくぱっと言わにゃ。キーワード検索ができるようにしてくれという話を総務省に言えばいいんだと思いますので、検討させます。

○川田龍平君 ありがとうございます。具体的にありがとうございました。
認定NPO法人制度に関しては、二〇一二年の四月から新制度に移行して、認定の審査業務が国税庁から都道府県、政令市に移管されています。それから約二年、確かに認定件数、認定要件が緩和されたことによって認定数は伸びてはきているようですが、しかしながら、国税庁で認定を受けられたNPO法人が都道府県だと認定を受けられなかったり、国税庁では四か月程度で終わったものが審査期間が八か月も掛かったりと、改悪になった面もあると現場のNPO法人から意見が出ています。
また、実地審査も都道府県や政令市によってばらばらで、一日で終わらす都道府県もあれば、三日も掛けたり、会計帳簿を全部持ち帰るといった県さえあると聞いています。これは明らかにやり過ぎではないでしょうか。認定を取りやすくするという制度改正の趣旨が十分踏まえられていないとしか言いようがありません。
都道府県の認定担当者に聞くと、制度の引継ぎに関して国税庁から実地審査の方法が十分情報をもらえなかったという趣旨の話もあるようですが、これ、国税庁、内閣府、両府省の見解はいかがでしょうか。

○政府参考人(藤田利彦君) お答え申し上げます。
平成二十四年四月に、国税庁から都道府県や政令指定都市に認定NPOの審査事務が移管されましたけれども、移行に際しまして、その前の年であります二十三年の九月から平成二十四年の五月にかけまして、四度にわたって行われました各都道府県等の事務方を集めました内閣府主催の説明会に国税庁の担当者が出席いたしまして、延べ二十三回出席いたしました。審査手続に関する事務の流れ、あるいはチェックポイントなど、国税庁において有します一般的な審査事務に関するノウハウについて具体的に説明をさせていただいたところでございます。
そういう意味で、それまで認定を行っていた立場として、必要な引継ぎは我々十分に行ったものと認識しておるところでございます。

○政府参考人(林崎理君) 今、国税庁さんの方から御紹介がありましたとおり、引継ぎに当たりまして二十三回ほど都道府県及び政令市の実務担当者向けの説明会等を行ったという状況でございますし、また、私ども内閣府におきまして、都道府県、政令市の実務担当者との意見交換会、これを定期的にかなりの頻度でこれまで実施してきておりますけれども、これまでNPO法人の認定審査事務に関する内容のばらつき等といったことは特に議題になってきていないというのが実態でございます。
御指摘のようなこともございますので、まず現状把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。

○川田龍平君 内閣府の方では、都道府県や政令市による審査方法、内容のばらつきを把握しているのでしょうか。把握しているのであればその状況を公表すべきですし、把握されていないのであれば早急に把握して状況を公表していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(林崎理君) 先ほど申し上げたとおり、定期的に都道府県、政令市の実務担当者との意見交換会を行ってきておりますけれども、私ども、そういったことをこれまで実は耳にしたことがございませんでした。
そういったこともございますので、今の御指摘踏まえて、まずは現状把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。

○国務大臣(麻生太郎君) 川田さん、簡単に言うと、これ内閣府で人が足りないんですよ、絶対量が。これ実際やっているのは総務省だから、いや、昔でいう自治省。地方がやりますので、内閣府に言われても、それはなかなか人の絶対量が足りないから、それは総務省との間の連携をきちっとやるような手間、段取りというのをちょっとお考えにならぬと、これは今後ともなかなか進まぬと、そういうふうに思いますね。

○川田龍平君 是非、連携をつくっていただいてやっていただくということでお願いします。
ただ、法律で権限がないからできないとかではなく、やっぱりまず実態を把握するということをまず進めていただいて、その上で本当に格差是正が必要か判断するべきだと思います。そのためにも、いろんな意見を門前払いするのではなく、内閣府にNPOからの相談窓口を設置すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(林崎理君) 御承知のとおり、先般のいわゆるNPO法の改正、これは、NPO法人と日常的に身近に接し、その活動内容を的確に把握できる都道府県や政令市にNPO法人の認証・認定事務を一元化すると、こういう趣旨で行われたものと承知しておりますので、やはり、相談窓口という今お話でしたけれども、地域地域で活動されているNPO法人からの相談というのは一義的にはそういった所轄庁たる都道府県又は政令市が対応すべきものというふうに考えておりまして、一方で、私ども内閣府におきましては、法を所管する立場から、各所轄庁と定期的に、先ほど来申し上げているとおり、意見交換を行うという形で様々な問題点等を吸い上げる努力をしておりますし、また、相談に応じるということではございませんけれども、法律を
踏まえまして、先ほど御紹介ありました内閣府のホームページでNPOに係ります基礎情報や法制度等々情報提供に努めていると、これが現状でございます。

○川田龍平君 時間ですので、ちょっと質問が最後に飛びますけれども、是非、国税庁さんの方、今まですごくよくやってくださっていたということですので、是非、定期的に内閣府が開催している都道府県のブロック会議に国税庁の現場職員にも是非ボランティアで出席してもらって、専門的なノウハウを少なくともあと数年間は継続的に都道府県に伝える役割を担っていただけないでしょうか。

○政府参考人(藤田利彦君) お答え申し上げます。
先ほど来、内閣府の方から御答弁ありますけれども、まず、具体的にどのような問題が生じておるのか制度所管官庁でございます内閣府における実態の把握、分析、それを踏まえた上で、国税庁として追加的に対応すべき部分があれば、対処方法も含めまして内閣府とよく調整し、適切に対応してまいりたいと考えております。

 

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