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制度ニュース

2014年10月27日 18:32

シーズ、「どうなっちゃうの?NPO税制」を開催

2014年10月9日、NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会は、若手NPO法人や社会起業家ら9団体(※)と共に、「市民活動を後押しする認定NPO法人制度が危機に?優遇税制見直しをめぐり各党議員が激論 シンポジウム“どうなっちゃうの?NPO税制”」を衆議院第2議員会館で開催した。

今回のシンポジウムは、昨年の税制改正大綱および今年4月の政府税調において、現行の寄付税制見直しの議論があることを受け、制度後退は困ることを訴えるべく開催したもの。シンポジウムには、NPO議員連盟所属の各党議員が登壇し、NPO税制の後退阻止を表明した。当日は、定員50人を大幅に上回る100人の参加があり、関心の高さをうかがわせた。

シンポジウム“どうなっちゃうの?NPO税制”開催の様子

まず、シーズ代表理事の松原明が、NPO税制とNPO法改正に関しては、3つの懸念があることを説明。認定NPO法人制度の4つのメリットのうち3つ、1)みなし寄附金、2)企業の寄付金の損金算入特別枠、3)税額控除が見直しの俎上に上がっていること。また、NPO法は、2015年3月が見直しの期限となっており、設立から5年以上たった法人でも仮認定NPO法人に申請できる特例の有効期限が切れてしまうことを説明した。そして、10月9日からは、与党税制協議がスタートし、いよいよ来年度予算編成の議論が始まっており、今年12月までの議論の行方に注目されたい旨を話した。

続いて、コーディネーターの認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏にマイクがバトンタッチされ、各党議員とのディスカッションが行われた。登壇議員の発言を紹介する。

NPO議員連盟 代表
自由民主党 中谷 元 衆議院議員
1998年に成立したNPO法により、現在日本には49173のNPO法人が存在する。保健、医療または福祉の増進を図る活動が全体の57.6%、社会教育の推進を図る活動が47.6%等、社会活動がNPO法人によって繰り広げられており、第2の公共となっている。市民自らが社会活動に取り組むためのサポートを行いたい。今日(10月9日)から自民党内での税制の議論がスタートしているが、「NPOの優遇税制はやはり必要だ」という議論にもっていきたい。
NPO法改正についても政府としては前向きに取り組んでいる。内閣府の専門部署において、NPO法改正を検討しており、設立認証手続きの迅速化については、現在縦覧制度が2か月あるものを短縮か廃止する。仮認定の制度の申請期限5年以内を廃止するか、特例の延長をする等、真剣に検討して、実現しようとしているところである。また、融資の拡大についても、現在NPO法人においては個人からの借り入れが7割で、銀行・政府機関からは1割である。NPOへの理解が不十分であることを示しており、ご理解をいただくとか、充実していこうと政府はしている。

NPO議員連盟 事務局次長
公明党 谷合正明 参議院議員
公明党として、税控除を少なくしようと大綱に盛り込んだことはない。昨日も、斉藤鉄夫税調会長に寄付金税制の今後について伺ったところ、継続させたいという意向であった。このことを皆さんの前でも伝えてもらいたいとのことだったので報告する。
昨年、NPO議連でアメリカ視察に行き、広い意味でのNPOが網の目のように仕事をしているのを見てきた。経済産業政策の中で、信用保証制度があるが、今は一部のNPOにしか利用できなかった。特定の団体だけではなく広く、信用保証制度を認める必要がある。
また、NPOの皆さんには、税額控除が選択できこの制度を活用するための運動をしてほしい。もっと社会にPRして、政府がやましいことを考えていると危機を募らせるよりも、世界に誇る寄付金税制を国民に知らしめて欲しい。

NPO議員連盟 事務局長
民主党 岸本周平 衆議院議員
かつて財務省の主税局に務めていたが、国家財源の為に増税するのが仕事であった。NPO法人の優遇税制、ましてや税額控除のような50%のキャッシュバックがある制度は他にはなく、こんな税制を作らさせられたことがとても悔しいのだろう。
税制ができてよかったという情報は既にあるが、現在の700の認定NPOの数が大きいか小さいか、欧米と比べればお話にならないくらい小さい。もっと良くしていくよう、来年はNPO法改正を行いたい。

NPO議員連盟 幹事長
民主党 辻元清美 衆議院議員
安部総理が、「女性が輝く社会」、「地方創生」を実現したいというならばNPO税制は必要である。2013年度の中小企業白書によると、一般企業の女性起業家が17.3%であるのに対し、NPO法人の女性起業家は53%。7割のNPO法人において女性の就業率は8割以上、また100%女性職員というNPO法人も4割あった。税制優遇を排除するなど、女性をいじめるような政策はやめていただきたい。地域のまちづくり、商店街の活性化、介護等を頑張って支えているのはNPO法人であり、地方創生の観点からも、NPO法人の税制を後退させてはならない。

NPO議員連盟 幹事
みんなの党 山内康一 衆議院議員
NPOで勤務し資金集めをしていた経験を持つ。政府の寄付金税制にかかる懸案は、2つある。営利企業の税金を減らすためにNPOから税金を取るのは、時代に逆行している。ふるさと納税は税額控除方式であり、評判のいい制度ではあるが、寄付文化をゆがめている。700万所得のある人が3万円を寄付して、28000円が帰ってきたうえに、自治体から1万円相当のメロンが送られる。今の政府はふるさと納税を増やす方向でいるが、こんな余裕があるならNPOの税制を良くしてくれと訴えていく。寄付文化への理解がない。

NPO議員連盟 幹事
社会民主党 党首 吉田忠智 参議院議員
3兆円の財源をどこから確保する課は大きな議論であるが、法人税の引き下げは企業の内部留保を生み出すだけである。ローカル版アベノミクスの提案4に、「NPOの力を活用する」とある。自民党というよりも、財務省がやりたいのだろう。政治の力で跳ね返していかなければならない。NPOの皆さんの要望事項である、税制優遇措置を拡充していかねばならない。

会場からは、「優遇税制の改正をすべきかの議論の際には、効果の検証が必要と思慮するが、それがどこまで行われているのか?現場のグッドプラクティスについていの情報収集をどれだけしているのか。」と、自団体が認定になることで活動の拡大に有効になっている旨の発言があった。

最後に、認定NPO法人フローレンス 代表理事 駒崎弘樹氏は、
「今日は各党の議員の方々から、NPO税制は大丈夫とご発言を頂いた。しかし、制度はどうなるのか、不安もある。我々が声を上げて、世論を高める。制度に甘えず、制度を使いこなし、社会を良くするための国民運動を繰り広げていかなければならない。」として、引き続きこの問題について関心を持ってほしい旨を訴え、閉会となった。

(※)「シンポジウム “どうなっちゃうの?NPO税制”」主催者
認定NPO法人フローレンス、認定NPO法人育て上げネット、認定NPO法人カタリバ、NPO法人エティック、NPO法人ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京、一般社団法人ジャスト・ギビング・ジャパン、NPO法人日本ファンドレイジング協会、NPO法人G-net、一般社団法人RCF復興支援チーム、NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

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