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NPO法人が総会を開催する時に気をつけておきたいこと

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NPO法人にとって、総会は最高の意思決定機関です。年に一度、必ず開催しなければなりません。必要な決まりは定款に細かく書かれていますが、きちんと確認したことがありますか?
せっかくひらいた総会が、小さな不注意で、実は無効であった!なんてことにならないように、開催のポイントを確認しましょう。

ビフォーアフター

ビフォー

総会の開催方法ってどこに書いてあるのかわからない!昨年のことを思い出したり、よその団体に聞いたりしながら、毎年なんとなく終わらせている。正しくできているのか不安。

アフター

総会の開催に必要な決まりは、定款を読めば書いてあることがわかった。準備から報告までの流れを抑えて、新入職員でも、安心して計画的に進めていける!

手順

1. 総会の議決事項を確認する

総会は、NPO法人にとって最高の意思決定機関で、その役割やルールは、必ず定款に記載されています。総会では何を話し合うのか、まずは議決事項を確認しましょう。一般的には、定款の「会議」という章に、「総会の権能」という条文がおかれ、議決事項が列挙されています。
NPO法人は、年に一度、必ず総会を開催しなければなりませんが、多くの法人が、事業報告と決算の承認を、総会の議決事項としており、決算を終えて3か月以内に開くことが多いでしょう。総会で承認を得てから、事業報告書・会計報告書を所轄庁へ提出し、法務局への登記も行います。

2. 総会の準備で気をつけること

総会の決まりは定款に書いてあります。NPO法が認める範囲で、各法人が自由に定めていますので、他法人の事例は参考にとどめて、自分たちの定款を必ず確認します。準備の手順と注意点は次の通りです。

(1)参加資格の確認
総会の構成員、つまり議決権を持っているのは誰なのか、定款の条文「総会の構成」を確認しましょう。一般的には、正会員と呼ばれる会員(NPO法上の社員)に議決権を与えています。数と名前を明らかにしたら、会員の資格を有しているかどうかも確認します。定款の条文「会員の資格の喪失」に書かれた条件に当てはまる会員は、例え名簿に残っていても、構成員には数えません。

(2)日時決定と会場予約
 総会の議長や議事録署名人となる人が、出席可能な日を設定し、会場を予約します。定款の条文で「総会の議長」や「総会の議事録」を確認しましょう。議長や議事録署名人は、総会に出席した人の中から選出するとだけ書かれている場合は、当日その場で決定しても差し支えありませんが、例えば、代表理事が議長になる等の特別の定めがある場合、その人が欠席すると総会が開けません。

(3)議題の決定
 定款の条文「総会の権能」に列挙された議決事項の中から議題を設定します。その時に話し合う必要がないことは、議案にしません。

(4)招集通知の作成
 定款の条文「総会の招集」を見れば、招集通知に記載すべき事項、誰の名前で、いつまでに、どのような方法で、届けるべきかがわかります。細かなルールですが、これを守らなければ、総会が成立しませんので、特に注意が必要です。
定款の条文「総会の表決権等」にも書かれている通り、会員が総会に出席できない場合、事前に表決をしたり、あるいは当日出席する誰かに表決を委任したりする権利が、NPO法で認められていますので、会員の議決権を無駄にしないよう、そのこともぜひ案内しましょう。出欠を知らせてもらう返信の様式に、書面表決や委任の意志も示せるようになっていると、丁寧です。

(5)議案書の作成
 総会招集の際、審議事項を知らせるために、議案書もあわせて発送しますが、その提案内容は、適正な手続きを経て決定されたものでしょうか。定款の条文「事業計画及び予算」「事業報告及び決算」等、議題にまつわる条文を見つけ出し、決まりを確認しておきましょう。
例えば、事業報告・決算の場合は、理事長が作成し、監事の監査を受けて、総会に提出するという流れが一般的。理事長の責任の下で作成し、理事会でよく検討の上、監査を受けてから、総会に提案する過程には時間がかかります。発送期限に余裕をもって、慌てずに準備したいものです。

(6)会場や受付の準備
 招集通知や議案書の発送まで終われば、一段落。ひとやすみしてから、受付名簿など当日の持ち物を準備します。出欠返信の集まりが悪い場合は、電話やメールでお願いします。当日来られない人にも、書面表決や委任の意志表明を依頼し、出席者を確保しましょう。

3. 総会当日に気をつけること

総会当日は、会場準備の他、会議の進行と議決のルールを確認しておき、速やかな議事進行に努めます。

(1)定足数の確認
 定款の条文「総会の定足数」を確認して、開始の際に、総会の成立を宣言します。一般的には、議決権を持つ会員総数の2分の1、または3分の1以上の出席をもって成立する場合が多いようですが、この割合は、各法人が自由に決められます。定款の条文「総会での表決権等」にもある通り、事前に表決した人や表決を委任した人も出席とみなしますので、落とさないよう計算します。

(2)議決事項の確認
 議決のルールも、定款の条文「総会の議決」「総会での表決権等」で確認できます。例えば、出席者の過半数をもって決することや、ある議決事項について特別の利害関係を持つ会員は、その議決に加われないこと等が書かれており、これに従って承認・不承認を判断します。なお、定款の変更、解散、合併については、手続きが異なるので要注意。定款の各該当条文を参照してください。
また、特別の定めがない限り、議決事項は、あらかじめ通知した事項に限ります。会員に知らせていない議題を、当日勝手に追加することはできません。

(3)議長・議事録署名人の選任
 進行の準備が整ったら、議長や議事録署名人を選任して、議事を進めます。

(4)議事録の作成
 開催の証として、議事録を残さなければなりません。定款の条文「総会の議事録」をみると、必ず書かなければならない記載事項がわかります。これらを落とさないように、当日の記録にあたります。終了後は、会場を片づけて解散!

4. 総会終了後の報告など

総会終了後は、忘れないうちに経費の精算を済ませましょう。そして、議事録を完成させたら、最後の仕上げに、大切な報告事務が待っています。

(1)所轄庁への報告
 事業報告や決算が承認されたら、定められた書類を、事業年度終了後3か月以内に所轄庁に提出し、同時に法人の事務所にも備えおかなければなりません。提出を怠ると、20万円以下の過料が科せられる場合もあるので(NPO法違反)、期限を守って提出しましょう。
また、役員変更があった場合には届出が、定款変更があった場合には、届出または認証申請が必要です。詳しくは、各所轄庁にご確認下さい。

(2)法務局への手続
 決算承認後、速やかに、資産の総額(正味財産の額)を登記します。つい落としがちな登記事項ですが、毎年忘れずに登記しましょう。
 役員変更があった時にも登記が必要です。ただし、NPO法人は、代表権を持った役員のみ登記事項ですので、該当しない理事の登記は不要です。なお、代表権を持つ理事が再選された場合、人が変わらないから登記は不要という声をたまに耳にしますが、それは間違えです。一度任期を終え、新たなに同じ人が選出された際には、その登記が必要です。忘れずに行いましょう。
 また、定款変更を行って、法人名や事業などの登記事項に変更があった場合には、その登記も必要です。詳しくは、お近くの法務局にお問い合わせ下さい。

コツ

総会は、活動に賛同する人々の集まりで、NPO法人の最も基礎となる部分。ただし、その構成は法人によって様々で、大きく2つ、総会主導型と理事会主導型に分類できます。それぞれに適した総会の設計があり、これを間違えると、苦労が絶えません。
総会主導型は、法人運営にも積極的に関与する会員を中心に総会を構成するタイプ。総会の議決事項を多く、権限を持たせます。比較的人数が限られた意欲的な会員で、総会を開きやすい法人に向いています。
一方、総会の構成員が多く、年に何度も総会が開けない場合、法人運営の実務は理事会が担うことになります。これが理事会主導型で、運営を停滞させないためにも、理事会の議決事項を多く、総会の議決事項を少なくしておくことがポイントです。しかし、実態はこのタイプなのに、定款は総会主導型という法人は意外と多く、迅速な組織決定が必要な事態では大変苦労します。NPO法では、定款の変更、解散、合併の3点は、必ず総会で決めなければならない事項とされており、他は理事会に移すことが可能です。ぜひ、理事会主導型への定款変更を検討しましょう。

NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

1994年11月創設。1998年のNPO法成立、2001年の認定NPO法人制度成立、そして2011年6月の制度大改正を市民側からリード。市民活動を支える制度を勝ち取ってきました。NPOの個別サポートプログラムを4月からスタート。これからのシーズは、「基盤整備の時代」から「NPOの成長と成果の時代」を目指します。

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本記事は、2014年04月10日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
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