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NPO法人の監査の方法~監事の役割を理解しよう

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NPO法人を設立する際に役員として理事3人以上、監事1人を置くと定められています。どのNPO法人にもいる「監事」さんは、NPO法人の監査をする役割がありますが、その監査はどんなふうにしたらいいでしょうか?

NPO法人の監事を選ぶ際に、どんな人が適任でしょうか?
もしも、あなたが「うちのNPOの監事になって!」と頼まれたとき、どんな役割を果たしたらいいのでしょうか?
監査をしてなにか重大な不正などを発見したら、どうしたらいいのでしょうか?

監事の役割を理解しながら、NPO法人の監査のやり方について、見ていきましょう。

ビフォーアフター

ビフォー

監事になったけど、監査ってどうやるのかわからない。

アフター

監事の役割を理解して、業務監査と会計監査を行い、役割がちゃんと果たせる。

手順

1. 監事の役割を理解しよう

監事の職務については、特定非営利活動促進法第18条に書かれています。

第18条 監事は、次に掲げる職務を行う。
1 理事の業務執行の状況を監査すること。
2 特定非営利活動法人の財産の状況を監査すること。
3 前 2 号の規定による監査の結果、特定非営利活動法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを社員総会又は所轄庁に報告すること。
4 前号の報告をするために必要がある場合には、社員総会を招集すること。
5 理事の業務執行の状況又は特定非営利活動法人の財産の状況について、理事に意見を述べること。

つまり、監事が監査をするのは、法人の業務および会計であること。そして、監事は、NPO法人の監査をして、法令または定款に違反していることを発見したら、総会を招集したり、所轄庁に報告するという重大な役割があることがわかります。

2. 監事になるのはどんな人が適任か

業務面と会計面の両方が監査の対象ですから、両方を監査する、監査できる人が適任です。「監事は、税理士や会計士などの専門家にお願いしたらいいですか?」というご質問もいただきます。しかし、税理士・会計士は会計面では詳しくても、法人運営の他の面では必ずしも詳しいとは言えませんから、業務面の監査は専門外かもしれません。そんなときは、例えば、監事を2人(複数人)で担ってもらっても良いでしょう。

※確認※
監事は、社員(NPO法でいう議決権をもった会員)を兼ねられますが、理事や職員を兼ねることはできません。監事には、理事の業務執行をきちんとチェックするする役割がありますから、同じ人がやることはできません。

3. 業務監査のポイント

業務監査は、法律に則って運営されているか、定款に則って運営されているか等を中心に見ます。

いくつか業務監査における代表的なポイントを挙げます。
・通常総会をNPO法または定款の定めに従って開催しているか?
(通常総会は年に1回以上、NPO法では事業年度終了後の3ヶ月以内に開催とあります)
・総会の招集はNPO法または定款の定めに従って開催しているか?
(NPO法では通常総会は総会の5日前までに議決事項を知らせなければなりません)
・総会は定足数を満たして、成立しているか?
(各法人の定款にて定足数を定めています)
・理事会は定款や会の規則に基づいて開催され、議事録がとられているか。
・事業報告書を毎年、事業年度終了後3ヶ月以内に提出しているか。
(3ヶ月以内に発送すれば良いのではなく、3ヶ月以内に所轄庁に届いてなければなりません)
・資産の総額の変更は、変更があればその都度登記しているか。
・法人税などの滞納はないか。 等

監査は、通常総会の前に行うことが通例ですが、それだけでは、不十分です。
理事会に参加して、意見を述べたり、また会の行うセミナー・イベントなどにも参加するなどして、業務の遂行状況を確認しましょう。

4. 会計監査のポイント

会計監査は、会計が適切に行われているか、また会の経営状況についても見ます。

いくつか会計監査における代表的なポイントを挙げます。
・決算が理事会で承認されているか。
・期末の現金・預金残高があっているか。
・借入金をする際に、適切な会議体により決定され、返済の計画通りに返済しているか。
・支払いの帳票など証拠書類はきちんと保存されているか。
・NPO法人会計基準を準拠している場合は 等

監査は、通常総会の前に行うことが通例ですが、できれば、事業年度が終了する前にも一度事務所を訪問するなどして、決算する前の状況を確認しておきましょう。監査の際、会計報告書だけを見るのではなく、事業報告書と内容が一致しているかも監査しましょう。

(参考)NPO法人の監事の監査チェックリスト
http://npoatpro.org/kaikeitools/audit.pdf

5. 監査報告書を作成して提出します

監査を実施した後は、監査報告書を作成します。報告書には、監査を行う上でとった方法、監査の結果、監査により行った指摘事項があればその内容、そして、監査の結果、会の業務執行状況と財産の状況が適正に報告されているかを書きます。この報告書は、総会の議案書に入れ、会員に監査の結果を報告します。

書き方のサンプルを写真に示します。

写真:シーズの2013年度監査報告書(参考)

6. もしも不正や違反を見つけたら

万が一、不正や違反を見つけた場合はどうしましょうか。その時は、社員総会で報告する、所轄庁に報告する、必要に応じて、社員総会を招集します。

コツ

・監査の範囲は、業務監査と会計監査です。
・監査の際は、事業報告に記載している内容と会計報告の内容が一致しているかを確認しましょう。

NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

1994年11月創設。1998年のNPO法成立、2001年の認定NPO法人制度成立、そして2011年6月の制度大改正を市民側からリード。市民活動を支える制度を勝ち取ってきました。NPOの個別サポートプログラムを4月からスタート。これからのシーズは、「基盤整備の時代」から「NPOの成長と成果の時代」を目指します。

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本記事は、2014年04月10日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
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