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助成金申請書を書く前にー助成財団の特徴を研究する方法

助成財団の特徴は様々な分類ができる

助成金申請の際に陥ってしまいがちなのが、自分たちの活動を理解してもらいたいという熱い思いが先走ってしまうこと。どこの助成財団に申請するかについての検討は十分だったでしょうか。
実は、助成財団にも得意・不得意な分野や事業があります。まずは助成財団の特色を研究して、どこに申請するか(しないか)の判断をしましょう。

ビフォーアフター

ビフォー

私たちは、学生ボランティアが活躍し自ら成長できるようなプログラムを開発し、10年間やってきた。最近寄付金も減ってきている。今から一番締切が近い募集は日本財団だから、とりあえず申請するだけしてみよう。

アフター

他の助成財団と比較すると日本財団は学生ボランティアへの支援に力を入れているようだ。私たちのプログラムと合うかもしれないから、日本財団への申請を検討しようか。

手順

1. 助成金申請を検討している事業の特徴をできるだけ多く書きだす

事業の特徴を、たとえば「大学生を対象としている」「高校生は対象としていない」「大学生の中でも、社会変革を進められるリーダーを想定している」「多くの大学と連携している」など、できるだけ多くリストアップします。

2. 助成金・補助金・寄付金を出す団体の特色を研究する

Webサイト等を使ってまずは検索。支援事業一覧を見れば一目瞭然です。一団体の上限金額、支援している団体の地域、分野等をさらっと見てみましょう。できれば複数年の一覧を入手できれば流れが分かります。

日本財団の支援先事業一覧
http://www.nippon-foundation.or.jp/what/grant_recipients/

3. 日本財団は「支援の柱」として重点的な支援分野を公開しています

毎年、年度が始まる4月頃から次年度の支援の柱になるものについて調査を始めます。そして、9月中旬には公式サイトに掲載し、10月から募集を開始します。申請いただく事業はどんなものでも構いませんが、支援の柱に全く関係のない事業だとハードルは高くなります。

4. 日本財団の審査の視点①先駆的な取組み、または、ユニークな手法により、今後、他のモデルとなる事業

既にどこでも行われているような事業よりは、これまでになかった課題解決の仕方や仕組み等がある事業の方が採択されやすいです。全国のNPO団体等を対象にしているので、同様の課題解決に取り組む他団体に波及できるようなモデルとなる事業が求められます。

5. 日本財団の審査の視点②前例にとらわれない方法により、旧来の仕組みを変えていく事業

職員も常に意識していることです。前例にとらわれない斬新なアイディアで社会を変えていこうとする、新しく若いパワーを求めています。

6. 日本財団の審査の視点③社会的インパクトが大きい事業。また、広く一般に事業の重要性を周知する工夫がされている事業

会員限定のセミナーや受益者が限られている事業よりは、広く周知・啓発できるような事業の方が優先されます。※事業によって異なります

7. 日本財団の審査の視点④事業の目標が明確であり、目標を実現するための事業計画・資金計画が適正かつ合理的である事業

助成事業が効果的に行われるかどうかのひとつの指標が、目標・目的に対する評価です。また、目標と事業計画が一致しているかどうかも審査で判断します。資金計画については、助成事業終了後もあわせて判断します。

8. 日本財団の審査の視点⑤助成事業終了後も自主的に継続、発展させていく具体的な計画がある事業

新規事業の立ち上げ時に助成金を利用する団体は多いと思いますが、審査担当者は助成金がなくなった後にその事業が継続していけるかどうかを、審査のひとつのポイントにしています。それには具体的な事業と資金調達の計画と戦略も必要となります。

9. 日本財団の審査の視点⑥事業を行うことで、団体の公益活動が拡大・発展することが期待できる事業

これまで継続的に地道に実施してきた事業を、資金難になったためそのままの形で申請するというケースがありますが、こうした事業は採択されにくいです。助成金を使って大きく仕組みを変えたり、受益者を一気に拡大させる等、大きな戦略をもって事業をつくり申請してください。

10. 助成金の種類には事業型と研究型がある

学会や研究者等がある特定の分野を研究する際の経費についての補助金、助成金は、大きなところでは文科省の科学研究費がありますが、日本財団の国内の事業部ではどちらかというと現場の事業に対する補助の割合が大きいです。特色の違いで、良い事業でも採択できないことは多いので注意が必要です。

コツ

重点的な支援分野は年によって変わります。一度自分たちと合わないと思った助成財団でも、数年後には状況が変わることもありますので、定期的に情報収集をしてみてください。

日本財団 枡方瑞恵

日本財団 公益・ボランティア支援グループ公益チーム。上智大学文学部卒業。芸術振興、地域活性化事業、植樹事業等を担当。東日本復興支援では、地域伝統芸能復興基金(まつり応援基金)の設立から携わり、被災者の心の拠りどころである芸能等を支援。

サンクス

著者のご好意によりボランティアで記事を執筆いただきました。枡方瑞恵様に御礼申し上げます。


本記事は、2014年03月17日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
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