トップページに戻る

実績判定期間を無駄にしない役員の選任と構成方法

008 02

認定基準には申請団体の「役員」に関する基準が多く存在します。他のテーマで説明している役員との取引をはじめ、役員個人に関するものや役員の構成比率に関するものなどがある関係で、役員の選任は重要なテーマの一つです。また、役員に関する基準も実績判定期間中からずっと満たしている必要があり、原則的には1日でも抵触していると認定取得はできません。特に「特定法人の役職員の割合」に関する基準は要注意で、多くの団体がこの基準に後から気付き、「もっと早く知っておけば」と後悔しています。ここでは、こうした役員基準を踏まえ、スムーズに認定取得できる役員選任・構成方法を学びましょう。

ビフォーアフター

ビフォー

●役員基準を意識せず役員を選任してしまい認定取得が3年先になってしまう。
●認定申請時に役員の役職調査が進まず、申請書類の作成ができない。

アフター

●役員基準への対策ができ、実績判定期間を無駄にせずに申請できる。
●役員の役職調査もスムーズに終わり、申請書類もサクサク作れる。

手順

1. 役員に関する認証・認定基準を知る。

「認定」の基準の中で、役員に求められるものとしては、個々の役員に関するもの(主に欠格事由)と、団体の役員構成全体に関するもの(親族関係者や特定法人関係者の割合など)の2種類があります。これらは、NPO法人設立時の「認証」の基準にも似たようなものが盛り込まれている項目が多いのですが、先ほど述べた「特定法人の役職員の割合」だけは認定基準特有であるため、注意が必要です。

10

2. 「特定法人の役職員」の割合について深く知る。

認証時には全く意識されないことから、認定時に多くの団体が苦しめられるのが「特定の法人の役員・従業員が1/3以下であること」です。役員の中で、同一法人の役員や従業員の割合が1/3を超えると認定を取得できません。役員がそれぞれ別の法人で勤めていれば問題ないのですが、全員が同じ会社の従業員だと基準に抵触します。本当に多くの団体が、この基準を満たせないために、認定取得できずにいます。十分に注意してください。なお、当然のことですが、自団体は含まれませんので、皆さんの団体の役員1/3以上が、職員を兼ねていても問題はありません。

役員基準で判定対象となるのは、他のNPO法人との兼務だけでなく、営利・非営利関係なく「法人」の役員・従業員です。株式会社や一般社団・財団法人、社会福祉法人、学校法人、各種組合、自治体等が含まれます。

10

3. 現在の役員に対して、調査をする。

役員の基準を押さえた上で、次に具体的な調査に入ります。まずは、現在の役員体制が基準を満たしているかを確かめます。皆さんの団体の現任の役員(理事・監事)に対して、実績判定期間(過去2事業年度)から調査時点までで「他の法人の役員や従業員である(だった)かどうか」「役員や従業員である(だった)場合は法人名と就任・退任年月日」を調査します。これらの調査結果は実地調査時に証拠書類として確認されることもあるので、口頭ではなく、なるべく書面・メール・ファックスなどの形で行うようにしましょう。

この際にあわせて「親族・特殊関係者」や「欠格事由」に該当しない旨も確認しておくとベターです。この機会に、役員に関する基準の内容も役員に周知しておきましょう。

4. 現状で基準を満たすかどうか確認する。

調査結果をもとに、現状で認定基準(特に特定法人役職員の割合)を満たすかを確認してみます。めでたく、現状は基準を満たしているようなら、次のステップとして退任役員の調査に進み、残念ながら満たしていない場合は役員変更を検討します。

5. 過去の役員に対しても調査をする。

先ほどのステップ3.で行った調査を、今度は実績判定期間(過去2事業年度)から調査時点までに「就任していた期間はあったが、現在は退任している役員」に対して行います。こうした役員がいない場合は飛ばしてもOKです。

6. 調査結果に応じて、対策を検討します。

現任役員と退任役員の調査を踏まえて、実績判定期間(過去2事業年度)から調査時点までの役員基準の状況を整理します。この間を通して、1.で述べた基準を満たしているようであれば、基準はクリアです。現任役員はクリアしていても、過去の役員体制時に満たしていない期間があった場合は、残念ながらその事業年度は実績判定期間としては使えません。

【認定基準を満たしていた場合】
基本的には現状を維持すれば大丈夫です。しかし、何らかの理由で役員が退任したり、役員の勤務先が合併するなど予期せぬ理由で、基準に抵触する可能性もあります。その際は、次のステップに進み、役員変更を検討します。

【認定基準を満たしていなかった場合】
次のステップに進み、役員変更を検討します。その際は、役員の任期と事業年度とのズレに注意してください。多くの団体の役員任期は事業年度と一致しません(例:事業年度は4月~3月だが、役員任期は7月~6月)。そのため、6月の総会でせっかく役員体制を満たすように整えても、3ヶ月(4月~6月)だけ満たしていない期間がはみ出してしまい結果としてその事業年度がまるまる使えないことになります。

認定取得の優先順位にもよりますが、場合によっては一時的な役員辞任や臨時総会開催による選任なども選択肢となります。

D1f7b72244ac11a859d6c3eeaf6a98e1 s

7. 役員候補者を検討し、事前に役職調査をします。

3.で調査した現任役員の状況を踏まえて、新しい役員候補者を検討します。当たり前ですが、現任役員と勤務先就任先がなるべくかぶらないような方を選任する必要があります。NPO法人の役員は担い手も少なく、候補者選びは苦労も多いかと思いますが、なんとか頑張ってください。

候補者が決まったら、その方に事情を説明の上、念のため事前に3.で調べたような役職調査を行っておきます。この資料も認定申請時の書類作成に必要な証拠となります。

8. 総会や理事会などで新役員を選任する。

定款で定められている権限に従って、総会や理事会で役員を選任します。役員選任後の役員変更届の提出などの手続きも忘れないようにしてください。

コツ

役員基準を早めに知り、役員に周知する。満たしていない場合は任期と事業年度のズレに注意して、役員を選任する。役員候補者にも役職調査に協力してもらう。

NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

1994年11月創設。1998年のNPO法成立、2001年の認定NPO法人制度成立、そして2011年6月の制度大改正を市民側からリード。市民活動を支える制度を勝ち取ってきました。NPOの個別サポートプログラムを4月からスタート。これからのシーズは、「基盤整備の時代」から「NPOの成長と成果の時代」を目指します。

スポンサー


本記事は、2014年04月11日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
ChangeRecipeではあなたのNPO活動における知識や体験談を必要としています
あなたが活動するなかで苦労したことやそれを乗り越えるために行ったノウハウは、他の地域で活動している方がとっても必要としてます。
あなたの投稿で日本の社会変革のスピードを加速してみませんか?