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新!特別連載コーナー

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第二回 ロビンフッド財団 (Robin Hood Foundation)

コーナーのご紹介:

 2002年5月、シーズは国際交流基金日米センターの助成を受けて米国を訪問し、米国の NPOや財団、そして企業は寄附をどのように捉えているのか、またNPOは募金のためにどのような努力をしているのかを調査してきました。

 この特別コーナーでは、10回にわたってこの調査旅行で出会ったNPOや財団の募金担当者(fundraiser)、また企業の社会貢献担当者のインタビューをご紹介します。米国ならではの考え方もありますが、日本のNPOが参考にできるところもたくさん見つかるはずです。

 この調査発表は、国際交流基金日米センターの助成事業です。


第二回 ロビンフッド財団 (Robin Hood Foundation)

(2002年5月2日訪問)

 第二回目は、ニューヨークのロビンフッド財団をご紹介します。

 日本の助成財団というと、NPOなどに助成金を出しているけれど、自分たちで募金活動をしている、というイメージはあまりありません。けれど、米国では財団も積極的に寄附を集めています。そして、寄附収入からNPOに助成金を出したりしているのです。ロビンフッド財団もそうした財団のひとつです。この財団の2000年の収入は、約3400万ドル(約41億円)でした。

 ロビンフッド財団は、ニューヨークの貧困問題に取組むために1988年に設立されましたが、非常にユニークな特徴があります。一つは、助成金を出すことを「投資」と考えていることです。投資ですから、ロビンフッド財団は、助成金が何に使われ、どういう変化をもたらしたか、明確な数字を求めてきます。つまり、投資に見合った、あるいはそれ以上の成果が求められ、数値で計られるのです。

 また、この財団の一般管理費は、すべて理事の寄附で賄われており、一般の寄附者の寄附金は全てプロジェクトに使われます。これも、寄附金募集の時のアピールのひとつになっています。米国では、寄附を「変革のための投資」と捉える考え方がここ数年生まれてきており、これを「ベンチャー・フィランソロピー」と呼んでいますが、このロビンフッド財団も、ベンチャー・キャピタル的な考え方で助成事業を行っています。

 お話を伺ったのは、特別事業ディレクターのロンニ・タナーさんと、寄附開発ディレクターのローレンス・ジョーンズさんらです。以下は、伺ったお話をまとめたものです。

 ロビンフッド財団の事務所にて。左から2番目がロビンフッド財団のロンニ・タナーさん。その左は、日本からの調査団メンバーの黒田かをり、タナー氏の右は調査団メンバーの松原明と、リチャード・フォレスト。


 「ロビンフッド財団は、ウォールストリートのビジネス界の人たちによって設立されましたので、財団もビジネス的なアプローチで取組んでいます。

 ロビンフッド財団は、ニューヨーク市内で貧困問題と闘っている96のNPOに助成金を出しています。助成プログラムは、教育、青少年の育成、幼少児の発達、職業訓練、そして生活支援などに関するものです。

 例えば、ホームレスの人々を対象とした食事提供、エイズ感染者のための住居提供プロジェクトなどですが、本当に多岐にわたります。

 いくつか具体的に紹介するとすれば、まず、ニューヨーク市内の公立学校の図書館の再活性化プロジェクトが挙げられます。このプロジェクトでは、建築家、その他の専門家の方々が知識や時間をボランティアで提供してくれました。それに、アップル・コンピュータ社からコンピューターの寄附も受け、6〜8ヶ月かけて図書館をよみがえらせました。

 プロジェクト着手前の公立学校の図書館と、プロジェクト後の図書館。きれいになった図書館の壁には、このプロジェクトに寄附した個人や企業の名前が見える。

 その他にも『読書の庭(reading garden)』をつくって、生徒たちの読書欲を高め、通学しようという意欲を高めるプロジェクトもありますし、一つの企業が一つの学校を支援するという『一企業一学校支援プログラム』も支援しています。

 それから、『メンタープログラム』というパイロット事業も支援しています。これは、一人のボランティアが一人の生徒を担当して、読書を促すプログラムです。本は与えられたリストの中から生徒自身が選択し、1冊読み終わったらボランティアが次の本を渡します。ボランティアは生徒の家族にも紹介されます。ただ、公立学校の周辺にあまり行きたがらないボランティアもいるので、その場合は、本の感想などの生徒とのやりとりはEメールを使用したりもしています。

 NPOとは密接に連絡を取り合いながら協働しています。多くのNPOに助成するというよりも、しっかりとした限られた数のNPOと深いお付き合いをしています。支援は、助成金だけにとどまらず、法律、経営、会計など、さまざまな方面でのサービス提供に及びます。いわば、一ヶ所で全てが揃う『ワン・ストップ・ショップ(one-stop shop)』のような性格を持っているといって良いでしょう。

 NPOを支援するにあたっては『投資をする』といった、ベンチャー・キャピタル的な考え方をベースにしています。明確な基準をもうけていて、実践的か否か、経営状況はどうか、財政状況はどうかなどをしっかりと見ます。そのうえで、投資をするかどうかを決定する訳です。

 当財団では、『結果第一主義』を取っており、支援をしたNPOには目に見える結果を示してくれるよう望んでいます。プログラムの評価は、例えば10代の妊娠率、退学率、犯罪率の変化など、数値的データを用いますが、数年たたないと結果が見えてこないものも多いので、過去のデータとの比較もしています。支援先のNPOからは、定期的に報告を受けるようにしています。

 ロビンフッド財団の特徴のひとつは、大変『強い』理事によって運営されていることです。理事は、お金、社会的地位、人脈、集客力などに秀でている人たちで、非常に強いビジネス志向を持っています。ロビンフッド財団は、年間に7千人から1万人くらいの、一般の方々から寄附を受けて運営していますが、この寄附の100%を貧困撲滅のためのプログラムに使うことができます。というのは、この財団の一般管理費や間接費等は、理事たちが賄ってくれるからです。

 寄附を集める時の呼びかけは「問題の解決方法を売ります」「一緒にやりましょう」というものです。そして、1+1=2ではなく、ロビンフッド財団なら1+1=3になるというアプローチをしています。というのは、ロビンフッド財団では助成金を出すだけではなく、先に言ったように、助成先の団体の経営や会計、技術面での支援など、団体全体を強化する支援も付加しているからです。これがあるから、1+1=3にすることが可能なのです。私たちは、これは新しい「フィランソロピーモデル」であると考えています。

 ロビンフッド財団の設立当初は、理事からの寄附が全体の99%を占めていましたが、今では45%となっています。半分以上が、理事以外の方々からの寄附となった訳です。

 現在の寄附者は、次の3つのタイプに分けることができます。

  1. 理事とその知り合い
  2. 貧困問題解決に関心を抱く真のフィランソロピスト(慈善家)
  3. ロビンフッドのイベント(著名人を招くディナーパーティーやオークションなど)に参加したい人たち

 このなかでは、最近は3つ目のグループが増えてきています。イベントの参加者は、年間に約3000人にのぼります。ディナーパーティーは米国では一般的ですが、ここには企業からの協力もいただいています。オークションは、スピルバーグの映画への出演券など、魅力的なものを揃えるようにしています。イベント収入は1500億ドル(約18億円)くらいですね。」


 ロビンフッド財団の「ベンチャー・フィロンソロピー」的な考え方は、個人寄附者の中にも出てきているようです。寄附したら、どれだけの効果があるか、その効果が大きいところに寄附をする、というものです。ただ、私個人としては、NPOの事業のなかには、数字ではなかなか表せない成果が含まれていると思っています。こうしたベンチャー的な考え方が、今後どれだけ米国で成功するのか、とても興味のあるところです。

 ロビンフッド財団のホームページのアドレスは、http://www.robinhood.org/ です。

(2003.05.28)

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