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その他 : 公文書市民ネット発足、法案を検証
投稿日時: 2009-3-18 14:00:00 (3352 ヒット)

 3月17日、市民のための公文書管理法の制定を目指す「市民のための公文書管理法の制定を求めるネットワーク(公文書市民ネット)」が設立された。同日、3月3日に政府が閣議決定した政府案の検証をテーマに第1回公文書管理フォーラムを開催。国会議員や研究者、市民活動団体、ジャーナリストなど関係者が公文書管理のあるべき姿や政府案の問題点を話し合った。

 一般に公文書管理法とは、公的機関が作成・取得した文書(公文書)の位置付けや定義をはじめ、公文書の管理・保存方法や公開・利用方法、関係各機関の役割などを定めたもの。現在の日本では、国立公文書館が存在するものの、統一的な管理法はまだ制定されておらず、各省庁がバラバラに作成・保存・廃棄している状態。公文書管理の先進国の米国など諸外国と比較して、公文書管理の立ち遅れが指摘されている。最近明らかになった社会保険庁による年金記録の改ざん・紛失や厚生労働省によるC型肝炎の感染被害者リストの放置など行政機関によるずさんな文書管理に対しては、批判も高まっている。

こうした状況を踏まえ、公文書管理を重視していた福田康夫前内閣総理大臣は、2008年3月に「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」を設置。11月には最終報告「『時を貫く記録としての公文書管理の在り方』〜今、国家事業として取り組む〜」が提出された。これを受け、政府は2009年3月3日、「公文書等の管理に関する法律案(公文書管理法案)」を閣議決定後、国会へ提出した。

3月17日、設立された「市民のための公文書管理法の制定を求めるネットワーク(公文書市民ネット)」は、市民がつくる政策調査会事務局長の小林幸治氏や弁護士・日弁連情報問題対策委員会幹事の西村啓聡氏、情報公開クリアリングハウス理事三木由希子氏などが呼びかけ人。政府による公文書管理法案提出自体は歓迎しつつも、法案に「公文書が公共財であり、市民の共有財産である」との記述がなく、有識者会議の議論から大きく後退していると指摘。「政府のための公文書管理法」ではなく、「市民のための公文書管理法」を制定するため、市民参加で提案書をまとめ、国会議員や政党へ働きかけていくという。

同日、衆議院第2議員会館第4会議室にて開催された第1回公文書管理フォーラム「政府案検証―市民のための公文書管理」では、日本計画行政学会 行政手続専門部会長・政策研究大学院大学教授の福井秀夫氏や日弁連情報問題対策委員会委員長の三宅弘氏などが有識者会議の最終報告と法案との相違点や問題点などを報告。

福井氏は「行政情報は行政のためのものではなく、公共財である。国民のために利用されることが最重要だ。」と強調。ある行政機関にダム計画段階の費用便益分析結果を求めた結果、当該ダムが建設中であるのにも関わらず、「文書を捨てた」と回答した例などを挙げ、「今回の法案は業務では使われなくなった歴史的な公文書の管理に重点が置かれているが、現在業務で使われている書類(現用文書)も国民にとっては重要であり、適切な管理の下、利用できるようにするべきである。ダムの例のように事業進行中に関連文書を捨てることを許してはならない。」と訴えた。公文書の定義については、「国の機関のみならず、公益法人・民間企業などで補助金・委託料など公金による業務において作成される文書を含むべき」とした。

三宅氏は法案の提出自体は評価し、特に歴史公文書の利用請求権が新設されたことと不服がある際の審査請求が盛り込まれた点は歓迎しながらも、「新設される予定の公文書管理委員会は委員と事務局で数十名程度、これだけで各省庁に加え、独立行政法人などの膨大な量の公文書をチェックできるのか」と疑問を呈した。また、「法案では、内閣府が各省庁の公文書管理のチェック機能(管理状況の報告制度や実地調査・勧告制度)を担うこととなっているが、行政府の一部たる内閣府に公文書管理のチェック機能を持たせると、身内が身内をチェックすることになる。」と指摘し、委員会より権限を強化した「公文書管理庁」の設置や国立公文書館を「特別の法人」として位置付けることなどを提案した。
さらに、歴史公文書の利用の判断に関して、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)第5条の規定が準用されている点などを指摘し、情報公開法の改正の必要性にも触れた。


(第1回公文書管理フォーラムの様子(3月17日))

記録管理学会・ARMA(Association of Records Managers and Administrators)東京支部理事の西川康男氏は、「政府案は有識者会議の内容からかなり後退している。現在業務で使われている書類(現用文書)の記述が弱い。」と述べ、記録管理専門家の視点から「政令・省令指定となっている『統一的管理ルール』の完成度が管理体制を大きく左右することになるだろう。」と指摘した。

歴史学研究会・一橋大学大学院社会学研究科博士課程の瀬畑源氏は、日本の近現代史を研究している自身の経験から、「日本の近現代政治史研究者は、政策の過程(プロセス)を示す資料がほとんどない国立公文書館には調査に行かない。政治家の個人的な文書が保存されている国立国会図書館の憲政資料室や、アメリカまで出向いて資料を集めている。」と自国で満足な資料調査を行えない現状を述べた。「長年、実際の公文書を見てきたが、明治以来、行政職員は『国民のために何を残すべきか』ではなく『自分たちのために何を残すべきか』という意識のままであるように感じる。彼らにとっての説明責任とは情報公開法などに表れているように、意思決定結果である『決裁文書の管理・保存』にとどまっており、国民にとって重要となる『そのような意思決定をするに至ったプロセスを示す文書の管理・保存』であると考えられていないのではないか。」と行政職員の意識改革の必要性を訴えた。また、法案に記述のある「行政文書ファイル管理簿(管理簿)」の問題点をC型肝炎の例を用いて、具体的に指摘。「行政文書ファイル管理簿(管理簿)への入力に際しては、『ファイル名を管理簿へも入力する』や『キーワードなどのメタデータも入力する』など初歩的なルールの徹底が必要である。」と改善を要望した。
さらに、近年の市町村合併により各地で公文書が廃棄されている現状や戦前映像資料の散逸の現状を報告した後、「公文書をはじめとして歴史資料は国の記録であり、共同体の営みの記録だ。日本でも大切な記録を保存していく文化を育てていかなければならない。」と述べた。

最後に公文書市民ネットの呼びかけ人から、公文書の改ざんや紛失に対する罰則の導入提案や一定期間経過後、公文書を作成した部署(文書作成原課)から中間保管庫へ移管する必要性が述べられた。
今後の活動方針について、情報公開クリアリングハウス理事三木由希子氏は「公文書管理法の本来の目的は、『公文書を質・量ともに豊かにすること』だ。公文書市民ネットでは、今後法案への提案や意見を幅広い方々から受け付け、国会の議論の場へ届けることで、よりよい『市民のための公文書管理法』を目指していきたい。ぜひ法案への提案や意見を送ってください。」と呼びかけた。

市民のための公文書管理法の制定を求めるネットワーク(公文書市民ネット)の連絡先は下記。
公文書管理法案への提案や意見などはこちらで受け付けている。メールでの連絡を推奨。
特定非営利活動法人(NPO法人)情報公開クリアリングハウス 担当:三木
メール: kobunsyo_net@yahoo.co.jp
〒160-0005 東京都新宿区愛住町3 貴雲閣ビル108
TEL:03-5269-1846 FAX:03-5269-0944

有識者会議・最終報告の詳細は、内閣官房内「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」ページを参照。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koubun/index.html

公文書管理法案の詳細は、内閣府内下記ページを参照。
http://www.cao.go.jp/houan/171/index.html

特定非営利活動法人(NPO法人)情報公開クリアリングハウスのホームページは下記。情報公開法関連情報が豊富にあり、公文書管理関連も。
http://clearing-house.org/

歴史学研究会・一橋大学大学院社会学研究科博士課程の瀬畑源氏のブログは下記。有識者会議の最終報告の解説や法案の問題点整理など、詳しく書かれている。
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/

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