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その他 : 企業メセナ協議会、社会再生へ緊急提言
投稿日時: 2009-3-23 11:00:00 (2067 ヒット)

 企業によるメセナ(芸術文化支援)活動の活性化に取り組む社団法人企業メセナ協議会(東京都 会長:福原義春)が、3月16日、活力ある社会の再生・創造に向けた緊急提言「地域コミュニティ再生のための政策ビジョン『ニュー・コンパクト』」と「緊急アクションプラン」を発表した。ニューコンパクトでは「市民自治による社会的課題の解決」など5つの行動原則が提言され、緊急アクションプランには「文化への集中投資」や「地域の市民セクターの強化」などが盛り込まれている。

 社団法人企業メセナ協議会は、1990年設立。優れたメセナ活動を顕彰する「メセナアワード」の開催や企業・財団のメセナ活動の実態調査、データベース「メセナビ」の運営、芸術活動への寄付を促す「助成認定制度」など、企業メセナ(芸術文化支援)への意欲を高め、メセナや芸術文化に対する社会の理解を深めるための幅広い活動を行っている。政策提言(アドボカシー活動)にも積極的に取り組んでおり、公益法人制度改革や芸術文化政策に関して、様々な提言を発表している。

参考ニュース「企業メセナ協議会、公益法人改革に提言」
http://www.npoweb.jp/modules/news1/article.php?storyid=2764

今回発表された緊急提言「地域コミュニティ再生のための政策ビジョン『ニュー・コンパクト』」と文化政策に関する「緊急アクションプラン」は、昨今の経済危機への対策として、経済的な再建策だけが注目されていることへの問題意識から、会長である福原氏らを中心に企業メセナ協議会が内部で検討し、取りまとめたもの。ニュー・コンパクトの中では、現代の自然・歴史破壊を批判、自然や歴史を貴重な資源として、創造的に活かしたコンパクトな社会を生み出す「文化による社会創造」への転換を訴えている。

具体的には文化による社会創造の好例として、一時は地域経済の主力であった金属精錬事業の低迷で地域経済が衰退していた香川県直島(直島町)が、地域住民が参加しながら現代アートの事業を進め(香川県直島の現代美術プロジェクト)、観光客の増加や地元の雇用促進、全世界的な広報効果、瀬戸内プロジェクトへの波及などを生み出している例などの「創造都市」や地域創造(クリエイティブ・コミュニティー)の成功事例に言及。
企業メセナ協議会は、香川県直島の現代美術プロジェクトに代表されるように「経済の疲弊で衰退した地域が、文化への集中投資によって経済再建を含む再生を果たした地域創造の事例が、内外に数多く存在すること」を見出し、「多様な社会的課題の解決に寄与する文化の力や創造性が、社会再生の鍵である」とし、疲弊した社会の再生と創造のために、「文化への集中投資」を政策的優先事項として、緊急提言するに至ったとのこと。

文化への集中投資は、地域再生で最も効果を発揮し、また地方の疲弊が著しく、その再生が緊急課題であることから、「地域コミュニティ再生のための政策ビジョン『ニュー・コンパクト(COMPACT:Community Policy for Action)』」として5つの行動原則にまとめた。ニュー・コンパクトについて、企業メセナ協議会は、「社会危機の克服は景気回復がゴールではなく、その先にある大きな目標に向けて、セクターの垣根を越えた連携が必要」であり、「市民自らの手で社会再生のビジョンとフレームを作り出す、市民による『新たな公共』の創造こそ重要」とし、ニュー・コンパクトは「セクターの垣根を超えて取り組むべき政策ビジョンを再確認し、行動原則として取りまとめたもの」だと述べている。
なお、今回の「コンパクト(COMPACT:Community Policy for Action)」は英字頭文字からの造語。しかし、もともと「小さくまとまった」や「協定・契約」という意味もあり、「グローバル・コンパクト(Global Compact)」などで使用される国連や英国の政策用語でもある。

■ 「ニュー・コンパクト」 (地域再生政策ビジョン) 5 つの原則
1. 循環型社会の再生と創造
持続可能でコンパクトな経済・社会への転換

2. 地域文化の再生と創造
地域遺産の文化資源としての活用など「創造性」の重要性

3. 市民自治による社会的な課題解決
寄付制度など市民セクターの強化し、自立を促す制度設計の必要性

4. セクター間ネットワークの強化
市民セクター強化への企業・行政による支援やネットワーク構築の重要性

5. 地域間ネットワークの形成
地域再生に取り組む地域間のネットワークの重要性

企業メセナ協議会は、ニュー・コンパクトの提案にあたり、メセナ活動をはじめとする芸術・文化の専門機関として、5つの原則に則った、下記緊急アクションプランを同時に発表している。
「コンパクト3:市民自治による社会的な課題解決」に対応するアクションプランでは現在91法人にとどまっている認定NPO法人に関連して、「期間限定の『認定NPO法人』の創出」など寄付税制改革によるNPOの財政基盤支援が提案されている。

■ニュー・コンパクト【緊急アクションプラン】
1. 「地域資源の活用とコミュニティー経済の確立」
 【コンパクト1:循環型社会の再生と創造】
●コミュニティー再生の鍵となる地域固有の資源(自然・歴史・伝統産業・歴史的建造物・伝統文化など)を創造的な視点で活用し、地域の活力創出へ集中的に投資すること。
●循環型社会の再生に不可欠な、小規模事業体を中心とした「コミュニティー経済システム」の核となる「地域ブランド創造」に、アーティスト・クリエイターの参画を促進すること。

2. 「文化への集中投資」 【コンパクト2:地域文化の再生と創造】
●市民一人ひとりの創造性を育むことは、地域コミュニティーを活性化し、活力ある新たな日本の創造につながる。経済危機を理由に文化予算を削減し、文化政策を後退するのではなく、むしろ長期的視点で、文化や創造性の育成に集中的に投資すること。
●地方においては、指定管理者制度等で疲弊した文化政策の立て直しをはかること。
(1) 国民一人あたりの文化予算の増額
国民1人あたりの文化予算(787 円)を、韓国並みの水準(3674 円、日本の4.7 倍)に高めること。
(2) 創造性を育む芸術教育の強化
創造的な課題解決や創造的産業の創出による経済の活性化には、子どもの創造性を育むことが不可欠であり、創造性を醸成する芸術、表
現教育に力を入れること。

3.「地域の市民セクターの強化」
【コンパクト3:市民自治による社会的課題解決】
(1)期間限定の「認定NPO 法人」の創出
地域コミュニティー再生には市民セクターが大きな役割を果たす。市民がさらに力を発揮できる環境を整備すべく、地域振興に寄与するNPOすべてを、3年間限定で、税制優遇の対象となる「認定NPO法人」とすること。
※2009年3月1日現在、有効期間にある認定NPO法人は91法人(NPO法人の総数は約3万6500法人)
(2)期間限定寄付制度の創出
市民セクターの財政基盤を強化するためには、寄付環境の整備が急務であり、民の担う公共に対する「社会的投資」を担保するため、民から民への資金の流れを促進する施策が不可欠である。寄付税制における要件のハードルを、3
年間限定で緊急撤廃すること。
文化投資への民間寄付金が、国の一般会計の1%を超える水準で達成できるレベルで、寄付税制を改革すること。

4. 「領域横断的な地域文化振興策の強化」
【コンパクト4:セクター間ネットワークの強化】
●企業のメセナ(芸術文化支援)活動を含む、文化振興施策の効果をさらに高めるため、各セクター間の領域横断的な取り組みを推進すること。
●行政にあっても、部門間連携を徹底すること。
(1)領域横断的な人材の登用
行政の文化部門や財団、公的助成機関に、民間からプログラム・オフィサー(事業立案、政策専門官)を多数雇用し、長期的視点で戦略的に、地域文化を振興する「政策立案機能」を強化すること。
資金調達はじめ、持続可能な組織経営を可能とするマネジメント人材を強化すること。
(2)民間専門組織との協働による公的助成金制度の運用
公的資金による助成を効果的かつ柔軟に行うため、民間の専門組織(中間支援組織等)等を介した助成金の制度運用(再配分助成「リグラント」等)を積極的に推進し、地域文化振興策を協働で進めること。

5. 「クリエイティブ・コミュニティー・ネットワークの構築」
 【コンパクト5:地域間ネットワークの形成】
●各セクター協力のもと、地域資源を創造的に活用し、文化を中心とする地域コミュニティー再生に取り組むこと。
●このような「クリエイティブ・コミュニティー」の国内外のネットワーク=「クリエイティブ・コミュニティー・ネットワーク」を形成し、資源や課題を互いに共有すること。

企業メセナ協議会は、今回の「地域コミュニティ再生のための政策ビジョン『ニュー・コンパクト』」と「緊急アクションプラン」および、2007年に発表した、「日本の芸術文化振興について、10の提言」の実現に向けて、政策立案者・政策決定者への政策公約化(マニフェストへの盛り込み)など働きかけを行っていく予定。

また、「会員企業とともに、文化の振興を中心にした地域コミュニティーの再生をめざして地域企業とのネットワークを強化し、「ニュー・コンパクト」の先頭に立って活動していく」とのこと。今後の活動に注目したい。

今回の「地域コミュニティ再生のための政策ビジョン『ニュー・コンパクト』」と「緊急アクションプラン」についての、賛同や提案、意見、感想などその他問い合わせは、メールやファックスなどで下記、企業メセナ協議会事務局まで。
担当の若林氏は「2007年の10の提言にいただいた意見が今回のコンパクトとアクションプランにも盛り込まれている。よりよい提言のため、ぜひニュー・コンパクトと緊急アクションプランをご覧いただき、ご意見やご提案を送ってほしい。」と呼びかけている。
TEL: 03-3213-3397  FAX: 03-3215-6222
E-mail: mecenat@mecenat.or.jp
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-8-2 第一鉄鋼ビル1階

「地域コミュニティ再生のための政策ビジョン『ニュー・コンパクト』」と「緊急アクションプラン」の詳細は企業メセナ協議会内、下記ページを参照。全文がPDFで入手可能。
http://www.mecenat.or.jp/news/kmknews/advocacy.html#2009_03_comment

社団法人企業メセナ協議会のホームページは下記。メセナ活動に関する資料が豊富にある。
http://www.mecenat.or.jp/

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