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その他 : 霧多布湿原トラスト、寄付プロジェクト目標達成
投稿日時: 2009-5-13 20:00:00 (3891 ヒット)

 4月22日、認定NPO法人霧多布湿原トラスト(北海道 理事長:三膳時子)は、霧多布(きりたっぷ)湿原での150ha(約50万坪)民有地買い取りに掛かった1200万円を目標に、2月1日から実施した「霧多布湿原50万坪買い取りプロジェクト」が4月10日に目標金額を達成したと発表した。5月10日までに全国各地の1253人から寄付があり、目標を大きく上回る1725万円(含助成金)が集まった。

 霧多布(きりたっぷ)湿原は、北海道東部の海岸線に広がる、広さ3,168haの国内で3番目に大きい湿原。ワタスゲやエゾカンゾウが咲く国内最大級の「花の湿原」としてその美しい雄大な景観が親しまれ、特別天然記念物のタンチョウをはじめ、エゾシカやキタキツネなど多くの生き物が生息している。1922年には「霧多布泥炭形成植物群落」として国の天然記念物に指定。1993年には、国際的な湿原保全の条約であるラムサール条約湿地にも登録されている。

認定NPO法人霧多布湿原トラストは、1986年に任意団体である「霧多布湿原ファンクラブ」として発足。その後、2000年にNPO法人格を取得して、名称を霧多布湿原トラストに変更している。2004年には、国税庁からNPO支援税制の対象である「認定NPO法人」として認定された。当時の認定取得は、北海道のNPO法人として初めて、またナショナル・トラスト団体としても初めてであった。

今回実施した寄付キャンペーン「霧多布湿原50万坪買い取りプロジェクト」は、2009年2月1日から開始。霧多布湿原内150ha(約50万坪)にのぼる民有地の買い取りに必要となった1200万円を寄付で集めることを目標に実施。霧多布湿原トラストとしては初となる大がかりな寄付キャンペーンとなった。

参考ニュース「認定NPO法人が湿原約150haを取得、保全へ」
http://www.npoweb.jp/modules/news1/article.php?storyid=3094

会員約2500人へのダイレクトメールや各地で結成されている「霧多布湿原ファンクラブ」へのチラシ配布、地元浜中町内への折り込みチラシ配布など支援者への寄付呼びかけを行った。また、ホームページでも専用ページを用意して寄付を呼びかけた他、「オンライン寄付サイトGiveOne( http://www.giveone.net/ )」や「Yahoo!ボランティア インターネット募金( http://volunteer.yahoo.co.jp/donation/ )」などオンライン寄付を効果的に行い、GiveOneを通じて112万円(寄付総額の約1割)、Yahoo!ボランティアを通じて4万円の寄付集めに成功した。ホームページやオンライン寄付サイトでは、寄付の際に添えられた応援メッセージが紹介され、寄付者の想いやストーリーを伝え、キャンペーンを盛り上げた。
プロジェクトの開始や進捗状況は、北海道新聞や朝日新聞、日本経済新聞などマスコミ各社にも取り上げられた。報じられる度に応援メールや問い合わせの電話が殺到し、多くの寄付につながった。

寄付キャンペーンやオンライン寄付に詳しい、GiveOne運営主体のNPO法人パブリック・リソース・センターの田口由紀絵氏は「今回の寄付プロジェクトは、期限を決めて集中的な寄付キャンペーンに取り組んだこと、そのための準備や告知方法が適切だったこと、寄付の集まり具合の進捗や寄付者の声をこまめに報告したことなどが大きな成功要因」と分析。

具体的に、集中的な寄付キャンペーンについては、「『○月○日までに1200万円必要です!』など、期限と目標額を明確にし、緊急性をアピールしたこと、『1200万円で50万坪の土地を買い取る』というように、寄付の成果が明確だったことがよかった。」と述べ、告知や報告については、「寄付の集まり具合をグラフにして団体のウェブサイトに掲載し目標額に近づいていく様子を報告したり、『寄付者の声』を順次掲載したりすることでプッシュし続けたことが効果を生んだ。」と指摘した。

オンライン寄付では、「従来の支援者向けのダイレクトメールでオンライン寄付が可能なことをアピールしたことや、団体ウェブサイトのトップページの目立つ位置に大きくオンライン寄付の入り口を用意したこと」によって、「オンライン寄付者の約8割が非会員という新たな寄付者層の開拓に成功した」と新規寄付開拓におけるオンライン寄付の可能性を示した。

マスコミとの関係では、「プレスリリースをしてメディアに掲載されたときに、『記事を見た人がネットで検索する』→『団体ホームページの目立つところでオンライン寄付を呼びかけている』→『その場で寄付』、という『流れ』を作ることができたことがポイント」と述べ、マスコミ掲載とオンライン寄付との相乗効果を指摘。GiveOneの「費用や手間をかけずに、簡単に迅速に、オンライン決済のしくみを導入できるというメリット」が活かされ、「週1回の活動レポートの掲載やメルマガでの告知などで協力できた」と語った。

認定NPO法人霧多布湿原トラスト理事長の三膳時子氏は、
「まず、1253人もの方からご寄付いただいたことに感謝申し上げたい。だいたい1人1万円くらいの寄付をいただいた。私たちの会員は本州の方が多いので、寄付も本州、特に関東の方からが多かった。」と概要を語る。「会員かどうかに注目すると、会員からが75%、非会員からが24%、法人が1%という結果になった。地元の方からも、予想以上にたくさんの寄付をいただいた。地元の方の理解と支援は嬉しかった。」とのこと、今回の寄付キャンペーンは地域住民もその重要性を理解し、トラスト活動へ一緒に参加できたようだ。マスメディアでの紹介については、「マスコミの方の力も大きかった。短期間でこれだけの寄付が集まったのは、いろいろな新聞やメディアが取り上げてくれたおかげだと思う。」と振り返っている。

霧多布湿原トラストは、認定NPO法人で寄付金は寄付金控除の対象となる。認定NPO法人となった効果については、「今回、寄付をいただく際には、多くの方が『領収書をください』とおっしゃってくれた。認定NPO法人への5000円以上の寄付は、領収書を付け申告すると寄付金控除が受けられるので、そのためではないかと思う。
2004年の認定取得後、認定NPO法人制度や寄付金控除について地道に広報してきた。その結果、会員や支援者の認定NPO法人制度への理解が進み、『霧多布湿原トラスト=認定NPO法人=寄付金控除』との認識で、制度を活用してくれているのではないか。」と述べ、今回のプロジェクトでの認定NPO効果を評価している。

今後は、今回買い取りに成功した湿原を紹介する「霧多布湿原50万坪買い取りプロジェクト 達成記念『霧多布湿原50万坪エコツアー』」を開催し、寄付者・スタッフ・地元住民との交流会を設けるなど、プロジェクト終了後も寄付者との関係づくりに精力的に取り組む。プロジェクトへの寄付は締め切ったが、引き続き会員や寄付は募集している。

三膳氏は最後に「初めての経験で分からないことも多かったが、多くの個人の方に素早く寄付していただいたおかげで、2カ月余りで目標達成できた。認定NPO法人制度の認知も進んでいる。身近な霧多布湿原を子どもたちに残すため、頑張りたい。引き続き、ご支援よろしくお願いします。」とまとめた。

今回のトラスト活動での寄付キャンペーン成功について、ナショナル・トラスト団体のネットワーク組織で各地の事例に詳しい社団法人日本ナショナル・トラスト協会の事務局長関健志氏は、「目標金額を達成し大変喜ばしい。霧多布湿原トラストは約20年前からトラスト活動を開始し、湿原の借り上げや買い取りを積極的に進めてきた団体。霧多布湿原に魅せられた人々と続けている交流やマスコミを通じた発信、これまでの活動実績が多くの人々の賛同を得ることにつながったのではないか。」と評価している。

田口氏は、霧多布湿原トラストなど成功事例から、新たにオンラインでの寄付プロジェクトを始める団体へのアドバイスとして、下記3点を挙げている。

1.信頼性の獲得:既存のサポーターではない人が団体のウェブサイトを見たときに団体の信頼性を判断できるよう、会計報告や役員名などを公開しておく。
2.初めての人にも理解してもらえるページづくり:情報を整理して掲載する、写真やイラストを効果的に活用する、専門用語を多用せず平易な言い回しを使うなどの工夫により、団体の活動をよく知らない人にも理解してもらいやすいようなサイトにしておく。
3.頻繁な更新・情報発信:信頼性の確保にもつながるが、ウェブサイトの情報が古くなると活動が停滞しているのではと思われる。ウェブサイトの頻繁な更新や、メルマガ、ブログによる情報発信を積極的に行いたい。


今回の霧多布湿原トラストによる寄付キャンペーンは、資金問題に悩む多くのNPOを勇気づける成功事例となったことは間違いない。各氏の指摘にあるように、今回の事例は、寄付者の視点に立った適切なキャンペーン設計の基に、事務局・会員・支援者・マスコミ・オンライン寄付サイト・地域住民などが協力して取り組むことで、1200万円という高い目標も短期間で達成できることを示した。市民参加型で、1253人もの人々が寄付を通じて活動に参加した点や、オンライン寄付を効果的に活用した点、認定NPO法人制度を寄付者が意識的に活用したと思われる点も特筆に値する。
認定NPO法人で、寄付金控除を受けられることが、寄付促進につながった可能性の高いことも興味深い。
「日本には寄付文化がない」という指摘は多い。寄付文化を革新し、寄付をより社会に根付かせていくためには、それぞれNPOが霧多布湿原トラストのような取り組みを積み重ねて、社会全体としての「寄付の経験値」を高めていくことが重要であろう。

認定NPO法人霧多布湿原トラストのホームページは下記。霧多布湿原の日々の様子や会員・寄付についてなど、写真を用いて分かりやすく紹介されている。
http://kiritappu.or.jp/

霧多布湿原50万坪買い取りプロジェクトについての報告は、下記ページを参照。プロジェクトの軌跡や応援メッセージなどが掲載されている。
http://www.kiritappu.or.jp/css/projecthoukoku.html

NPO法人パブリック・リソース・センターが運営する、オンライン寄付サイトGiveOneは下記。信頼性の高い76団体から、続々と新しい寄付プロジェクトが掲載されている。
http://www.giveone.net/

社団法人日本ナショナル・トラスト協会のホームページは下記。トラスト活動の解説や全国各地のナショナル・トラスト団体の一覧などが掲載されている。
http://www.ntrust.or.jp/

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