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1999年09月01日 10:00

行政 : 第5回「各都道府県NPO担当者向け」アンケート集計結果

 

 

平成11年8月21日
シ-ズ・市民活動を支える制度をつくる会
事務局長 松原  明
担当   小坂 雄二

 平成10年12月1日から経企庁及び各都道府県下において特定非営利活動法人の申請が始まり、平成11年2月23日に、北海道で全国最初の特定非営利活動法人が認証されました。(但し登記第一号は茨城県下の団体)

 その後、平成11年7月31日現在、全国の申請団体受理数は1,008となり、全国の認証団体数は394、不認証団体数が2件となっています。

シ-ズでは都道府県の認証業務をより円滑にするために昨年4回にわたり各都道府県NPO担当者アンケ-トを実施いたしました。毎回、全47都道府県からご回答を頂きその結果は各都道府県の担当者の円滑な業務の推進に役立っているとの声を頂いております。又、シ-ズのホ-ムペ-ジ等を通じて一般にも公開され、一般に対しても所轄庁の業務の状況の理解を図っていくことにも寄与したと考えております。

しかし、前回最後のアンケ-トから半年を経過し申請団体数も1,000件を越えたこともあり、所轄庁の認証業務は新しい現状に突き当たっていると拝察いたします。

 今回のアンケ-トは申請受理業務から認証業務にあたり、新たな問題点や、申請団体との窓口相談から予想もしなかった新たな疑問点を取り上げ、それらの問題点や疑問点を浮き彫りにし、行政と市民との協働作業でこれらを解消していくことを目的としました。

 アンケ-トは47都道府県全部の回収が出来、回収率は100%でありました。

 アンケ-トを配布した8月3日から回収日の8月18日の期間、各都道府県ご担当者のご協力に感謝し、お礼を申し上げます。

アンケ-ト調査からの検討

1)事前相談について

 各都道府県の事前相談数は、のべで4,401件となっています。申請受理数924件の約4.8倍の相談が寄せられた結果となっています(別紙表参照)

 事前相談については、団体の希望によって行うとしたのが34(72%)で必ず事前相談をしているのが9、その他が4となっています。

 この「事前相談は団体の希望により行っている」とした所轄庁では(A-3)の回答に見られるように、郵送による申請を受け付けたことがあるとしている所轄庁が13、書類が形式的にそろっていればとしたのが10となっています。ただし、「その他」のコメントにもあるように、実際には必ず事前相談を行っている結果となっているケ-スもあります。

 事前相談における問題としては「団体側の知識や検討不足」をあげている所轄庁が多数あります。そのために「事前相談がなければ、ほとんどが不認証となってしまう」と言う状況が多数あるようです。
 「認証の基準があいまいである」「所轄庁の責任が不明確である」「所轄庁がどこまでアドバイスしていいか疑問である」「事前相談なのに指導と受けとめられてしまう」といった法律の不明確さから困難をあげている所轄庁も多く見受けられました。

2)縦覧

 縦覧の方法については開架式としたのは36、閉架式としたのは10となっています。縦覧の時にその場又は別室でコピ-が出来るのは、8所轄庁がありました。(千葉・大阪・埼玉・滋賀・静岡・京都・岡山・神奈川)

 縦覧中の書類を見て意見をする人がいたのは、3所轄庁でした。(神奈川・大阪・愛知)このうち2所轄庁では口頭で受け付け、口頭で対応し審査への影響はないとされております。(1所轄庁は口頭及び文書で受け付け、その対応についてはまだ回答をするにいたってはいないとの回答でした)

3)申請書審査

 申請手続き上では、その記載内容について担当者では判断に困ったとした28所轄庁(約60%)があり、困らないとした所轄庁は19でした。

 申請書審査で、困ったのは定款の内容であるとしている所轄庁が一番多くありました。定款の内容では、一番多かったのは「事業の種類」で27所轄庁、次に「入会条件」19所轄庁、そして「目的」15所轄庁、「特定非営利活動の種類」12所轄庁となっています(複数回答)。

この「事業の種類」では、「特定非営利の事業か収益事業かの区別が難しい」としたのがほとんどでした。「入会条件」では、年齢制限を設けている場合や専門的な資格を条件としている場合の判断が困難でした。

添付書類では、設立初年と翌年の事業計画書に関して困難な事例があったとした所轄庁が17、設立初年と翌年の収支予算書に困難な事例があったとした所轄庁が14でした。

4)申請書類の意見や指摘について

 申請書類等に意見や指摘(誤字脱字以外)をした時期については、43都道府県が申請前、申請時の書類確認の時は32所轄庁、縦覧期間中が12、縦覧後で認証前の期間が16となっています(複数回答)

 この複数回答の縦覧期間中12と、縦覧後の16の内、両方を指摘していた所轄庁は11でした。
 この11の内訳では「訂正はしたが意見や指摘した通りではなかった」のは8所轄庁、「意見や指摘に対して訂正をしたが再申請の手続きはしなかった」のが2所轄庁、「意見や指摘に対して訂正して再申請の手続きをした」としたのは1所轄庁となっています。

 又、縦覧後で認証前迄の期間の間に訂正したとする16都道府県(複数回答)で、縦覧後に訂正をした団体の状況に関しては、「意見や指摘した通りに訂正した」のは8所轄庁、「訂正はしたが意見や指摘した通りではなかった」のが3所轄庁、「申請後の指摘や意見に対して訂正をしたが、再申請の手続きはしなかった」のは3所轄庁、「指摘や意見は、窓口で訂正印を用いてその場で訂正した」としたのが2所轄庁とされておりました。

 この、縦覧後で認証前迄の期間に訂正した16都道府県(複数回答)のうち、7所轄庁は市民団体側での書き方が理解されていなかったのと、不認証の恐れを懸念したものであり、いずれも適切なアドバイスとされていました。

 なお、判断が困った時には「経企庁に見解を求めた」所轄庁が22、「庁内で検討した」19、「他の都道府県に見解を求めた」が19、「サポ-トセンタ-等の市民団体に見解を求めた」が3でした。(複数回答)

5)改善点

 法の問題点では、第一に「認証、不認証の基準があいまいである」(38)、「定款や事業計画書に最低限何が書かれていなければならないかが不明確」(28)、「行政の責任の範囲があいまい」(19)となっています。

 法律の改善の方向については、「今のままでいい」と答えた所轄庁はゼロで、「届け出制にしてほしい」が26、「認証でいいが認証要件をもっと明確にしてほしい」が18となっております。 

6)税金

 収益事業をしない場合の県民税の課税は47都道府県全部が減免とされております(その他は京都・東京)が、市町村に至っては、宮城・栃木だけが全県下での減免がなされ、多くの都道府県下でも順次減免に向かう傾向であることがうかがえました。

7)アンケ-トを通しての感想

 さらに申請書等の書き方を通じて、一部の市民団体側の勉強不足が指摘されておりますが、これは今後の報告等の提出書類等から法人活動の危惧を懸念されているところでもありますし、今後のNPO法人の運動と運営(経営)が両立出来るための、運営面(経営)の更なる教育や研修を市民側で行うことが要望されていると思い、重く受け止めております。

 またNPO法においてはその審査が社会に開かれていると言うことが一つの特徴となっています。縦覧期間中、縦覧後の申請書類の訂正については、原則的には再申請すべきものと言う立法側からの見解と、スム-ズな認証を進めるためには一定程度の柔軟な運用が望ましいという見解が対立しています。この運用法についても今後広く議論されていくべき課題と考えられます。


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