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2000年06月07日 10:00

行政 : 自治省が自治体の国際協力でNGO支援強化

 

 

 自治省は、4月24日、各都道府県・政令指定都市宛に、自治体が地域の国
際交流を促進するために、NGOとの連携を強化するよう通知を出した。

 この通知は、「地域国際交流推進大綱及び自治体国際協力推進大綱における
民間団体の位置づけについて」というもの。

  「真の意味で地域が国際化するためには、地域の国際交流の本来の担い手
  である民間団体や住民が国際交流に積極的に関与することが必要である。」

としたうえで、

  「今後、民間部門主導型の国際交流を推進していく上で、国際交流事業へ
  の住民の参加、関与を積極的に展開するとともに、民間団体や住民こそが
  国際交流の主体となっていくべきとの考えの下に、行政がそのための環境
  整備等の支援を行っていく必要がある。」

としている。

 施策としては、

 (1)NGO組織の強化
 (2)地域国際化協会等とNGOの協力
 (3)国際協力に取り組む地方公共団体の態勢づくり
 (4)地方公共団体とNGOの相互理解を深め、協力し合える環境づくり

の4点をあげ、NGOへの助成制度の創設、広報活動の支援、連携強化を提案している。

 通知の全文は次の通り。

     —————————————————

                            自治国第44号
                         平成12年4月24日

各都道府県国際交流主管部長
各指定都市国際交流主管局長 殿

                         自治大臣官房国際室長

     地域国際交流推進大綱及び自治体国際協力推進大綱
     における民間団体の位置づけについて

 平成元年度以降、各都道府県及び指定都市においては、「地域国際交流推進
大綱の策定に関する指針について(平成元年2月14日付け自治画第17号)」
(以下、「交流大綱指針」という)を踏まえ、地域国際交流推進大綱が策定さ
れ、海外地域との姉妹交流、外国青年招致事業(JETプログラム)等を中心
に地方公共団体の国際交流施策は急速に充実してきました。
 また、平成7年度以降には、「自治体国際協力推進大綱の策定に関する指針
について(平成7年4月13日付け自治国第5号)」(以下、「協力大綱指針」
という)を踏まえ、自治体国際協力推進大綱が策定され、自治体職員協力交流
事業などによる研修生の受け入れや専門家の派遣などの人的協力の分野を中心
に地方公共団体の国際協力施策も着実に発展してきました。
 一方、近年、地域社会の中で国際交流を行う民間団体や国際協力を行うNG
Oが増えてきており、その活動も活発化しています。また、これらの市民活動
の活発化に伴い、平成10年12月には特定非営利活動促進法が施行され、ボ
ランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非
営利活動の健全な発展が促進されることとなりました。また、地方公共団体と
NGOとが連携して国際協力に取り組むことを促進するため、財団法人自治体
国際化協会(CLAIR)は、平成11年7月に市民国際プラザを設立し、国
際協力に関する情報の収集・提供、国際協力案件の形成に対する支援等を行う
こととしました。
 こうした状況を踏まえ、国際交流や国際協力における地方公共団体と民間団
体との関係のあり方を明らかにするために、地域国際交流推進大綱及び自治体
国際協力推進大綱における民間団体の位置づけについて、別紙の「地域国際交
流推進大綱及び自治体国際協力推進大綱における民間団体の位置づけについて」
を参考とし、既存の大綱の充実等適切な対応をお願いします。また、未だ大綱
を策定していない地方公共団体にあっては大綱の策定をお願いします。


     地域国際交流推進大綱及び自治体国際協力推進大綱
     における民間団体の位置づけについて

I 国際交流について

1 住民主体の国際交流へ

 交流大綱指針で触れられているように、真の意味で地域が国際化するために
は、地域の国際交流の本来の担い手である民間団体や住民が国際交流に積極的
に関与することが必要である。
 また、中核的民間交流組織である地域国際化協会等が各地域の中核となって
主体的・創造的な活動を行ってきたことにより、民間団体や住民が国際交流に
積極的に関わった実質的な実りのある交流が行われるようになってきた。
 今後、民間部門主導型の国際交流を推進していく上で、国際交流事業への住
民の参加、関与を積極的に展開するとともに、民間団体や住民こそが国際交流
の主体となっていくべきとの考えの下に、行政がそのための環境整備等の支援
を行っていく必要がある。

2 民間団体の活動に対する支援の必要性

 民間団体の活動が活発になってきたとはいうものの、人材面や財源面での態
勢は必ずしも十分とはいえないのが現状である。このため、民間団体に対して
は、市民が民間団体の国際交流活動に参加しやすい環境を整備することを通じ
て民間団体の活動を促進することや民間団体の自立性を損なわない形での財政
支援、更には、民間団体の活動と行政の活動の連携などに取り組んで行く必要
がある。

3 課題と施策

(1)パートナーシップ交流の推進

 海外との姉妹提携は、総合的な交流を行うことを目的として行政主体で進め
られ、住民が参加して発展してきたところである。この姉妹提携は、相手側と
の密接かつ総合的な交流を行うことのできる国際交流の手法として、現在にお
いても、その重要性に変わりはない。しかし、一つの地方公共団体が提携でき
る相手方の団体の数については限界があることや財政的負担を伴うなどの要因
から、姉妹提携の形式による交流を今後大幅に拡大していくことは難しい状況
にある。一方、近年、先に述べたように民間団体の活動が活発かつ多様に展開
されるようになってきたところであり、これら民間団体の活動を行政がサポー
トすることにより、幅広く多様な交流を進めていくことが可能となると考えら
れることから、今後は、民間団体の友好提携等(商店街の姉妹提携やそこまで
に至らない民間団体同士の交流)を行政が側面から支援する交流形態(「パー
トナーシップ交流」と称する。)を推進していく。この場合において、民間団
体同士の行っている友好提携等の相手方の地方公共団体と日本側の地方公共団
体との間でゆるやかな交流を行ういわば「パートナー自治体交流」という方式
をとることも考えられる。

(2) 情報提供等による環境づくり

 地方公共団体のもつ広報媒体や各種のネットワーク等を通じて、住民に対す
る情報提供に努め、住民の民間団体に関する認識を高め、より多くの住民の参
加や支援を得るための環境整備に努める。
 なお、民間団体に対する財政支援を行う場合には、その自立性を損なうこと
のないように留意する必要がある。

(3)地域国際化協会等と民間団体との協力

 地域の中核的民間交流組織である地域国際化協会等が民間団体と連携して国
際交流に取り組むことにより、地域が一体となった効果的な活動が期待できる。
また、地域国際化協会等は、地方公共団体と民間団体の中間的な性格を有して
いることから、民間団体がより活動しやすい環境をつくるための積極的な協力
が望まれる。

(4)地方公共団体と民間団体との連携

 地方公共団体と民間団体が相互に協力や支援等をしながら国際交流を進める
こともあるが、地方公共団体と民間団体がそれぞれ別々に国際交流を行うこと
も多い。
 しかし、より効果的な国際交流を推進するため、地方公共団体は民間団体と
情報交換し、相互理解を促進し、役割分担を認識し合って、必要に応じて相互
に補完し合い、連携・協力し合って国際交流を推進していく必要がある。
 このことにより、国際交流が住民主体のすそ野の広い交流として相互理解が
より進むとともに、より具体的な交流へと深化していくことが期待される。

II 国際協力について

1 地域社会が国際協力に取り組む必要性

 協力大綱指針で触れられているように、地方公共団体の国際協力は、共生の
精神、対等なパートナーシップ、多様なチャンネルによる世界平和への貢献、
人道的配慮、地域活性化等の効果などの意義を有している。近年、益々、グロー
バル化が進展し、世界の各地域との密接な繋がりの中で我が国の地域の繁栄が
得られる時代になっており、それぞれの地域が相手地域のニーズを踏まえなが
ら地域の特色を活かした多様な国際協力を行うことが、その地域の発展と住民
福祉の向上を図る上からより重要になってきている。また、相手国のニーズは、
福祉・教育・都市開発といった地域づくりについての課題解決が多いことから、
これらに対するノウハウを有する地方公共団体が国際協力を行うことは、我が
国全体として、国際社会において必要な役割を果たすことにも繋がる。

2 NGOとの連携及びNGOに対する支援の必要性

(1)地方公共団体とNGOの連携の必要性

 各地方公共団体は、国際交流の実績に基づき、国際協力に取り組みつつある
ものの、未だ国際協力に関する経験は十分とはいえず、相手国の現状や住民ニー
ズを把握するノウハウが確立されていないため、十分な成果を上げられない事
例も見受けられる。
 一方、世界的には、NGOなどの市民団体の活動は高い評価を得るまでに至っ
ているが、日本では依然として多くのNGOが資金不足や組織基盤の弱さ等の
問題を抱えており、国際協力が社会に広く浸透しているとは言えない状況にあ
る。
 今後、地方公共団体が国際協力を推進していくためには、地域住民の十分な
理解と協力によるきめ細かい活動を展開していく必要がある。地方公共団体と、
地元や相手国住民の立場を理解しているNGOとが互いに協力し合い、役割分
担をしながら国際協力に取り組むことによって、より効果的な住民参加型の国
際協力を実現していくことが可能となる。

(2)地方公共団体及び地域国際化協会等によるNGO支援の必要性

 我が国のNGOは歴史が浅く未だ財政面や人材面で十分でないところが多い。
このため、地方公共団体は、国際協力のパートナーとなるNGOに対し、その
NGOが成長していく上で活動内容を住民に周知するなどの協力に努める必要
がある。
 また、地域国際化協会等は、地方公共団体とNGOの中間的な性格を有して
いることから、NGOと一体となった活動を展開し、効果的な国際協力を行う
とともに、NGOが活動しやすい環境整備を進めることが必要である。

3 課題と施策

(1)NGO組織の強化

 NGO活動がより一層活発に展開されるためには、NGOが足腰の強い組織
となることが必要である。また、地方公共団体とNGOが対等なパートナーと
して国際協力活動を進めていく上でも、NGO組織の強化は必要である。
 具体的には、地方公共団体においては、NGOの活動状況を市民に周知する
ことやNGOの助成制度の検討を行うなど、市民がNGO活動に参加しやすい
環境づくりに努める必要がある。
 また、NGO側においても自ら活動状況を積極的に市民に広報し、多くの市
民の参加が得られるような取り組みを行う必要がある。

(2)地域国際化協会等とNGOの協力

 地域の中核的民間交流組織である地域国際化協会等がNGOと共に国際協力
に取り組むことにより、地域が一体となった効果的な活動が期待できる。地域
国際化協会等は、地方公共団体とNGOの中間的な性格を有していることから、
NGOがより活動しやすい環境をつくるため、地域国際化協会等の積極的な協
力が必要である。
 具体的には、地域国際化協会等とNGOの協議の場の設置や住民へのNGO
活動に関する情報提供などに努める必要がある。

(3)国際協力に取り組む地方公共団体の態勢づくり

 地方公共団体においては、それぞれの地域の特色を活かして国際協力に取り
組む事例が増えているが、未だその取り組みが十分とは言えない地方公共団体
も多い。その原因には、国際協力に対する地方公共団体や住民の理解が十分得
られていない場合や、地方公共団体内における人材の確保の難しさ、厳しい財
政事情などがあると考えられる。このため、地方公共団体は国際協力に取り組
む意義を明らかにするとともに、その意義を住民に周知して住民の理解を深め
るとともに、国際協力を担う人材の確保に努める必要がある。
 具体的には、それぞれの地方公共団体が国際協力に取り組む意義を考えると
ともに、地域の特性を活かした国際協力を推進することについての住民の理解
向上に努めること、地方公共団体職員の意識を醸成するため、NGOから講師
を招くなどにより国際協力の人材育成に努めること等が必要である。

(4)地方公共団体とNGOの相互理解を深め、協力し合える環境づくり

 地方公共団体とNGOは行動原理が異なることから、相手の立場を十分理解
した上で、連携して国際協力に取り組むことが必要である。
 具体的には、市民国際プラザを通じた情報交換、NGOの主催するシンポジ
ウムへの職員の参加、地方公共団体とNGOとの相互職員交流、定期的な情報
交換の場の設置等を通じて、十分な情報交換や活動内容の相互理解を深める必
要がある。また、地方公共団体とNGOが、地域の課題を共有し、施策を検討
する場を設置する等、NGOと共同して国際化施策を形成することに努める必
要がある。

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