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2001年10月25日 10:00

行政 : 堀田力氏らが税制改正の要望書提出

 堀田力氏、本間正明氏ら11名で構成する「NPO支援税制に関する有識者会議」は、10月25日、NPO支援税制の改正に向けた要望書を内閣府に提出した。なお、10月25日時点で、国税局に認定申請が上がったということは一件も確認されていない。

 

 10月25日時点で、国税局に届けられた認定NPO法人になるための申請はまだ一件も確認されていない。(ただし、税務署で申請は受け付けて、国税局まで申請書類が上がってくるまでタイムラグがあるので、申請自体があったのかどうかはまだ不明である)。

 このNPO支援税制では、優遇を受けられるNPO法人となるための「認定要件」が厳しすぎることから、実効性がないと、NPO関係者などの間で大きな問題となっている。

 このような事態を受けて、堀田力(さわやか福祉財団理事長)、本間正明(大阪大学大学院教授)、雨宮孝子(松蔭女子大学教授)、林雄二郎(日本フィランソロピー会長)ら11名で構成する「NPO支援税制に関する有識者会議」は、同日10月25日、NPO支援税制の改正に向けた要望書を内閣府に提出した。

 要望書の骨子は以下の6点である。

  1. 日本の一般市民が支えるNPOが認められる要件への改正
  2. 地域密着型のNPOも支援税制の対象になれる要件への改正
  3. NPOが正しく発展できる要件への改正
  4. 事業型のNPOも発展していける要件への改正
  5. 小規模なNPO法人でも利用できる要件への改正
  6. 民法34条にもとづく公益法人への準用もできるように

 具体的には、現行の収入の「3分の1以上」が寄附であることを求める「日本版パブリックサポートテスト」の算式を、当面4年間は「10分の1以上」とすること、また、1市町村内だけで活動したり寄附を集めているNPO法人を排除する「広域性の要件」の撤廃などを求めている。

 この要望書は、今後、自民党、公明党、保守党、民主党、自由党、社民党、共産党の各党や、財務省、また厚生労働省へも届けられる予定である。

 提出された要望書は以下の通り。

                                 2001年10月25日
 内閣総理大臣 小泉純一郎 殿

                NPO支援税制に関する要望

  私たちは、“市民公益”を目指す健全なNPOの発展のために

      1.日本の一般市民が支えるNPOが認められる要件に
      2.地域密着型のNPOも支援対象に
      3.NPOが正しく発展できる要件に
      4.事業型のNPOも発展していけるように
      5.小規模なNPO法人でも利用できるように
      6.民法34条にもとづく公益法人への準用を

 を求め、強く要望いたします。

      「NPO支援税制に関する有識者会議」
      跡田直澄 (大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)
      雨宮孝子 (松蔭女子大学経営文化学部教授)
      出口正之 (総合研究大学院大学教育研究交流センター教授)
      林雄二郎 (日本NPO学会会長・日本フィランソロピー協会会長)
      早瀬 昇 (大阪ボランティア協会事務局長)
      本間正明 (大阪大学大学院経済学研究科教授)
      松原 明 (市民活動を支える制度をつくる会・シーズ事務局長)
      山内直人 (大阪大学大学院国際公共政策研究科助教授)
      山崎美貴子(東京ボランティア・市民活動センター所長 明治学院大学教授)
      山岡義典 (日本NPOセンター常務理事・法政大学現代福祉学部教授)
      堀田 力 (さわやか福祉財団理事長)

                NPO支援税制に関する要望

                             NPO支援税制に関する有識者会議
                                 2001年10月25日

<総括>
 1998年の特定非営利活動促進法(NPO法)施行以来、2001年10月現在までに、5千を
超える様々な分野のNPO法人が認証され、多様なニーズに対応するNPO活動が行われています。
加えて、2001年3月、租税特別措置法の改正によって、一定の要件を備えたNPO法人への寄附
者に税優遇を認めるNPO支援税制も創設されました。この制度は、従来の特定公益増進法人とは異
なる、客観的基準(日本版パブリック・サポート・テスト)により支援対象法人を認定する点、また
相続財産の寄附者への優遇を認めている点など、21世紀の市民社会を支えるNPOにとって大いに
評価できるところです。
 しかしながら、せっかくの客観的認定基準であるのに、その要件が煩雑かつ厳しすぎるために、ほ
とんどのNPO法人が認定を受けられないと推測されます。このままでは、NPOを支援するのでは
なく、健全なNPOの発展を阻害することにもなりかねないと危惧し、以下の事項を切に要望いたし
ます。

<要望事項>
1.日本の一般市民が支えるNPOが認められる要件に
 現行制度では、すでに収入の3分の1以上の寄附集めに成功しているNPO法人のみが支援対象で
す。これから寄附を集めようとする法人には何の恩恵もありません。個人寄附という文化が成熟して
いない日本においては、当面4年間は収入の10分の1以上が寄附である法人を支援対象とするよう
求めます。

2.地域密着型のNPOも支援対象に
 現行制度では、1市区町村内だけで活動したり寄附を集めているNPO法人は、認定を受けること
ができません。しかし、介護、まちづくり、地域スポーツ、地域環境など、NPO法人の活動には、
地域に密着してこそ優位性を発揮できる分野が多く含まれています。これを阻害せず、地域発展にいっ
そう寄与できるようにするため、この広域性の要件の撤廃を求めます。

3.NPOが正しく発展できる要件に
 現行の日本版パブリック・サポート・テストでは、社員・役員からの寄附が多かったり、助成金の
金額が大きいと認定を受けられない可能性があり、民主的な組織運営や、大きな助成事業を阻むもの
となっています。また、会員等に対するサービス制限があるために、継続的にサービスを提供してい
る福祉団体などの活動も阻害されます。このため、選考委員会を経た助成金については、日本版パブ
リック・サポート・テストへの算入において2%という基準限度額を撤廃するとともに、役員の寄附
金の「寄附金総額等」への算入、対価性のない社員(正会員等)の会費を寄附扱いとするよう求めま
す。

4.事業型のNPOも発展していけるように
 現行制度では、事業収入が全収入に占める割合が大きくなればなるほど、認定を受けられなくなり
ます。しかし、NPOの収入の特徴は、事業、寄附金、助成金・補助金などをミックスした構造であ
るという点です。今後、事業型のNPOの発展も支援していくために、本来事業である特定非営利活
動による事業収入は、日本版パブリック・サポート・テストの計算式の分母である総収入金額から控
除できるよう求めます。また、収益事業の収入の50%を非収益事業である特定非営利活動に無税で
払い出せる「みなし寄附金制度」の早期導入を求めます。

5.小規模なNPO法人でも利用できるように
 現行制度では、認定申請の際、寄附者名簿や社員の親族表など、14の書類、9つの表、5つの付
表を提出することとなっており、小規模な法人には大きな負担です。
 日本のNPO法人の3分の2が事業規模1千万円以下であることを鑑みて、団体の事業規模による
認定要件の設定、提出書類の簡素化を求めます。

6.民法34条にもとづく公益法人への準用を
 日本の寄附文化を育むため、寄附先の選択肢が広がるよう、認定NPO法人の要件を満たす公益法
人には、同様の寄附の支援措置を準用するよう求めます。

                                        以上

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