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2002年04月17日 10:00

行政 : 塩川財相「実態を見て改善を検討」

 3月28日、塩川財務大臣は、認定NPO法人制度について「運用の面で厳しすぎる」という認識を示し、「運用の実態を見て、改善すべきところは改善したい」と述べた。参議院の財政金融委員会で公明党の山本保議員の質問に答えた。

 

 塩川財務大臣は、山本保参議院議員の「公益のために尽くしている団体に対する寄附金に対する優遇の税制をもっと拡大、拡充していくべきではないか」という質問に対して、「(寄附金税制について)運用の面で余り厳し過ぎるということを私も直観しておりまして、そこをもう少しどうか緩和できないだろうかと思うんですが」という認識を示した上で、認定NPO法人制度について「もう少し運用の実態を見て、改善すべきところがあるならばしてみたいと思うております」と答えた。

 質疑応答のNPO関連部分は以下の通り。

○山本保君 
 最初に、塩川大臣にお聞きいたします。
 今回のこの租税特措法の改正に伴ってNPOについても改善、改正をしていただけるということに
伺っておりますけれども、まず、その前提として、こういう公益若しくは地域の中で他の方のために
尽くしていると、こういう団体に対する寄附金に対する優遇の税制をもっと拡大、拡充していくべき
ではないかと思うんです。
 これは、やっぱりお任せ、間接支援というか、こういう税金を出して補助金にするというものから、
直接、自分で直接支援すると、こういう金融とも似ているかなと思うんですが、こういう形なんです
ね。ですから、助け合いの精神とかそういうものが出てくることだとか、それから新しい事業が展開
して雇用が増えるということもありますけれども、財政面でいえば正に補助金と見合いになるわけで
すから、決してこれを優遇すれば税収が減るので困るということはないはずなんですよ。
 ですから、正に今日の、先ほどまでにも話があったように、正に両方でうまくできるはずなんです
から、もっと広げていくべきだと思いますけれども、大臣、いかがでございましょう。

○国務大臣(塩川正十郎君) 寄附金税制について一般論で申しましたら、寄附金税制の制度として
は割とよくできておるんですけれども、要するに運用ですね、運用の面で余り厳し過ぎるということ
を私も直観しておりまして、そこをもう少しどうか緩和できないだろうかと思うんですが。
 それと同時に、NPOとかそれから公益増進法人とか、それを運営する人がやっぱりそこの公共精
神というものをしっかりと持っていてもらわぬと、KSDのような例がございましたですね、あんな
ことをやられると、ああいうのはみんな、国民はあれと同じように見ていますからね。
 ですから、やっぱり税当局の方もきちっとやらないかぬという、そういう使命感にこだわってしま
うと思うたりするんです。ですから、やっぱりその当事者の信頼がまず大事だろうと思っております。
同時に、実態調査をもっと私、素直にやっぱり税務当局もすべきだと思うんですが、何かアリの出口
を探すぐらい細こう調べますね、あれは難しいことだと思うんですが。
 それで、しかしまた、このNPO自身に関しましては、もう少し運用の実態を見て、改善すべきと
ころがあるならばしてみたいと思うております。

○山本保君 三年前にこの法律を作りますときに私もやらせていただいて、当時はまだまだ税制の優
遇などというのは必要ないという意見の方が多かったんですけれども、おかげさまで動き出しまして、
やはりこれが一番大事だというところで、去年の十月ですか、こういう認定NPOという、もう一ラ
ンク税金を安くできるということですから、不公平にならないようにというものができたと。で、やっ
と、大臣、しかもこれからもっと広げていこうという決意をいただきましたので大変心強く思います
けれども、ちょっとここで国税庁にお聞きします。
 十月から始まった認定NPO法人、現在どんな状況でございましょうか。

○政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。
 今御指摘のとおり、認定NPO法人制度は昨年十月一日から施行になっておりますが、本年二月ま
での間、五か月経過したわけでございますけれども、申請が十件出ております。そのうち、既に国税
庁長官の認定を受けたNPO法人は三件となっております。
 以上であります。

○山本保君 たしか六千とか七千という全体では法人がもう今認証されて動いている中で十件しかな
いと。短い期間だからということもありますけれども、しかし、やはり大臣も先ほど言われたように、
余りにも厳し過ぎるんじゃないかなという気がするので、ちょっとそれについて少し具体的に見てみ
たいと思いますけれども。
 まず、今回の税制改正、十四年度の改正で、これについて与党の方で私どもも議論させていただい
て、そして認定要件の緩和について予定していると聞いております。副大臣、この辺はどんな、これ
は副大臣じゃないですかね、ごめんなさい、主税局長ですか、大臣でよろしいですか、副大臣、お願
いいたします。

○副大臣(尾辻秀久君) 二点、簡単に申し上げます。
 一点は、みなし寄附金制度のそのものに対する……

○政府参考人(大武健一郎君) お答えさせていただきます。
 十四年度の税制改正におきましては、認定NPO法人制度の認定要件のうち、パブリックサポート
テストにつきまして、NPO法人の役員、社員がその当該法人の活動を支持して寄附する場合に、そ
の寄附金についても寄附金総額に算入できるということで、要件緩和を図らせていただこうと思って
いるところでございます。

○山本保君 それ一点だけがやっと認めていただいたかなと思っておるんですけれども、先ほど尾辻
大臣の方からもちょっとお話がありました、団体からも要望されておりますのは、公益法人にありま
すみなし寄附金制度でございます。この辺については、たしか与党の申合せといいますか、そういう
検討事項として入ったと思っているんですけれども、これの見通しはいかがでございましょう。じゃ、
副大臣、お願いいたします。

○副大臣(尾辻秀久君) ただいまの御質問だと思いまして、勘違いいたしまして失礼をばいたしま
した。
 ただいまの御質問でございますが、先ほど半分申し上げましたように、二点、まず簡単に申し上げ
ます。一点はみなし寄附金制度そのものに対する御議論がいろいろあるということであります。それ
から、昨年の十月一日に始まったばかりでございますから、認定NPO法人制度そのものの歴史が浅
い、こういうことでございます。
 そこで、今お話しいただきましたように、公明党を含めて与党三党、おまとめをいただいておりま
す平成十四年度税制改正大綱におきまして、「認定NPO法人に係るみなし寄附金制度の導入につい
ては、今後、認定NPO法人の実態等を見極めた上で早期に検討する。」とございますので、私ども
もそのようにさせていただきたいと考えております。

○山本保君 これはこれから検討ですから、ここでは余り立ち入って片方のある方向を言うことはな
いかとは思うんですけれども、みなし寄附金というのは、御存じのように、収益事業を行った場合に、
それは本来の事業に当然使われるべきものだと。実態がいろいろありますから、これをあるパーセン
トで認めて課税から外すという制度でございますね。
 今、尾辻副大臣からもおっしゃいましたように、私もちょっと見ましたら、確かに一般の公益法人
の場合、収益事業については規定が法律上はないんですね、監督のところにあるだけです。しかし、
NPO法では、この辺作るときに大分言いましたように、NPO法人については勝手にやれるんじゃ
なくて、収益事業は当該事業に資するためと、ものだけ認めるというふうにはっきり書いてあるわけ
ですから、公益法人よりも言うなら条件が厳しいわけですよ。であるのに、公益法人の方は認めてい
てNPO法人は認めていないというのは、これはやはりちょっとおかしな状態だと思います。
 ですから、当然、いわゆる公益性という、言葉自体も古いと思うんですが、役所が認める公益性で
は駄目だと思いますけれども、インターネットなどでやはり、最近聞きますとインターネットで広げ
ていく。私なども音痴ですから駄目なんですが、お聞きすると、やはり結構ウオッチャーという方が
いて、結構細かく見ておるようでございます。ですから、例えば、今法律上は、NPO法上はインター
ネットは書いてありませんけれども、やはり全体の流れの中でこういうものも導入して、そしてみん
なでチェックしていこうと、こういうものを担保にしながらこの制度を入れていっていただきたいな
というふうにちょっと思っております。お願いをしておきます。
 次に、もう少し別の今度観点ですが、その認定要件の中で、これも団体から言われているんです、
一市区町村だけで活動していると、そのパーセントが大きければですが、これは国税を安くするとい
いますか、非課税の対象にしないんだというふうに聞いているんですね。これも変な話ではないかと
思うんですけれども、この辺いかがでしょう。

○副大臣(尾辻秀久君) 今お話しのとおりに、認定NPO法人に認定されますと税制上の特典がご
ざいます。ただ、その税が国税でございますので、どうしても国税の支援を受けると、こういうこと
から申し上げますと、ある程度広範性が必要であると、私どもはそのように考えておるところでござ
います。

○山本保君 今日は時間がないので深く議論はできませんが、私はちょっとおかしいと思うんですよ。
それは、例えば日本が連邦制みたいで、明らかにその地域だけでやっているものはそこの財源でやり
なさいよという国だったら、その理屈は通ると思うんですよ。そうじゃないわけですね。実際、その
一地域でやっていようが交付税が出ていたり、国の税金が行っているわけですよ。
 であるならば、何も、その活動がその地域でやっているからそれは国税にしないんだと、元々県内
でということで最初に考えているわけです。しかも、これは実態を見ますと、例えば、一町でやって
いては駄目だというその町自体が市なんかよりよっぽど大きな町なんというのは一杯あるわけですね。
その中で頑張っているのに、それじゃ駄目なんだよ、よそへ行きなさいと。首都圏なんか考えてみま
すと、すぐに隣の県や市へ行けるわけですからそんなに問題ないんですけれども、これはもっと実態
に合った形で考えていただきたいという気がするんですが、尾辻副大臣、どうでしょう。

○副大臣(尾辻秀久君) NPO法人が地域に根差した活動を行う法人が多いということは私どもも
理解をいたしておるところでございます。
 したがいまして、今の制度は一番小さな単位の市町村を単位にして、幾つかの複数の単位で活動し
てくださいということをお願いいたしておるところでございますが、今、先ほど申し上げましたよう
に始まったばかりの制度でございますから、今後検討をさせていただきたい、こういうふうに考えま
す。

○山本保君 積極的に検討をしていただけるというふうに理解しておきます。
 それで、時間のこともあるのでパブリックサポートテストについてはちょっと置きまして、ここで、
今の税のことで気になっておりますのは、私どもも実は、最初にこういう案を作っておるときに、地
方税についても当然同じ考え方で、寄附者に対する税優遇があっていいんではないかと考えているん
ですけれども、地方税については、これは時間がないのでまとめてお聞きしますけれども、いわゆる
所得税と似ている個人住民税ですか、これについて寄附金控除の対象となっているのは、お聞きしま
すと、地方公共団体と日本赤十字と共同募金会だけに限られているんだと、それ以外では駄目なんだ
というふうになっておるようです。
 これはどう考えても私納得できないんですけれども、この辺について御説明と、どうお考えなのか、
お願いいたします。

○政府参考人(瀧野欣彌君) 個人住民税の寄附金控除についてのお尋ねでございます。
 ただいま御指摘ございましたとおり、個人住民税の寄附金控除につきましては、所得税と比較いた
しますと極めて限定された対象になっておるわけでございます。これは、個人住民税という税金が、
そもそも地域社会への会費としてできるだけ多くの住民の方に負担を分かち合ってもらうという性格
の税でございますので、極力政策的な控除を設けてきていないということが一点ございます。また、
個人住民税の寄附金控除につきましては、やはり控除を行う地方公共団体と寄附金によります地方公
共団体の受益、これの対応関係というものが必要になるということもございます。
 したがいまして、個人住民税におきましては、寄附金控除の対象となる団体の範囲の拡大というよ
うなことにつきましては、所得税と同じようにしていくということはなかなか難しいんじゃないかな
というふうに考えておるところでございます。

○山本保君 局長にちょっとこの辺は考えていただきたいというか、また大臣にもお願いしたいと思っ
ているんですが、今の話を伺っていまして、この一連のお話の中で全く矛盾した話だという気がする
んですね。片方、国税の方は地域ですから駄目ですよと、こう言っておきながら、今度こちらの地方
税の方では地域なんで駄目なんて、何を言っているんだか、全然おかしな話ですね。
 元々、さっき最初に塩川大臣がおっしゃったように、この制度自体は正にこれから広げていって、
新しいタイプの活動、事業を広げていこうという意味があるわけですよ。そのときに地域だから駄目
だというのではおかしいし、またもう一つ言えば、地方公共団体と、その団体の悪口を言うわけじゃ
ないんですが、日赤と共募、共同募金、正に役所じゃないですか。役所に寄附したらいいんだという
これは発想ですよ、これ。これじゃ、元々全然認めていないんですというなら、まだ今おっしゃった
とおりで分かるんですよ。役所の言うことを聞くといったら申し訳ないんだけれども、役所だったら
元々税金でやればいいじゃないですか。だから、そんな説明にならない実態じゃないかなと、ちょっ
と厳しめで申し訳ありませんけれども、そんな気がするんです。
 ですから、ここは是非今度、大臣もおっしゃったように来年度の改正に向けてまた検討していただ
きたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

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