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2002年05月30日 10:00

行政 : 産構審NPO部会中間報告発表

 産業構造審議会NPO部会(経済産業省の諮問機関)は、5月14日に部会の「中間とりまとめ」を発表した。NPOを「21世紀の経済社会において、新しい公益の担い手として重要な役割を果たす」と位置づけている。また、NPOの国内生産額を6941億円と推計している。

 

 産業構造審議会NPO部会(部会長・本間正明大阪大学大学院教授)は、5月14日に、『中間とりまとめ「新しい公益」の実現に向けて』を発表した。

 この報告書は6章から構成され、その概要は以下のとおり。

第1章 NPOとは何か

  • 21世紀の日本の経済社会において、NPOは「新しい公益」の担い手として重要な役割を果たすものと考えられる。
  • 経済社会が成熟し、価値観が多様化する中で、行政が一元的に公益を判断し、実施するものではなくなり、行政、企業、NPOや個人が対等な立場に立って、それぞれの多様な価値観をベースとして、多元的に公益を企画立案・実施する時代に入ってきている。このような公益実現の手法を「新しい公益」の多元的な提供として捉える。
  • NPOが役割を拡大する背景としては、公共サービスの民間開放、地方分権の進展、行政プロセスに対する評価・モニター、コミュニケーションの双方向化、サービスの経済化の進展などがあげられる。
  • 自発性や利他精神に基づく寄付金が、個人、企業、NPOの公益活動を資金面で支える上で重要となる。NPO等による公益活動に対する寄付金を増やす上で、税制面での優遇措置、寄付促進のためのインセンティブが重要になる。
  • 現在は、組織、事業体としての成熟度から、行政と企業が圧倒的に優位な立場にある。しかし、NPOは既存の組織にない特性を持っており、社会変化を背景に、その特性を行政や企業に対する優位性として発揮する可能性がある。
  • 行政や企業に対するNPOの優位性は、以下の5点である。
    1. 多彩な人材のネットワーク
    2. 個人の自発性と自己実現性
    3. 利用者の視点に立脚(場合によっては需要者が供給者に転換)
    4. 地域に根ざした信頼関係
    5. 中立性に基づく調整・連携促進
  • NPOにおいても営利企業と同等の参入機会を与え、事業環境のイコールフッティングを図る必要がある。

第2章 NPOと各経済主体との関係

  • NPO活動で参画することにより、個人は、他の組織では得られない満足感を感じることができる。その満足感とは、(1) 自己実現に対する満足感、(2) 社会や人との接点の拡大、(3) 「働き方」に対する満足感、である。
  • NPOは、(1) 人材流動化の促進、(2) セカンドライフの充実、(3) NPO兼業、などといった形で、個人の生き方、働き方を変えていく可能性がある。
  • 企業は、これまでの「経済的役割」だけではなく、「社会的役割」を果たすことが期待されるようになってきている。そのような状況の下、企業がNPOをパートナーシップを組むことは、(1) 社会貢献活動の充実、(2) ブランド・イメージの向上、(3) 企業行動の評価・モニター、(4) 顧客ニーズに対応した開発・創造、という企業へのメリットがある。
  • NPOと行政との協働により、行政は、(1) 政策の企画立案に住民の視点を反映、(2) 公共サービスの効率的な提供、(3) 行政プロセスの透明性確保、(4) 経済社会活性化、といったメリットが得られる。
  • 今後、官民の役割分担の見直しによって、普遍性・公平性が求められる公共サービスを行政が担い、地域特異性や多様化する価値観に対応するサービスをNPO等が担うことが想定される。
  • 行政にとって、政策立案、事業評価面で、NPOとのパートナーシップが重要となる。
  • NPOと行政の関係形態としては、(1) 公共サービスの行政からNPOへの移行、(2) 行政によるNPOの支援、(3) 行政とNPOとの対等協働型、(4) NPOから行政への政策提言型、の4つのタイプがある。

第3章 NPOの発展に向けた課題

  • NPOセクターが自ら解決すべき課題として、(1) 資金調達、(2) 人材確保、(3) マネジメント(人材研修、情報公開・評価等)、がある。
  • NPOの有給スタッフの平均給与は、非常勤で年収100万円程度、常勤で250万未満と低く、独身の若年層、専業主婦、生活に余裕のある退職者など、主たる収入源を持つ者でないと勤めることができない状況にある。
  • 必要とする人材としては、事務局スタッフ、ボランティアとも、法律、会計等のマネジメントの専門家や活動分野に関する研究者に対するニーズが高い。また、スタッフとしては、企業、行政、NPO等の組織経験者へのニーズが高い。
  • 社会全体が、NPOを支えるために取り組むべき課題としては、(1) 個人の参加促進の環境整備、(2) 企業、行政とのパートナーシップ促進の仕組みづくり、(3) 税制等の環境整備、(4) NPOの評価や情報公開の仕組みづくり、などがある。

第4章 NPOの発展に向けた促進策

  • NPO活動への個人の参画を促進するためには、NPOの実態に対する情報提供、参画しやすい支援環境づくり、参画へのインセンティブの提供が必要である。
  • 企業とNPOとのパートナーシップを促進するために、中間支援組織は両者のマッチング機能の充実が求められる。
  • 企業には、企業経営上の位置づけの明確化、企業からNPOに対する情報発信、人材面での交流といった取り組みが必要である。
  • 行政とNPOのパートナーシップ促進策として、今後必要となるのは、(1) 事業委託の推進、(2) 対等性を確保する枠組み・資金提供の仕組みを検討すること、(3) 官民の人材交流の促進、(4) 個別NPO活動に関する情報収集・評価、(5) NPOの活動機関整備などが必要となる。
  • NPOの健全な発展を促すために、法人格を有するNPOについては、支援税制、法人制度等による環境整備が重要となる。
  • 税制では、短期的には、認定NPO法人制度の要件を適切に見直すことが必要である。
  • さらに、税制では、指定寄付対象法人の拡大、控除限度額の引き上げ、損金算入枠の拡大、寄付控除枠の繰越、所得控除と税額控除の選択制、事業申請の仮認定などの仕組みを検討すべきである。
  • 認定NPO法人制度については、短期的に取り組む課題として、収益事業に係る税率軽減、みなし寄付金の適用、利子所得の非課税を図る必要がある。
  • 寄付促進のために、税制以外で、(1) 情報検索、評価、決済機能の機能を有するNPOサイトの構築促進、(2) 寄附促進のための評価NPOの構築、(3) ファンドレイジング機関の設立円滑化、(4) 企業の社会貢献活動の公開等、が必要である。
  • NPO法に関しては、中長期的な検討事項として、情報公開のIT化、認証制度の再検討などが必要となる。
  • NPO活動の評価をするためには、(1) 評価目的の明確化、(2) 自己評価の普及浸透策、(3) 外部評価の普及浸透策が必要となる。
  • 外部評価の普及浸透策としては、(1) 資金提供者による事業評価、(2) 中立的な第三者評価、(3) 公益性の評価手法、などが重要になってくる。
  • NPOは、事業内容に関するもの、組織概要に関するもの、財務会計に関するものなど積極的に情報開示をする必要がある。
  • 情報公開の手法としては、インターネットによる情報公開、NPO情報に関するデータベース、ディレクトリの作成などの作成が必要ではないか。
  • 社会的費用の低減、公共的サービスの競争を図る観点から、行政は、営利企業と同等の参入機会を確保すべきと考える。
  • 行政は、公共サービスの外部委託の推進を行うために、NPOの特性を反映できる入札方式、価格以外の要素も考慮し得る入札方式の導入等を検討していく必要がある。
  • NPOへの債務保証の仕組みを検討していく必要がある。
  • NPOの会計基準は、経営実態に応じて、単式簿記・複式簿記のいずれか、また企業会計基準・公益法人会計基準のいずれかの採用は、各法人の判断に任されている。一方で、現行のNPO会計に関する規定は、公益法人会計基準を採用することが必要であるかの誤解を招いている。今後は、公益法人会計基準でなくても良い旨を明確化していく必要がある。

第5章 NPOの発展拡大とその経済効果

  • NPO法人、任意団体等のNPOの国内生産額は、2000年ベースで6941億円である。
  • これは、全産業の総生産額の0.08%に相当する。
  • 2002年1月末時点のNPO法人(5965件)を元に概算した概算額は、約8030億円である。
  • ボランティアの無償労働分を有償評価すると、4325億円になると評価される。これは、NPOの生産額の約60%に相当する。なお、無償ボランティアは、約67.3万人分に相当する。
  • NPOの生産規模は、国内最終需要の拡大により、今後10年間で、1兆7844億円へと拡大が見込まれる。
  • さらにNPOのサービスが向上すれば、公共サービスが従来の公共/非営利セクターからNPOへシフトすることにより、NPOの生産額が大幅に拡大することが見込まれる。
  • NPOの事務局スタッフは、現時点で約17.6万人と推定される。
  • 2010年までに、日本社会の構造改革が進み、2004年度以降、実質1.5%以上の経済成長が達成され、さらに、環境、福祉、情報などの成長分野において大きな需要創出が生まれた場合、NPOの事務局スタッフとして、新たに約24.2万人の労働需要の創出が見込まれる。

第6章 経済産業政策とNPO

  • 経済産業政策とNPOとの関係については、(1) 経済主体としてのNPO、(2) 政策提案者としてのNPO、(3)
    政策推進主体としてのNPO、という3つの視点から整理できる。

  • 対価を得て継続的に事業を行う事業型NPOは、(1) 生活密着型サービス産業の担い手、(2) 地域経済を活性化する主体、(3) 小規模事業者との相互作用などといった観点から、「新たな経済主体」として捉えることができる。
  • コミュニティビジネスに参画する住民、企業、行政の連携・調整を進める中核的な事業主体として、NPOの役割が期待される。
  • 厳しい経営環境を打開し、新しい分野に進出しようとする中小企業者や創業者への支援として、NPOとの連携強化を図ることや、地域や消費者のニーズ、アイデアを活かしたコミュニティビジネスの創業者としてのNPO等を通じた多様な取り組みが進むことが重要である。
  • 起業支援、人材育成等の政策課題に対応する民間主体の一つとして、NPO活動の可能性が注目される。また、地域における産業支援、起業家支援のネットワークとしてもNPOの役割が重要である。
  • 産業技術政策の分野においては、基礎的な研究開発の推進、産学連携の促進が重要な課題であるが、こうした課題解決において、NPOは重要な民間主体と位置づけられる。
  • 地球温暖化対策、省エネルギー・新エネルギー対策においては、NPOは、自ら対策に取り組む主体として、また国民の意識向上や具体的な行動を促す主体として位置づけられる。

 今後、産業構造審議会NPO部会は、平成15年3月の最終報告に向け議論を進めながら、経済団体、自治体、NPOを含めて幅広い層に普及広報を進める予定。

 また、この報告書に盛り込まれた提言の実現に向け、関係府省、経済財政諮問会議と政府税調などの会議との連携・調整を図るとしている。

 産業構造審議会NPO部会は、経済産業大臣の諮問を受け、「経済社会におけるNPOの役割及びその発展がもたらす影響、並びにNPOが経済社会主体として健全に発展する上での課題及びその解決のための必要な措置」について、平成13年9月から7回にわたり検討されてきた。

 その「中間とりまとめ(案)」は、平成14年4月15日~30日まで、経済産業省のホームページに公開、広く意見を募集していた。

 この期間に提出された意見は29件(延べ意見数117件)で、意見の提出者はNPO関係者18、企業関係者5、行政関係者2、大学関係者4、個人2となっている。

 中間取りまとめ報告書は、以下の経済産業省のホームページ。

 http://www.meti.go.jp/report/data/g20514aj.html

 パブリックコメントの結果は、以下の経済産業省のホームページ。

 http://www.meti.go.jp/feedback/index.html

 産業構造審議会NPO部会のリンク先は、以下の経済産業省のホームページ。

 http://www.meti.go.jp/report/committee/data/g_commi01_18.html

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