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2002年11月07日 10:00

行政 : 自民党NGO小委、税制要望採択

 11月7日午前11時30分から、自民党本部で、国際的NGOに関する小委員会(委員長・塩崎恭久衆議院議員)が開催された。シーズ事務局長の松原が認定NPO法人制度の現状と問題点について報告し、「平成15年度NPO法人に関する税制改正要望」が採択された。

 

 国際的NGOに関する小委員会には、約10名の議員が参加。外務省と内閣府の担当者も出席した。

 委員長の塩崎議員から、冒頭、「認定NPO法人制度が始まったものの、現在認証されているのは9法人という、たいへん奇怪な状況になっている。今回の税制改正に対する担当省庁の考えは、認定される法人の数が少しでも増えればいいといった程度にとどまっているようだ。この問題は、単に数を増やせばよいというものではなく、なぜNPO法人に税の恩典を与えるのかという哲学の問題だと思う。この点について議論していきたい」と述べた。

 次に、シーズ事務局長の松原明が認定NPO法人制度の現状と問題点について、シーズが行ったNPO法人実態調査の結果をもとに報告した。

 その中で、松原は、「認定NPO法人制度に改正に関しては、単に要件を緩くしてほしいとNPO側がおねだりをするものではない。NPOの健全な発展を阻害する内容になっている部分について改正を要望するものだ」「日本版パブリックサポートテストの3分の1要件を、5分の1に変えただけでは、改正した効果がほとんどないと予測される。制度の抜本的な見直しが必要だ」と訴えた。

 また、特に国際的な活動を行うNGOに関する問題点として、「外務省やJICA、国際機関等の委託事業が大きくなるとパスしにくい」「海外に送金したり、金銭の持ち出しをする場合は、事前に所轄税務署へ届ける義務があり、帰国後も補正をさせられることになり、事務処理だけで忙殺されることになる」ことなどを指摘した。

 報告を受けた後、「平成15年度NPO法人に関する改正要望案」の内容について議論がなされた。

 新藤義孝外務大臣政務官からは、「哲学から攻めていくことには大賛成。関係する委員会、部会、省庁が足並みを揃えて、要望をあげていってはどうか」などの提案があった。

 最後に、11月15日に開催される外交部会で、この要望書を小委員会として提案することを確認した。

 主な議論は以下の通り。

  • 主税局と話したところ、補助金を分子分母に算入するという議論をするには、ずいぶんと時間が必要だということだった。9法人を10にするという話ではなく、どうやってNPO/NGOの活動をいい方向に持っていくための税制にするのかという観点で、税調でも議論していただきたいと感じている。
  • 税収が減るなどといった話ではなく、NPOを社会に根付かせるために、議論をするのだという目的を明確にすべき。
  • 税金というのは、国民から集めているもの。補助金については、分子分母にいれるべきではないか。
  • 行政とのパートナーシップを組むという観点から、行政からの委託費も、分子分母にいれるべきではないか。
  • NPO議員連盟、NPO特別委員会との足並みを揃えていくことを確認する。

 なお、採択された要望書は以下の通り。

特定非営利法人に対する税制上の優遇措置について

平成14年11月7日
国際的NGOに関する小委員会

 1998年12月のNPO法(特定非営利活動法人)の施行以降、NPO法人数は2002年9月末現在で8315団体となっている。また、2001年10月には、認定NPO法人制度が導入され、一定の要件を満たすNPO法人について、寄附金控除等の特例措置が講じられることになったが、その認定要件が厳しいことから、これまでに認定を受けたNPO法人数は、2002年10月末現在で9法人にとどまっている。

 開発途上国における援助活動や緊急人道支援活動に従事するわが国の国際協力NGOの中にも、上記NPO法の施行後、NPO法人の認証を受けた団体数が急速に増加しているが、その多くは未だ財政基盤や組織能力が脆弱であり、特に資金面での制約が国際協力活動を展開していく上で大きな足枷となっている。政府においては、従来よりNGOの組織強化のための支援や事業面での支援・連携を強化しているものの、今後のNGOの安定的な発展のためには、主要な資金源である個人・法人からの寄附金収入や収益事業収入等による自己資金の確保を促進することが不可欠である。

 自民党国際協力NGO小委員会としては、わが国の「顔の見える国際協力」を推進していくためにも、国際協力NGOを育成・強化していくことが極めて重要であると考えている。今般、当小委員会としては、過去数回に及ぶ関係団体とのヒアリングやアンケート調査等の結果を踏まえ、国際協力という公益性の高い分野で活動するNGOについては、より多くの団体が認定NPO法人制度の適用を受けることが適当との考えから、別紙のとおり認定NPO法人制度の改正を要望することとした。

【別紙】

平成15年度NPO法人に関する税制改正要望

平成14年11月7日
国際的NGOに関する小委員会

1.認定要件の緩和

 認定NPO法人の認定要件は極めて制約が多く、殆どの団体が認定を受けられない状況にある。国際協力といった公益性の高い分野に従事するNPOの活動を促進するためには、より現実に即した要件内容に緩和すべきである。

(1)パブリック・サポート・テストの緩和

(イ) 国・地方公共団体からの「補助金」を分子分母に全額算入する。その際、政府・国際機関等からの委託金及び公益法人等からの助成金についても同様の扱いとする。
(ロ) 総収入金額等の計算においては、総収入金額から特定非営利活動に係る事業収入のうち対価を得て行った事業収入の収入金額を控除できるようにする。
(ハ) 総収入金額に占める寄附金の割合を1/3から緩和する。
(ニ) 寄附金基準限度額を受入寄附金の2%から総収入金額の2%に緩和する。
(ホ) 寄附金算入金額(現行3000円)の対象を1000円以上とする。
(ヘ) 社員からの会費についても寄付金として算入を認める。

(2)海外送金手続きの緩和

(イ) 海外に送金する場合の事前届出は、一定金額以上にする。
(ロ) それ以下の場合は、1年分をまとめて事後届出を可とする。

(3)情報公開の内容の緩和

(イ) 20万円以上の寄附者に対する情報開示要件を緩和する。
(ロ) 全ての給与受給者の氏名及び報酬の公開を緩和する。

2.みなし寄附金制度の創設

 認定NPO法人がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額は、公益法人等と同様にその収益事業からの寄附金とみなす制度を導入する(損金算入限度額は、公益法人等と同様に収益の20%とする)。

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