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2003年12月19日 10:00

行政 : 内閣府、運用基準さらに強化

 内閣府は、12月18日、「NPO法の運用方針」を改定すると発表した。市民から情報が寄せられたときに求めるとしていた「自主的な市民への説明要請」を、事業報告書の提出もれなどにも適用する内容となっている。12月25日から実施される。

 

 今回改訂された「運用方針」は、内閣府が、3月25日に発表、5月1日から適用しているもの。その後、10月にも一部内容が強化され、今回は2度目の改定になる。

 この運用方針は、「NPO法の適切な運用等に関する検討会」(座長:升田純聖心女子大学教授)が2月4日に発表した、報告書「市民活動の一層の発展を目指したNPO法の運用のあり方について~論点整理~」に基づき、作成されたもの。

 内閣府は、この運用方針において、「その他の事業」が2年連続して赤字計上されている場合や、管理費の総支出に占める割合が2事業年度連続して3分の2以上である場合に、報告徴収等の対象となり得るとしたほか、市民から情報が寄せられた場合に、「自主的に」、「市民への説明を要請」するなどの新基準を設け、議論を呼んでいた。

 内閣府では、10月にも、監督段階にのみ定めていた「市民への説明要請」を認証申請段階にまで拡大していた経緯がある。

 学者らで構成される「NPO法の適切な運用等に関する検討会」は、報告書作成後、開催されていなかったが、12月に再び開催され、今般の改定にいたった。

 運用方針の大きな変更点は以下のとおり。

  • 「市民への説明要請」を行った場合は、内閣府が団体に送った要請文書と、これに対する当該NPO法人による説明の内容を、基本的にすべて公開する。
  • 事業報告書等の全部または一部が提出されていなかったり、不完全な書類しか提出されていなかった場合、「市民への説明要請」を実施する。
  • 設立の認証後、登記をしたことを証する登記簿謄本を添付した届出書が提出されていない場合、「市民への説明要請」を実施する。
  • 定款変更の認証期間に市民から情報が寄せられた場合にも「市民への説明要請」を行うが、認証の効力が及ぶのは、申請に係る変更箇所のみであって、それ以外の箇所には、認証の効力は及ばない。

 事業報告書提出もれや登記未了の場合は、提出されていない理由と、今後の提出予定に関し、市民に説明をしなければならなくなる。

 「市民への説明要請」の方法は、公開の説明会や団体の運営するHP上の告知など、当該NPO法人に一任するとしている。市民への説明の後、その説明内容を記載した文書を内閣府に対し速やかに提出する必要がある。

 内閣府では、来年度公開の予定で、ホームページ上にNPO法人が説明したい内容を書き込むことのできる掲示板機能を構築することに取り組んでおり、これを利用することも可能になる。

 この運用方針は、内閣府の所管となるNPO法人に適用される。

 内閣府では、今回の改定の経緯について、「NPO法人の不祥事が新聞で報道されるなど、健全な活動を行っている他のNPO法人に対する信頼にも悪影響を与えるおそれがでてきたため」とする。

 今回の改訂の趣旨については、

「NPO法人の認証申請の中には、申請書類だけでは、法定の認証基準を満たしているかどうかについての判断が必ずしも容易でないものも少なくなく、また、法人格取得の方法が簡便なNPO法人制度の濫用も懸念される。
 NPO法の理念に照らし、NPO法人の説明責任と市民による選択・監視機能の一層の発揮を図るため、NPO法人自らが広く市民に対して自主的に説明を行うよう要請することを軸に据えた運用を認証および監督の両段階において一環して行う」

と説明する。

 事業報告書の提出もれや、登記未了については、現在、内閣府のHP内「NPO法人設立の認証状況」において、団体ごとに公表されている。これらの不備があった場合、行政罰である「過料」程度の罰則しか適用されない。内閣府では、「これでは、市民によるチェック機能が果たせない」と考えていた。このような状況を改善するため、今回の「市民への説明要請」を実施することとなった。

 内閣府では、「提出もれがあったらただちに説明要請をするかどうかは、今のところ決まっていない。提出状況をみて判断する」と話している。

 シーズの松原事務局長は、「NPO法は、行政の恣意的な運用や行政指導を排するため、法律で認証や運用の手続きをきちんと書ききるという立法精神で作られた法律。所轄庁が、『解釈』という形でどんどん運用を歪めていくのは大きな問題だ」とコメントしている。

 改定文書については、以下のURLから読むことができる。
 http://www5.cao.go.jp/seikatsu/npo/saishin/unyoukaitei.html

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