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2004年05月11日 10:00

行政 : 連絡会、公益法人改革意見書提出

 NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、5月10日、東京都内で総会を開催し、平成16年3月31日付で「公益法人制度改革に関する有識者会議」(座長:福原義春資生堂名誉会長)が発表した「議論の中間整理」に対する意見を取りまとめて、内閣官房公益法人制度改革推進担当室に提出した。

 

 NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、シーズ、日本NPOセンター、NPO事業サポートセンター、大阪ボランティア協会など、全国41のNPO支援団体でつくる制度改正のためのネットワーク組織。

 これまでも、認定NPO法人制度の創設・改正やNPO法の改正などの要望活動を展開してきている。

 5月10日、同連絡会は東京都内で総会を開催し、平成16年3月31日付で「公益法人制度改革に関する有識者会議」が発表した「議論の中間整理」に対する意見を取りまとめ、同日、内閣官房公益法人制度改革推進担当室に提出した。

 意見書は「『議論の中間整理』の内容について」と「今後の検討の進め方について」の2点についてまとめられた。

 「議論の中間整理の内容について」においては、公益法人制度の抜本的改革においては、一般法である公益法人制度をきちんと見直した上で、その特別法である特定非営利活動法人、社会福祉法人、学校法人といった関連する特別法を包括的かつ抜本的に改革すべきである、とした。

 また、「今後の検討の進め方について」では、現在、政府の有識者会議と税制調査会の二機関で法人制度と税制度をバラバラに議論しているが、民間非営利活動の促進という視点から法人制度と税制度を一体化して議論し、全体構想のあり方を議論すべきだとした。加えて、制度の設計にあたっては、影響を受けることが予想される民法の特別法による法人、特定非営利活動法人などの意見も広く踏まえて進めていくべきだと要望した。

 意見書の全文は以下の通り。

公益法人制度改革に関する「議論の中間整理」に対する意見

2004年5月10日

NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会

 この3月31日、内閣官房行政改革推進事務局に設けられた公益法人制度改革に関する有識者会議が、「議論の中間整理」を発表した。当連絡会としては、よりよい改革がなされることを念じ、この内容に対して、下記の10項目の意見を提出する。

【1】 「議論の中間整理」の内容について

  1. 公益法人制度の抜本改革によって創設する新しい非営利法人制度は、完全な非分配(残余財産の分配も不可とする)を原則とすべきであり、財産の分配可能な法人を基本とすべきではない。仮に、残余財産の分配が可能な法人を新しい非営利法人に含めるのであれば、残余財産分配可能な法人と、完全な非分配法人とは、違う法人類型として明確に分けた上で、非営利法人制度を設計すべきである。
  2. 公益法人制度の抜本的改革においては、一般法である公益法人制度をきちんと見直した上で、その特別法である特定非営利活動法人、社会福祉法人、学校法人といった関連する特別法を包括的かつ抜本的に改革すべきである。中間法人制度については、その後に、このような制度体系と整合性を図るべきである。現時点で、特定非営利活動法人や中間法人を公益法人制度改革の中に含めるべきではない。
  3. 今回の「中間整理」は課税のあり方については言及してないが、中間法人と同じ扱いをすることによって寄付金等(会費・寄付金・助成金・補助金)を課税する方向に導こうとする意図が見え隠れする。完全な非配分の非営利法人については、寄付金等の非対価性の収入は非課税とすべきである。
  4. 公益性を取り扱う仕組みのあり方については、「公益性」の考え方、認定要件、認定による効果、認定の方法や認定機関を一体として議論すべきである。「中間整理」では、認定による効果と認定機関とだけが先行していることには、特定の認定機関に誘導していこうとしているのではないかという疑念を抱かざるをえない。考え方を2つに限定する前に、「公益性」の考え方や認定要件などについてきちんとした検討を行うべきである。
  5. 民間非営利公益活動の重要性を認識するならば、その活動を促進するためのいっそうの措置こそ先に議論されるべきである。寄付金等の非課税は、完全な非分配である非営利法人に対する措置であって、この場合、認定は必要ではない。「公益性」が認定される場合には、さらに、より非営利法人が社会的目的のために活動しやすい税制上の措置(寄付金控除の拡充、金融収益非課税、みなし寄付金制度の拡充、資産の贈与の簡便化等)やその他の促進措置が検討の対象となるべきである。
  6. 財団法人のあり方については別途検討することしてほとんど具体的な記述がないが、民間非営利活動の発展のためには欠くことのできない重要な要素であり、新しい非営利法人の一類型として制度化すべきである。

【2】 今後の検討の進め方について

  1. 現状は、政府の有識者会議と税制調査会とで、法人制度と税制度をバラバラに議論している。民間非営利活動の促進という視点からは、本来、法人制度と税制度は、一体化して議論し、全体構想のあり方を議論すべきである。
  2. 制度の設計にあたっては、民間非営利活動の担い手である団体の意見が十分広く反映されるよう努めるべきである。改革の対象である公益法人はいうまでもないが、民法の特別法による法人も改革のあり方によっては大きな影響を受けることになる。改革の議論は、特定非営利活動法人をはじめとする特別法の法人の意見も十分広く踏まえて進めていくべきである。
  3. 今回の「中間整理」では、国民に広く意見を求めてはいるが、その意見に適切に対応していく考えなのかどうかということが分からない。現在の進め方では、とうてい「広く国民の理解を得」ていけるものとは思えない。公益法人制度改革の重要性に鑑み、公聴会やパブリックコメントの募集などを積極的に行い、国民的議論に付していくべきである。
  4. 公益法人制度改革だけで官庁からの天下りや公的資金の不透明な循環を抑制または防止することは困難である。行政改革の視点から実効性をあげるには、法人制度の改革と同時に他の抑制・防止方策についても検討し、その実現を図るべきである。

 公益法人制度改革に関する有識者会議が発表した「議論の中間整理」は内閣官房行政改革推進事務局ホームページ内、下記を参照のこと。

 http://www.gyoukaku.go.jp/news/h16/news0331.html

 なお、「議論の中間整理」については3月31日のNPOWEBのニュースでも紹介されている。

 https://www.npoweb.jp/news_info.php3?article_id=1585

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