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2004年06月02日 10:00

行政 : 全信協「市民事業支援は社会的使命」

 社団法人全国信用金庫協会は5月26日、「市民事業を支える地域金融の可能性を開く」と題する報告書を発表した。NPOなどが取り組んでいる市民事業を支援することは、信用金庫の「社会的使命」であると位置づけ、地域貢献の実践のひとつとして市民事業支援に積極的に取り組んでいくべきと提言している。

 

 報告書をとりまとめたのは、2003年10月に同協会内にたちあげられた「コミュニティビジネス支援研究会」。地域内資金循環を役割としている信用金庫が、NPOなどが取り組むコミュニティビジネスや市民事業を支援することは、社会的使命そのものであるとしたうえで、その支援のあり方について具体的な検討を重ねてきた。

 報告書「市民事業を支える地域金融の可能性を拓く~紡ぐ事業の芽吹くうるおいのある地域創造に向けて~」では、最初に信用金庫に期待される役割を整理。次に市民事業の実態と経営的課題を洗い出すと同時に、信用金庫の課題とも向き合ったうえで、最後に信用金庫の経営資源や技術を活かしたいくつかの市民事業支援策を提案している。

 市民事業の問題点としては、総じて思いや意欲はあるものの、事業の経済的成果や短期的な結果を重要視しない傾向があること、会計帳簿や決算書の作成が十分でなく、事業体の状況を会計面から把握できていないこと、金融機関から貸出を受ける際に将来の事業計画などが求められることについての認識が低いことなどを指摘している。

 一方で、信用金庫側も、資金需要は高いが一件の融資額は小さくなりがちな市民事業への貸出は時間がかかり、今まで十分に取り組んでこれなかったことを認めたうえで、融資審査に係るフォーマットの定型化、本部による審査等の工夫などにより、この壁を打ち破ることができるのではないかとしている。

 また、貸し出しの原資となる預金をする側も、安全・確実といった「経済的満足」よりも、自分の預金が地域社会に有効に生かされているかといった「社会的満足」を求めてはじめていることも指摘。「地域の富が預金という形で信用金庫に集まり、それを貸出という形で地域社会に有効に活用、還元できない信用金庫は地域市民から評価されない時代がきている」ことを率直に認めている。

 このような現状認識をしたうえで、同協会では、市民事業へは「資金的支援」だけでなく「非資金的支援」にも積極的に取り組んでいくべきと提言。具体的には、事業計画作成サポートや企業・事業立ち上げサポート、経営支援、経営相談、ビジネスマッチングサポートなどが考えられるとして、その支援の仕組みとしては地域のNPOサポートセンターなどと連携していくか、信用金庫内にそのような組織を立ち上げていくことなどを構想している。

 ほかにも、新ファンドの提供や証券化による流動性の付与、信用金庫OBの活用、「緑の再生預金」や「福祉の再生預金」といった目的預金の創設なども提案している。

 同協会では、「これにより、各地の信用金庫で市民事業への理解が深まり、持続可能な地域社会づくりに貢献することを願っている。」と語っている。

 この報告書の詳細は以下のURLから見ることができる。

 http://www.shinkin.org/

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