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2004年07月08日 10:00

行政 : 厚労省、コミュニティビジネスを調査

 厚生労働省は、NPO法人などによる「コミュニティ・ビジネス」の事業所及び従事者に対して、労働条件や求められる能力等の実態を明らかにするためのアンケート調査を実施し、6月18日に調査報告結果を公表した。

 

 近年、福祉、教育、環境保護などの分野で、多様で柔軟なサービスを提供する地域密着型のスモールビジネスとして、コミュニティ・ビジネスが注目を浴びている。コミュニティ・ビジネスは、雇用創出のみならず、高齢者などの社会参加・自己実現の場の提供、地域再生の担い手としても期待を集めている。

 厚生労働省は、今年2月に、コミュニティ・ビジネスの事業所及び従事者に対して、労働条件や求められる能力等の実態調査を実施し、6月18日、この調査結果を公表した。

 調査にあたっては、「コミュニティ・ビジネス」の定義を、「営利・非営利を問わず」、「地域の課題を解決し」、「地域の発展に貢献する」といった広い概念で捉えるとし、サービス分野を中心に、NPO法人、ワーカーズコレクティブ(含むNPO法人・企業組合)、企業組合、有限会社、小規模の株式会社を対象として、無作為抽出で1万の事業所とその事業所で働く人3万人に調査票を送付。そのうち、コミュニティ・ビジネスをおこなっている1480の事業所とそこで働く人2718人から回答を得た。

 報告書の概要は、以下の通り。

  • コミュニティ・ビジネスの組織形態は69%がNPO法人、次に有限会社が14%、ワーカーズ・コレクティブが12%となっている。(ただし、このワーカーズコレクティブのうち、3割の団体がNPO法人格を有す。)
  • 活動目的は「高齢者介護・生活支援」が26%でトップ。続いて「障害者自立支援」が10%と福祉分野が中心となっている。
  • コミュニティビジネスの立ち上げ代表者は8割以上が45歳以上。また、男性が7割を占めている。
  • 従事者の人員構成は回答者の8割が40歳以上。性別は女性が約6割。報酬形態からみると、無償が28.3%と高く、パートが27.6%、常勤正職員(有償)が20.9%。
  • 常勤正職員(有償)の1週間従事時間は平均35.3時間で、給与を時間給でみると、平均1,216円。非常勤有償者は平均週14.1時間の労働で時給は平均1,074円。こうした収入の位置づけとして、従事者全体の4割が「家計に寄与していない」と答え、次いで2割強が「世帯の家計を補助する収入で生活を支えている」と答えている。年齢別では、高齢になるほど、「家計に寄与していない」と答える割合が増える傾向にあった。
  • 事業所が従事者に「重要だが不足していると考える能力・知識」はマーケティング戦略立案、市場調査、消費行動、資金調達の知識など、通常の企業でも重視されるものが複数回答で6割を超えており、事業に直接関連する知識や技能は4割にとどまっている。一方、従事者が「重要だが不足していると考える能力・知識」として認識しているものは、事業に直接関連する知識や技能が6割を超え、マーケティング戦略立案、市場調査、消費行動、資金調達の知識など、通常の企業でも重視されるものは3割弱と低く、事業者と従事者の間には、認識のズレがある。
  • コミュニテイ・ビジネスの資金については、複数回答で、「事業収入の減少・頭打ち」、「十分な賃金が払えない」と答えた事業所が、ともに4割に上り、資金面での苦労が示されている。
  • 運営上必要と考える支援としては、複数回答で「事業化後の補助金・助成金」が4割強でトップ。続いて「施設・設備の貸与・廉価提供」、「雇用に対する補助金・助成金」、「広報活動支援」などが各々3割近くあった。実際に支援を受けているかどうかについては、「事業家後の補助金・助成金」については、必要と答えたうちの半数程度が、「施設・設備の貸与・廉価提供」は3分の1程度が、実際に支援を受けている。他方、「雇用に対する補助金・助成金」、「広報活動支援」については、求められているにもかかわらず、実際に支援を受けているのは1割を切っている。

 厚生労働省では、この調査の結果を、コミュニティ・ビジネスにおける課題の分析や労働行政上必要な支援の検討に役立てたいとしている。

 「コミュニティ・ビジネスにおける働き方に関する調査報告書」の概要は、厚生労働省サイト内、下記に掲載されている。

 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/06/h0618-5.html

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