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2004年09月11日 10:00

行政 : NPO連絡会が公益法人改革で意見書

 NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会は、9月10日、内閣官房行政改革推進事務局に対し、「公益法人制度改革の具体化に関する意見」を提出した。創設される非営利法人制度は非配分を原則とし、中間法人制度との統合は前提としないことを求めている。

 

 NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会(以下、「連絡会」)は、シーズ、日本NPOセンター、NPO事業サポートセンター、大阪ボランティア協会など、全国39のNPO支援団体でつくる制度改正のためのネットワーク組織。

 これまでも、認定NPO法人制度の創設・改正や、NPO法の改正などの要望活動を展開してきており、公益法人制度改革に対しては、「議論の中間整理」に対して5月10日に意見書を提出している。

 「公益法人制度改革に関する有識者会議」(座長・福原義春資生堂名誉会長)は、7月までに18回の議論を重ねてきたが、8月は夏休みで会合をもたず、9月15日から再開される運びとなっている。秋までには報告書というかたちで、新制度の枠組みを示すことが目的の会議のため、今後急ピッチで議論の集約を進めていくとみられている。

 連絡会では、再開される有識者会議に、改めてNPO側からの要望を示すため、10日、「公益法人制度改革の具体化に関する意見」と題する意見書を内閣官房行政改革推進事務局に提出した。

 意見書では、新しい非営利法人制度は完全な非配分を原則とすること、残余財産が分配可能な中間法人制度との統合には反対すること、公益性を取り扱う仕組みの設計は民間公益活動を育てる視点で行うことなどを要望している。

 有識者会議は15日から再開され、9月中にあと1回程度開催される予定。10月以降の開催回数は明らかになっていないが、10月末から11月を目途に報告書をとりまとめていくと見られている。それを受け、年内には政府案が固まる予定。

 一方、有識者会議の再開に先立って、9月3日には有識者会議の下部組織である非営利法人ワーキング・グループの第13回会合が開かれた。ワーキング・グループでは、新制度の一階部分(※)についての議論が着々と進んでいる。少数社員の保護規定や情報開示方法が具体化されつつあるうえ、財団型には、設立時に一定規模以上の基本財産を備えなければならないこと、大規模法人には会計監査人の監査を義務づける方向が固まりはじめている。

※ 新非営利法人(一階部分)は、準則主義で設立できるようになる一方で、その中から「公益性」があると判断される法人(二階部分)には何らかの優遇措置が与えられる、といういわゆる「2階建て」方式の制度になるとされている。

 連絡会が提出した意見書の全文は以下のとおり。


公益法人制度改革の具体化に関する意見

2004年9月10日

NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会

 内閣官房行政改革推進事務局においては、有識者会議の議論を踏まえて公益法人制度の抜本改革を進めつつあり、間もなくその成案がまとまる予定と聞く。改革自体は緊急の課題であるが、その内容はこれからの日本の非営利セクターの発展の根幹に関わるものだけに、慎重な配慮と検討を要するものである。当連絡会は、よりよい改革がなされることを念じ、これまでもその行方を見守り、時機に応じて意見を提出してきた。今、成案が纏められるにあたり、特に重要なこととして、改めて下記4点について、意見を提出する。

(1)新しい非営利法人制度は完全な非配分を原則に。

 現在提示されている会議用メモでは、「精算時の残余財産の帰属は、定款又は社員総会の決議により定める」とし、※印をつけて「定款又は社員総会の決議により、社員に残余財産を帰属させてはならないと決めるだけでなく、法律上、残余財産を帰属させてはならないとする法人類型を別途設けるべきであるという指摘については、当該類型を設ける制度的な理由の有無及び当該規律の実効性の有無等を踏まえ、なお検討する」と注記しているが、我々が主張していることは、そのようなことではない。まず本体としての非営利法人そのものを残余財産の分配できない完全な非配分の制度にすべきであるということを主張しているのである。それが本来の非営利法人の姿であり、これからの日本社会に健全な非営利活動を育てるためにも、また現行の公益法人を移行する受け皿とするためにも、必須のことと考えるからである。その上で、もし財産の分配可能な法人類型が必要なら、別途、準非営利法人のような形で、そのありかたを考えればよいのである。発想が逆転していることを指摘しておきたい。もし敢えて逆転させているのだとすれば、なぜそうするのかを説明していただきたい。

(2)中間法人との統合は前提としては考えない。

 現在提示されている会議用メモでは、「社団形態の法人には、中間法人上の中間法人を統合する方向で検討する」と大前提のように記されているが、新しい非営利法人は(1)でも指摘したように完全な非配分原則を貫くべきであり、残余財産の分配が可能な中間法人との統合は考えられないことである。もし残余財産の分配が可能な法人類型を別途つくることにするなら、その法人類型と中間法人の統合はあり得るであろうが、それはあくまで結果としてそうなるのであって、新しい非営利法人をつくろうとするときの前提にすべきことではない。このような前提からスタートした制度設計は、理念なきご都合主義に終始し、必ず失敗に終わるであろう。

(3)財団法人制度はその存在意義を確認してさらに具体的な検討を。

 財団制度の必要性についてはかねてから我々の主張してきたことであるが、現在提示されている会議用メモでは、「公益性を要件としない財団形態の法人制度(公益性の有無に関わらず、一定の目的の下に提供された財産に法人格を付与する制度)を創設する」と明記しており、これは従来の曖昧な書き方から一歩進んだものとして評価できる。ただし注記を読むと、その理念が不明確なままガバナンスの強化のみが検討されているように感じられる。財団法人制度の社会的な存在意義を明確にして、実効ある制度となるようさらに具体的な検討を進めていただきたい。なお、財団法人においては、非配分の貫徹はさらに必須の条件となるものと思われる。

(4)公益性を取り扱う仕組みの設計は民間公益活動を育てる視点で。

 公益性を取り扱う仕組みについては、考え方A(課税庁以外の第三者機関による)を前提に具体的な検討がなされており、一定の評価ができる。しかし現在提示されている会議用メモでは、ガバナンスチェックのことばかりが強調されており、民間公益活動を育てる仕組みとしての言及がほとんど見られない。財政規模別に認定要件をきめ細かく段階を設けるなど、日本社会にいかに公益活動を普及し発展させるかといった視点から、公益性の判断主体のありかたや判断基準のありかたを検討していただきたい。

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