English Page

ニュース

2005年08月03日 10:00

行政 : エネルギー消費情報開示で提訴

 7月29日、NPO法人気候ネットワークは、省エネ法に基づいて事業所が経済産業省に提出した石炭や原油などの燃料の消費量や電力使用量のデータについて、同省が情報開示を拒否したのは違法だとして、国を相手取り非開示決定の取消しを求める行政訴訟を起こした。

 

 NPO法人「気候ネットワーク」(代表=浅岡美恵弁護士)は、地球温暖化防止に取り組む全国の市民・市民団体のネットワーク組織として、温暖化に関する情報発信や政策提言、温暖化国際交渉への働きかけなどの活動を続けている。1998年4月に設立され、1999年11月にNPO法人化した。

 地球温暖化で問題となっている二酸化炭素の排出量は、日本国内で年間12億トンに上り、その最大の排出源は産業界である。しかし、温暖化対策に取り組むためには排出実態の把握が不可欠だとされているにもかかわらず、各事業者にはどれだけの二酸化炭素を排出したかを公表する義務はない。

 昭和54年に制定された「省エネ法」(「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の略称)では、一定量以上のエネルギーを使用している工場は、エネルギー使用量を経済産業省に定期報告することが義務付けられている。

 このエネルギー使用量が分かれば、それに一定の係数を掛けることによって二酸化炭素排出量を算出することができる。例えば、石炭ならば1キログラム燃やせば約650グラムの炭素(二酸化炭素に換算すると2.39キログラム)が排出されたことになる。

 しかしながら、このエネルギー消費量に関する報告情報は公開されていない。NPO法人「気候ネットワーク」は、2003年度分のエネルギー使用量について、経済産業省に情報開示請求を行ってきたが、対象となる5037事業所の15%にあたる753事業所の情報が開示されなかった。なかでも、高炉による製鉄、石油精製、セメントなどエネルギー多消費の業種では、ほぼ100%が非開示であった。

 非開示の理由は、「製品当たりのエネルギーコストが類推され、競合他社の競争上の不利益や販売先事業者との価格交渉上の不利益が生じること等が想定される」というもの。情報公開法では、行政機関にその保有する情報の原則公開を義務付けているが、製造方法等のいわゆる企業秘密については開示しなくて良いとされており、それに基づいた企業の開示拒否理由を認めた形での非開示となった。

 「気候ネットワーク」は、省エネ法に基づく報告情報は、実効性のある温暖化対策を策定、実施、評価、見直しを行うために不可欠の情報であり、燃料や電気の消費量の開示によって当該事業者の正当な利益が害されるものではないとして、代表的な事務所について、名古屋地裁及び大阪地裁に非開示決定の取消しを求める行政訴訟を提起した。

 「気候ネットワーク」によれば、近日中に東京地裁にも同様の訴訟を起こすとのこと。

 「地球温暖化防止情報公開訴訟」については、「気候ネットワーク」のサイト内、下記を参照のこと。

 http://www.jca.apc.org/kikonet/iken/kokunai/2005-7-29.htm

ページ上部へ戻る

MAILMAGAZINE

NPOに関する政策・制度の最新情報、セミナー・イベント情報など月数回配信しています。 NPO法人セイエンのメールマガジン登録ご希望の方はこちらから

contact

特定非営利活動法人
セイエン/シーズ・市民活動を支える制度をつくる会(清算手続中)

〒108-0014
東京都港区芝四丁目7番1号 西山ビル4階
※2021年4月1日より、新住所へ移転しました。シェアオフィスでスタッフは常駐していません。ご連絡は電話・メール等でお願いいたします。2022年4月よりFAX番号が変更になりました。

TEL:03-5439-4021
FAX:03-4243-3083
E-mail:npoweb@abelia.ocn.ne.jp
ホームページ:http://www.npoweb.jp/

事務所地図・交通アクセス

  • 東京都「認定NPO法人取得サポート」
  • NPO法改正&新寄付税率
  • 震災支援情報
  • 認定NPO法人になるための運営指南