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2005年12月15日 10:00

行政 : 税制改正決定、PSTが一部改正へ(速報)

 12月15日、自民党は、平成18年度税制改正大綱を決定した。認定NPO法人制度に関しては、パブリックサポートテスト(PST)の要件が緩和されるなど、一定の改正が実現した。来年4月1日から施行される予定。ただ、この改正の効果については不透明だ。

 

 12月15日、自民党税制調査会は「平成18年度税制改正大綱」を決定した。15日夕方、公明党と与党税制協議会を開催して、与党として正式決定を行う。

 この中で、認定NPO法人制度の改正が決定された。

 主な改正点で、要件が緩和された点は以下のとおり。

  • パブリック・サポート・テスト(PST)で、社員の会費は、一定の条件のもとで、分子に一定額まで入れられるようになる
  • PSTで、行政からの補助金も、選択制で、分母に全額、分子に一定額(分子に算入する受入寄付金総額等の金額と同額)まで入れられるようになる
  • PSTで、特定公益増進法人や認定NPO法人からの寄付金は、受入寄付金総額の50%まで分子に算入できることになる
  • 役員・社員等でない寄付者や従業員の名簿等が公開されなくなる
  • 100人以上社員がいる場合、社員に占める特定親族の制限の要件を適用しない
  • 小規模法人(2事業年度の収入平均が800万円未満等)は、簡易なPSTを選択できることにより、申請負担が軽減される
  • 寄付金控除の適用下限額が1万円から5千円に引き下げられる

 一方で、認定要件がかえって複雑になり、申請手続きの簡素化という点からはむしろ逆に煩雑さは増した格好だ。

 改正運動にあたってきたシーズの事務局長の松原は、

「一般の寄付者や従業員の名簿が非公開となったり、社員(正会員)からの会費がPSTでプラス評価されるようになるなど、前進したところはあり、その点は評価したい。

 しかし、要件をシンプルにしてほしいという要望からはむしろ遠のいている感もある。今回の改正が、どこまで実効性があるかは正直疑問だ。認定数はそれほど増えないのではないか。私たちとしては、引き続きねばり強く、要件緩和を求めていく考えである。

 なお、今回の改正にご支援・ご協力いただいた国会議員、政府関係者、全国のNPO関係者に感謝したい」

と述べている。

 大綱の関連部分は以下のとおり。


平成18年度税制改正大綱

平成17年12月15日

自由民主党

第二 平成18年度税制改正の具体的内容

十一 その他

(国税)

2 寄付金控除の適用下限額を5千円(現行1万円)に引き下げる。

6 認定NPO法人制度の認定要件等について、次のとおり見直しを行う。

(1)いわゆるパブリック・サポート・テスト(総収入金額のうちに寄附金総額の占める割合が3分の1以上(特例5分の1以上)であること)について、次のとおり見直しを行ったうえ、5分の1以上とする特例の適用期限を2年延長する。

  1. 受入寄附金総額から控除する一者当たり基準限度超過額(同一の者からの寄附金のうち受入寄附金総額の5%を超える部分の金額)について、次のとおり見直しを行う。
    1. 特定公益増進法人及び認定NPO法人からの寄附金については、同一の法人からの寄附金のうち受入寄附金総額の50%を超える部分の金額とする。
    2. 役員又は社員以外の寄附者からの寄附金については、その親族関係を有する者からの寄附金を同一の者からの寄附金とみなす規定は適用しない。
  2. 国、地方公共団体又はわが国が加盟している国際機関(以下「国等」という。)からの補助金について、現行制度との選択で、分子に算入する受入寄附金の額を限度として分子に算入し、全額を分母に算入することができることとする。
  3. 社員からの会費について、画一的又は合理的と認められる基準に基づいて定められていること等一定の要件を満たす場合には、会費収入から共益的な活動と認められる部分を控除した金額を分子に算入する。ただし、分子に算入する受入寄附金の額を限度とする。

(2)役員又は社員の親族等及び特定の法人に係る要件について、社員の数が100人以上の法人である場合には、社員を親族等に係る要件の対象から除外する。

(3)閲覧の対象となる書類等について、次のとおり見直しを行う。

  1. 一者からの20万円以上の寄附金に関する事項について、閲覧の対象となる寄附者を役員及び社員並びにこれらの親族等に限定するとともに、寄附者の住所又は事務所の所在地を閲覧事項から除外する。
  2. 報酬又は給与を得た役員又は従業員に関する事項について、閲覧の対象となる従業員の氏名及び金額は、従業員が社員又は役員若しくは社員の親族等である場合に限定するとともに、従業員の総数及び給与の支給総額を閲覧事項に加える。
  3. 上記i.及びii.の改正に伴う報告書類の見直しのほか、届出書の添付書類等について、所要の整備を行う。

(4)小規模法人(実績判定期間内の各事業年度の総収入金額の平均が800万円未満の法人をいう。)が、実績判定期間において、役員及び社員を除く50者以上の寄附者から、一者につき3,000円以上の寄附者が明らかな寄附金を受け入れている場合には、平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間の申請について、パブリック・サポート・テストに代えて、簡易な計算式({(受入寄附金総額-一者当たり基準限度超過額)+国等の補助金+社員の会費}/(総収入金額-国等の委託事業収入等)≧1/3)で判定を行うことができる措置を講ずる。

 なお、この計算式を適用した場合には、各事業年度ごとの基準(10分の1以上)は適用しないこととする。

第三 検討事項

11 公益法人制度改革については、政府が講じる法制上の措置等の具体的内容を見極めた上で、新制度施行までの間に、それに対応した税制上の措置を講じる。

 具体的には、新たな制度の下で公益性の認定を受ける法人の課税対象範囲、税率等について、公益的な事業活動が果たす役割の重要性に配慮しつつ適正な課税の確保を図る観点から、公益的な事業として行う事業の内容や営利競合の排除の必要性等を踏まえ、検討する。

 また、公益性の認定を受ける法人やその寄附者等が寄附金税制の適用を受けるための要件、手続等のあり方を検討する。

12 認定NPO法人制度については、今般の改正後の実施状況を見極めるとともに、活動の透明性の確保にも留意し、上記11の公益法人制度改革の施行までに、新制度にかかる寄附金税制の取扱いを踏まえつつ、所要の総合的検討を行う。

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