English Page

ニュース

2006年07月19日 10:00

行政 : 岐阜県、第三者組織でNPOチェック

 6月28日、岐阜県は県内のNPO法人の運営の適正化を図る目的で、所轄庁の設立認証、監督措置などに対して進言する第三者組織、「NPO法人認証検討委員会」を設置すると発表した。民間人5名からなるこの検討委員会は、7月から、月一回開催され、市民からの情報提供、事業報告書未提出のNPO法人への対応などを検討して県に進言する。

 

 岐阜県は、NPO法人の運営適正化に関する下記の3つの取組について6月28日に発表した。

  1. NPO法人認証検討委員会の設置
  2. NPO法人設立認証時の縦覧書類のホームページ上への掲載
  3. 「公益信託ぎふNPOはつらつファンド」から助成を受けた法人に対する調査・確認

 県によれば、この3つの取り組みは、行政の裁量を極力排したNPO法の趣旨と両輪を成すべき市民のチェック機能をいっそう高めるためのものであるとしている。

 このうち、「NPO法人認証検討委員会」は、弁護士、税理士、有識者などの5名から構成され、7月20日には第一回の検討委員会が開催され、以下の内容を検討する。

  • NPO法人設立認証申請への意見
  • 市民からの情報提供への対応
  • 事業報告書が提出されていないNPO法人への対応
  • 監督措置の実施の必要性等

 この委員会は法的権限は持たず、認証や取り消しなどはあくまで県の判断で行う。

 県の担当者によれば、委員会では、個々のNPO法人に対する所轄庁の対応について検討するというより、所轄庁のNPO法の運用方針について、市民の立場から忌憚のない意見を述べてもらう場としたいという。

 また、委員会は原則公開として、あらかじめ開催を告知し、誰もが傍聴することのできる会議にする。ただし、個人情報にかかわる議題については、別途、非公開で議論することもあるとのこと。また、傍聴した人からの意見も県としてくみ上げていきたいとしている。

 県によれば、所轄庁が、NPO法人に関して、このような第三者委員会を設置するのは全国初の試み。

 「NPO法人設立認証時の縦覧書類のホームページ上への掲載」については、より広く県民が縦覧情報に接することができるようにするために、7月3日より実施。設立趣意書、定款、役員名簿、2事業年度分の事業計画と収支予算書が掲載されている。

 なお、岐阜県と同様に縦覧書類をネットで公開しているのは、内閣府、埼玉県、滋賀県、鳥取県。

 また、岐阜県では、現在、所轄するNPO法人の社員名簿や事業報告書等の閲覧書類についてはネット上で公開していないが、今後、閲覧書類の公開も行いたいとしている。

 「公益信託ぎふNPOはつらつファンドから助成を受けた法人に対する調査・確認」については、助成事業の実施期間内に、実施状況の把握、適切な資金管理の確認などを、各法人の事務所を訪問して調査するとのこと。

 県は、これら3つのあらたな取組みを通じて、NPO法人の透明性を高め、地域の理解促進や活動の活発化につなげたいとしている。

 一方で、このような所轄庁の動きに対して、シーズ事務局長の松原明は、「問題がある」と以下のように指摘している。

「NPO法の基本は、NPO法人の監督については、犯罪や法令違反をのぞいては、行政の関与を出来る限り少なくして、一方で市民社会のチェックに委ねるというものだ。しかし、この市民社会のチェックというのは、市民社会の中での淘汰が起こることを期待しているのであって、行政に市民が問題を報告して、対応を求めるというものではない。最近、この『市民社会のチェック』というものが、誤解されているのではないか。

 もともと、NPO法の立法過程において、1996年12月に当時の与党3党(自民、社民、さきがけ)が国会に提出した『市民活動促進法案』(現特定非営利活動促進法)には、『何人も、設立の申請をした者やNPO法人が、設立の要件を満たしていなかったり、法令等に違反していると考える場合には、所轄庁に対してその旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる』(要旨)とする条項(旧44条)があった。

 当時、NPO側から「チクリ条項」と揶揄されたものである。市民にいたずらに告発を勧めるものであり、NPOへの不信感を助長する、として批判を集めた。批判の高まりを受けて、1997年5月の与党3党と民主党との修正協議において、この条項を削除することとなり、1997年6月に法案が衆議院を通過する時点で完全に削除された経緯がある。

 最近、いくつかの所轄庁がホームページで実施している『市民からの説明要請』も、この岐阜県の第三者機関も、このような立法時の議論の経過を踏まえていない対応だといえる。

 さらに、認証は、原則書面審査であり、実態審査を原則なくしていこうというのもNPO法の前提だ。その方が、所轄庁が余計な責任を負わなくて済むし、所轄庁も楽になれると思うのだが、岐阜県の対応は、実態審査に近づくものとなり、結局、行政の不要で責任の所在のあいまいな関与を強めてしまう。

 NPO法のあり方からすると2重の問題がある。」(松原明シーズ事務局長)

 岐阜県「NPO法人の運営適正化に関する取組みについて 」は、同県サイト内、下記を参照のこと。

 http://www.pref.gifu.lg.jp/contents/news/release/H18/z00000318/

ページ上部へ戻る

MAILMAGAZINE

NPOに関する政策・制度の最新情報、セミナー・イベント情報など月数回配信しています。 NPO法人セイエンのメールマガジン登録ご希望の方はこちらから

contact

特定非営利活動法人
セイエン/シーズ・市民活動を支える制度をつくる会(清算手続中)

〒108-0014
東京都港区芝四丁目7番1号 西山ビル4階
※2021年4月1日より、新住所へ移転しました。シェアオフィスでスタッフは常駐していません。ご連絡は電話・メール等でお願いいたします。2022年4月よりFAX番号が変更になりました。

TEL:03-5439-4021
FAX:03-4243-3083
E-mail:npoweb@abelia.ocn.ne.jp
ホームページ:http://www.npoweb.jp/

事務所地図・交通アクセス

  • 東京都「認定NPO法人取得サポート」
  • NPO法改正&新寄付税率
  • 震災支援情報
  • 認定NPO法人になるための運営指南