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2006年10月06日 10:00

行政 : 日本経団連等、NPO支援税制の拡充求める

 9月21日、経済同友会が「イノベーションを促進するエンジェル税制の拡充を」を発表。これによって、日本経団連、日本商工会議所を含めた財界3団体の平成18年度の税制改正に関する提言書が出そろった。これらのうち、日本経団連と日本商工会議所の提言には、NPOへの支援税制の拡充が盛り込まれている。

 

 9月19日、(社)日本経済団体連合会(日本経団連)が「平成19年度税制改正に関する提言」を、20日に日本商工会議所が「平成19年度税制改正に関する要望」を、21日には(社)経済同友会が「イノベーションを促進するエンジェル税制の拡充を」を発表した。

 いずれの提言書も、少子高齢化、グローバル化が加速している状況下で、国の財政収入を黒字化するには、増税ではなく経済成長によって税収を増加させることが重要だと指摘。そのためには経済活性化と競争力強化が不可欠であるという視点に立って、来年度の税制に反映すべき事項を提言している。

 日本経団連は、法人税において、企業の設備更新の足かせになっている減価償却制度の見直し(償却可能限度額の撤廃と法定耐用年数の短縮)を要望。所得税については、少子化対策として、子育て世帯に対する現行の扶養控除と児童手当とをあわせた「子育て税額控除」制度の創設を提言している。

 日本商工会議所は、中小企業の競争力・成長力強化の観点から、事業用資産承継に際して後継者に課せられる相続税の負担軽減を提言。少子化対策としては、企業内託児施設への税制支援を盛り込んでいる。

 経済同友会は、起業支援につながるエンジェル税制の拡充を提言。個人投資家が、ベンチャ-企業に投資を行いやすくするために創設された税制優遇措置、いわゆるエンジェル税制の利用実績がごく僅かにとどまっているのは適用要件が厳しいためだとして、要件の一部撤廃を求めている。

 このうち、日本経団連と日本商工会議所の提言書には、NPOに関する税制の改正要望が盛り込まれている。

 日本経団連は、利益の分配を行わない非営利法人に生じた利益については、原則として法人所得課税の対象外とすべきと提言。また、企業ならびに個人による公益目的の寄付金を積極的に支援する税制を構築する必要があるとして、企業については、公益目的の寄付に関する損金算入枠を拡充する、個人住民税については限度額を拡充するとともに、相続財産の寄付についても対象とするといった寄付金税制の拡充を求めている。さらに、国外のNPOに対する寄付金も対象とすべきだとしている。

 日本商工会議所は、所得税、法人税、住民税における寄付金税制について、公益法人制度改革や認定NPO法人制度の見直しを踏まえつつ所要の税制措置を講じるとともに、寄付金控除限度額の大幅な引き上げや適用下限額の撤廃など、充実を図ることを求めている。

 該当箇所の原文は以下のとおり。

 なお、各提言書は、全文が下記に掲載されている。


(社)日本経済団体連合会「平成19年度税制改正に関する提言」

II.法人税制

6.非営利法人(団体)課税・寄付金税制

(1)非営利法人(団体)課税

 昨年6月政府税制調査会から、新たな非営利法人課税のあり方について基本的な考え方が示されているが、今後のわが国社会における非営利法人(団体)の重要性を積極的に支援する抜本的改革に向け、さらに検討を深める必要がある。

 民間非営利活動は、これまでの多くの公益法人のような主務官庁の活動を補充する役割としてではなく、多元的な社会・経済システムの中で積極的に位置付けられるべきである。

 このような観点からは、本来、利益(剰余金)の分配を行わない非営利法人(団体)に生じた利益については、原則として法人所得課税の対象外とすべきである。仮に、非営利法人(団体)の行う収益事業に課税を行わざるを得ない場合でも、限定した範囲にとどめるべきである。

 なお、新制度施行後5年間の移行期間において、現在の公益法人が特例民法法人に留まる場合も、非営利である限りは、課税対象とすべきではない。

(2)寄附金税制

 社会のニーズに対応した民間の非営利活動を支えるよう、企業ならびに個人による公益目的の寄附金を積極的に支援する税制を構築する必要がある。

 企業の寄附に関しては、社会貢献活動を一層充実させるために、現行の一般寄附金を含め、公益目的の寄附に関する損金算入枠を抜本的に拡充すべきである。また、個人の寄附金控除に関しても、個人住民税における扱いの見直しを含め限度額を拡充するとともに、相続財産の寄附についても対象の拡大を図るべきである。公益目的の寄附金には、新制度における「公益法人」や「認定NPO法人」に対する寄附金のみならず、経済活動、非営利活動のグローバル化を踏まえ、国外も含めた一定の非営利法人(団体)に対する寄附金まで幅広く含めるべきである。


日本商工会議所「平成19年度税制改正に関する要望」

I.重要要望項目

3.経済社会の変化への対応

(4)寄附金税制の充実

 今日、価値観や社会のニーズの多様化が進む中、市民活動から企業の社会的責任に至るまで「民間が担う公共」の領域が拡大し、ボランティア活動などその領域を支える民間の非営利活動の重要性が高まってきている。その活動を資金面で支える大きな柱のひとつが寄附金であり、今後、寄附をしやすい環境を整備することが重要となってくる。このため、「民間が担う公共」への資金面での支援を促す観点から、公益法人制度改革や認定NPO法人制度の見直しを踏まえつつ所要の税制措置を講じるとともに、寄附金控除限度額の大幅な引き上げや適用下限額の撤廃など、平成18年度税制改正に引き続き、寄附金税制のさらなる充実を図るべきである。

II.要望項目

A.国税

1.所得税

(18) 寄附金税制について、公益法人制度改革や認定NPO法人制度の見直しを踏まえつつ所要の税制措置を講じるとともに、寄附金控除限度額の大幅な引き上げや適用下限額の撤廃など、平成18年度税制改正に引き続き、寄附金税制のさらなる充実を図ること。

2.法人税

(28) 寄附金税制について、公益法人制度改革や認定NPO法人制度の見直しを踏まえつつ所要の税制措置を講じるとともに、寄附金控除限度額の大幅な引き上げや適用下限額の撤廃など、寄附金税制のさらなる充実を図ること。

B.地方税

1.住民税

(7) 寄附金税制について、公益法人制度改革や認定NPO法人制度の見直しを踏まえつつ所要の税制措置を講じるとともに、寄附金控除限度額の大幅な引き上げや適用下限額の撤廃など、寄附金税制のさらなる充実を図ること。

C.その他

5.活動実態を踏まえた非営利法人課税の実施

(1) 非営利法人課税の見直しは、個々の公益法人等の活動実態を十分に踏まえて実施する必要があり、そうした観点にたてば、商工会議所法に基づき設立されている商工会議所のような特に公益性の高い法人については、その存在意義や役割はむしろ地方自治体や公共法人と同等であると言える。このため、課税対象所得の範囲や軽減税率、資産課税等について、現行以上の課税強化を行わないこと。

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