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2007年07月26日 10:00

行政 : NPOを支える資金循環に関する報告書

 7月5日、内閣府は、平成18年度内閣府委託調査「『豊かな公』を支える資金循環システムに関する実態調査」の報告書を公開した。

 

 7月5日に内閣府が公開した報告書、「『豊かな公』を支える資金循環システムに関する実態調査」は、NPOなどの行う公益的な活動に対する民間からの資金の流れを活性化させ、「民間の資金を社会的課題解決に活かすための方策」について検討している。

 この調査は、内閣府が、平成18年度に、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託して実施。

 報告書によれば、この調査は、NPOに対する資金について、寄付、助成、融資、投資に着目して、以下の流れで進められた。

 1)NPOなどへの資金支援を行っている助成財団や金融機関に対してアンケート調査を実施することにより、現行の資金支援の仕組みについて実態を調査。

 アンケート調査の対象は、下記の901件。

・助成団体:305件。
 (この305件には、社団法人、財団法人、共同募金、社会福祉法人、任意団体、一般事業法人、生活協同組合、独立行政法人等が含まれる。)
・地方銀行:64件。
・第2地方銀行:46件。
・信用金庫:290件。
・信用組合:169件。
・労働金庫:13件。
・NPOバンク:14件。

 対象とした901件のうち、425件の回収を得た。(回収率は47.2%)

 アンケートでは、民間非営利団体に対する資金支援に関する仕組みの有無を尋ねた結果、「ある」が49.6%、「ない」が50.1%となった。

 法人格別にみると、社団法人、財団法人、共同募金、社会福祉法人、特定非営利活動法人、労働金庫においては、「ある」と回答した割合が高く、地方銀行、信用金庫、信用組合においては「ない」と回答した割合が高くなっている。

 資金支援の形態をみると、「助成」と回答した割合が74.4%と最も多く、次いで、「融資」(28.4%)「寄付」(9.5%)となっている。

 支援対象費用を性格別にみると、「個別のプロジェクト(事業費)」が最も多く全体の47.9%を占めた。次いで、「団体運営費及び個別のプロジェクトの両者」が21.3%となっている。「特に限定していない」は13%であった。

 今後の支援総額に関し、「現状維持」との回答が52.1%と最も高くなっている。また、「拡大させたい」との回答は40.3%になる。

 2)NPOへのヒアリング調査により、現行の仕組みにおいてNPOが資金調達上どのような課題を有しているか把握。

 続いて、資金の受け手である非営利活動団体からのヒアリングによって、民間非営利団体が抱える資金調達に関する現状を把握した。

 例えば、シャプラニール=市民による海外協力の会においては、団体設立時から1990年代半ばまでは組織体制の確立に取り組んだ時期であり、支援目的別の基金の設置や手工芸品の販売等が主な資金源であった。1991年のバングラディシュにおけるサイクロン被害への緊急支援キャンペーンを境に会員数を拡大し、会費収入を増やすことで、活動範囲も拡大させた。また、活動の拡大に伴い、法人格取得後には民間助成金だけでなく公的資金の利用も増えているとのこと。

 こうした実態から、、団体の発展段階にともない、団体が抱える資金需要と調達が異なっていることが、明らかとなった。したがって、NPOの活動基盤の強化を考える上では、特定の資金源に依存するのではなく、使い道の自由度と資金調達の効率、資金規模の異なる多様な資金源が確保され、それぞれの団体の発展段階やミッション、活動の状況に応じて選択できる環境を整えていく必要があると考察している。

 3)抽出された課題の解決に向けた取り組みについて、市民金融、地域金融機関、自治体等の連携による現行の課題の解決」及び「多様な主体からの寄付による資金的支援の可能性」を取り上げ、実態調を調査。

 そのなかでは、資金の需要・供給のマッチングに成功している事例の1つとして、「きょうと市民活動応援融資制度」をとりあげている。

 この融資制度は、近畿労働金庫が、京都労働福祉協議会から預託されたソーシャル・ファンド預金を担保として、NPO法人きょうとNPOセンターと審査面において協力することにより、リスクを分散し、NPO法人へ融資を行うというもの。NPO法人は信用保証の対象とならないこと及び事業評価の困難さから、NPO法人への融資は行われにくいという現状において、京都労働福祉協議会ときょうとNPOセンターとの連携をとおして、金融機関がNPO法人へ融資を行うことを可能とした。

 1)から3)の調査を踏まえて、今後NPOが活動の基盤を強化していく上で、どのような取り組みが求められているかを整理。

 NPOが資金の種類や特徴、それぞれの制度の狙いなどを十分に理解したうえで、自分たちの団体にあった財源開拓や確保の方法を主体的に選択し、団体を運営していけるよう、環境を整備することが必要であると結論付けている。

 また、調査を通じて、成功事例に共通するものとして、下記をあげている。

・NPOと金融機関や中間支援組織との密接な連携。
・支援者へのきめの細かい団体活動情報などのフィードバック。
・市民による少額・多数の資金をNPO等への資金支援に活用するために諸制度(制度金融、預金担保=第三者による担保保証、信用保証制度や公益信託制度)の積極的な利用。

 その一方で、上述の諸制度(制度金融、預金担保=第三者による担保保証、信用保証制度や公益信託制度)等について、より利用しやすい環境整備や制度見直しの余地があるとも述べている。

 「『豊かな公』を支える資金循環システムに関する実態調査」の報告書は、内閣府サイト内、下記に掲載されている。
 http://www5.cao.go.jp/keizai2/2007/0705yutakanaooyake/

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