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2003年の報告

2007年08月29日 14:13

NPO支援財団研究会第3回シンポジウム

「NPOと助成財団との新たな協働」

 NPO支援財団研究会の主催する表記のシンポジウムが、2003年12月12日(金)午後1時から5時まで、東京都千代田区の全日通霞ヶ関ビルにて開催された。

 会場には、財団、NPO、企業などから約200名の参加者が集い、助成財団とNPOのパートナーシップについての関心の高さをうかがわせた。

 主催のNPO支援財団研究会とは、助成財団の資金強化策の検討と、いかにして助成財団とNPOの協働によって社会のニーズに対応していくかを研究することを目的に、財団関係者とシーズの松原を含むNPOの有志で立ち上げた研究会。

 プログラムは、第1部、第2部共に、ビデオ上映とパネルディスカッションという構成で進められ、会終了後、財団関係者と参加者の名刺交換の場が設けられた。

 総合司会は(社)日本経済団体連合会の長沢恵美子氏。


第1部「助成財団とNPOの協働は何を生むか」

 ビデオで、助成財団センターの紹介、助成財団の概要と、財団助成の二つの事例※が紹介され、助成金の有効性がアピールされた。( 損保ジャパン記念財団の助成を受けて法人化した、難病の子どもたちをサポートする「無痛無汗症の会」、三菱財団が助成を行った、障害をもった子どもたちを支援する「ムーブインターナショナル」)

 ビデオ上映後パネルディスカッションにうつった。コーディネーターは松蔭女子大学教授 雨宮 孝子氏。

 冒頭、雨宮氏は、「ビデオでも紹介されていたが、財団法人は民法34条に基づき、主務官庁が監督する公益法人である。現在全国で2万6千団体あり、その半分が財団である。更にその中の10%が助成財団である。

 助成財団が助成を行う場合には、主務官庁からの監督など、さまざまな制約があるが、今までも成果を上げてきている。最近ではNPOを支援する財団が増えてきている。そこで、もう少し詳しく助成財団の活動についてパネラーの方に話してもらいたい。」と一部の趣旨を説明した。各パネラーから提供された話題、問題提起は以下のようなものだった。

○ 助成財団のプログラム、プログラムオフィサーについて

トヨタ財団プログラム・オフィサー 田中恭一氏:

 「助成団体とは助成金を拠出している財団のこと。設立の目的、理念であるミッションに基づいてプログラムを構成し、助成を行っている。財団のミッションとは企業でいう定款のようなもの。

 トヨタ財団のプログラムは「研究助成」、市民活動団体、NPOの取り組む先駆的プロジェクトを支援する「市民社会プログラム」、東南アジアの人々の取り組むプロジェクトを支援する「東南アジアプログラム」の3つの分野に分かれる。

 私が担当している「市民社会プログラム」は、毎回500件程の申請があり、25~30のプロジェクトに助成している。このプログラムは、15年前にできたものである。

 ビジネスマネジメントでよく言われる plan、do、see の考え方があるが、NPOと協働したいといっておきながら、planの段階(プログラムの設計の段階)でNPOの参画がないということは問題だと思う。

 プログラムオフィサーとは、黒子のようなもの。誰かと誰かをつなげる触媒だと思っている。」

○NPOと助成財団の関係について

武蔵工業大学環境情報学科助教授 萩原なつ子氏:

 「トヨタ財団でのプログラム・オフィサーとしての経験からいうと、3年位のプログラムのフォローが必要である。助成したことがどんなインパクトを与えたかを確認する体制をつくることが重要。それによって、相互作用が生まれ、新しい課題・方向性が見えてくる。

 多くの財団や、地方自治体がNPOを支援するようになったので、民間と行政の住み分けが必要だと思う。協働によって生まれるものとは、新しい方向性であり、行政も財団もNPOを知ることが重要。」

○助成の合否について

田中氏:

 「財団のミッションに合ったものを選んでいる。予算等の制約条件があるため、選考委員会では、悪いものを落とすという考えよりも、いいものからピックアップしている状態。」

○選考の過程を公開するべきとの声があることについて

萩原氏:

 「行政の選考会は公開であってしかるべき。民間はどこまで公開するかの基準を設けることは難しい。選考の結果を明確に知らせること、説明責任は重要である。

 選後評は改善したらよい部分を提案するようにし、NPOは選後評をよく読み、反省して来年につなげていくべきである。申請すること自体、NPO側が活動を見直す良い機会になる。助成はベンチャービジネスへの投資のようなものだと思う。」

○NPOが助成申請するときに一般的に心がけること

萩原氏:

 「応募要綱をよく読み、自分たちの目的を明確にし、それと合致する財団に申請すること。NPO側は活動を言語化することで、ミッションがはっきりしてくる。」

○NPO側、財団側双方とも、目的、活動内容(助成内容)などの広報が今まで足りなかったのではないか、ということについて

田中氏:

 「広報・宣伝資料も重要だが、選考は申請書類に基づいて行われるので、応募要綱をよく読んで内容を理解し、アピールすることが大切。相手に伝わるようにコミュニケーションする能力が問われる。一度選考からもれても2回目、3回目で通ることもある。」

○財団とNPOの協働の観点でいうと、助成を受けるだけではなく、NPO側からプログラムにアイディアを提供することができるか。参画型のプログラム開発は可能か、ということについて

萩原氏:

 「特定のNPOが関われるかは疑問。直接NPOが関わるということよりも、多くのNPOが申請することで、プログラムオフィサーがニーズを把握し、将来のプログラム作りに役立てるという可能性がある。

 又、人的交流を通じてプログラム作りを一緒にやっていく、以前助成を受けた団体が選考委員の中に入ってくる等によって可能になるのではないか。」

 ここでコーディネーターの雨宮氏から下記のようなコメントがあった。

 「選考委員にどんな人が入るのか。同じメンバーが長期にやってよいのか。財団は選考委員に全て任せる形でよいのか。財団の組織そのものの活性化など様々な問題がある。よいアイディアがNPOから出てくれば、それを生かしていく能力が財団に問われている。」

○NPOと助成財団の協働は何を目指していけばよいのか

田中氏:

 「問題があることを前提に、それを解決していこうという活動よりも、未来に向けたプラス思考の、新しいものを生み出していくようなプロジェクトがよいのでは。」

萩原氏:

 「ある団体に助成したことで、その状況を見て新しい団体が生まれる効果がある。」

○助成財団の成果の基準とは。

田中氏:

 「1年後には出ないが、5年後にでてくることをどう評価していくかということだ。短期的な成果と長期的な成果があると思う。」

萩原氏:

 「プログラムについては第三者による継続的な評価が必要。社会的使命をおえたからやめるとか、プログラムごとに継続的にみていくことが重要。」

 最後に、雨宮氏は、次のような言葉で一部を締めくくった。

 「財団にはミッションがある。活動がそのミッションにかなっているかどうか、どのようなやり方をしたらいいかについては、各財団が試行錯誤しているところだと思う。

 プログラムごとの評価も重要だが、誰かに評価してもらえばそれで済むという風潮がある。それよりも、どんな効果があったかをみていくことが財団にとって重要な役割である。

 新しいことを生み出す力がNPOにあると思う。NPOと財団がよりよい方向にパートナーシップを組むという方向付けは出来てきたと思う。シーズの松原氏がいつも言っているように、国の補助金等よりも、民が民を支援する「民・民支援」が一番流れがよいと思う。」


第2部「NPOを支援する助成財団の新しい動向」

 ビデオで、低金利、役割の不明確化、公益法人改革などの財団が抱える課題、又、単年度から継続助成へ、新しいプログラムの検討、新しい分野への対応、助成財団間の協力、新しいNPOとの対話などの財団の新しい取り組みについて紹介された。

 ビデオ上映後パネルディスカッションにうつり、各パネラー同士の意見交換が行われた。

 コーディネーターはNPO法人日本NPOセンター常務理事(法政大学教授)山岡義典氏。

 以下は、各パネラーの発言から一部を抜粋したものである。

特定非営利活動法人 環境市民 代表理事 すぎ本育生氏

 92年に立ち上げた団体。グリーンコンシューマー、日本の環境首都コンテスト、環境自治体会議、エコ修学旅行などの活動を行ってきた。財団の助成金がなかったら今までの活動の大半は不可能だった。財団とNPOが一緒にプロジェクトの成果を広報する機会をつくる必要があると感じる。財団には、専門的、高度化したプロジェクトへの継続的なサポート、ビギナー向けのサポートの両方を期待。又、人件費が助成されないのも解決してほしい問題。

特定非営利活動法人 ウェアラブル環境情報ネット推進機構 理事長/東京大学 教授 板生清氏

 3年前研究開発型のNPOを立ち上げる。科学技術をうまく使いこなし、駆使して環境を守り、健康を守ることを目指す。産学協働とよくいわれているが、社会(市民)が必要としているものを開発する社学連携が必要だと思う。健康管理システムの開発、環境プランナーの育成、教育プログラムの開発、雑誌配布等様々な社会連携プロジェクトを多く準備している。研究開発型NPO振興機構を立ち上げ、研究開発型NPOを300団体つくる動きも行っている。萌芽的な、実現性が未知数の研究は財団の助成で、実用レベルの研究は政府の補助金で行っている。

財団法人 日本国際交流センター チーフ・プログラム・オフィサー 伊藤聡子氏

 リーバイ・ストラウス財団とのパートナーシップによる助成を行っている。この助成は1997年に始まり、実際には日本国際交流センター(以下:センター)がリーバイスに毎年申請して助成されたものを再配分し、中間組織の役割を果たしている。この助成におけるセンターとしてのメリットは助成を受ける側の立場でつくったプログラムであること、事業財団としてのリソースをNPOに提供できることである。つまり、審査をする側、される側を経験することで、人件費を含む等助成内容もフレキシブルにすることができた。又、特にエイズについては、海外からエイズに関する写真展、共同研究、会議などの国際的なプロジェクトで、パートナーになってほしいという要望が出てくる。その際に、助成先のNPOを巻き込むことができる。

財団法人 キリン福祉財団 常務理事 金沢 俊弘氏

 財団の事業見直しに伴って、まず、ミッションを徹底的に見直すことから始めた。財団にとって福祉とは何かを追求してみた。福祉の谷間、施策のはざ間に置かれている人こそ支援を必要としているので、そこへ助成していきたい。今までの実績をアピールするよりも将来的に何をやっていくかを提案することが重要。金利が低くなる等の理由で助成するための資金が限られ、事業を見直さざるを得ない。そこで、表彰事業、周年記念事業を廃止。制度改革を行い、関係者から事業推薦できないようにした。又、助成先を呼ぶのをやめて、助成先と受益者に会いにいくことにした。

 続いて、以下のポイントについて話合われた。

○助成の規模について具体的には、どの程度のものをイメージしているか。

すぎ本氏:

 「地方では、自治体の小規模の助成が過去5年間で増えているが、ビギナー的な活動を前提とした支援で、条件も自治体内での活動に限られている。全国規模に展開できるものが出てくるとよいのだが。又、長期のプロジェクトで、資金が確保されないと、社会的影響は得られないのではないか。長期的支援は自治体では難しいと思うので、財団に期待したい。5年を前提としたプロジェクトを支援してほしい。又、その成果をNPOと財団で、共同で発表できないか。又、財団とNPOが連携して小さな団体に支援していくようなしくみをつくっていくのはどうか。」

○萌芽的プロジェクトは財団で、ある程度方向性がみえたら政府の補助金でとのことだが、その境界線は何か。

板生氏:

 「アルツハイマー患者用の、IT-シューズのようなアイディアレベルのプロジェクトは財団からの助成を期待する。方向付けにお金をいただくという感じ。大きな成果のためにはNPO間の連携が重要。社会(が必要とする)技術という考え方で助成を受けようとすると、従来の枠組みでは難しい。助成の枠組みを再考してはどうか。」

○事業型財団だからできることがあるということだが、過去7年間のプロセスで、何が変わってきたか。

伊藤氏:

 「Social Justiceという言葉は、福祉と人権のはざ間の領域だと思うが、その分野でコミュニティづくりができた。アメリカの財団との関係で、学んだことは、プログラムオフィサーの専門知識、気概の深さ。センターが翻訳をつけた、フォード財団のつくった研修用ビデオ「グラントクラフト」をぜひ見てほしい。」

○助成財団では、さまざまな改革が行われているようだが、改革の課題とは。

金澤氏:

 「選考委員の5名中、4名変わってもらい、新しい選考委員には必ず申請内容を読んでもらうことにした。助成先に送金する時期も受け入れ側に使いやすいように変更した。選考にもれた人に、説明責任をどこまでするか。選考委員会が公平でクリアであることを制度にしなくてはいけない。」

 パネルディスカッション後、会場の参加者との下記のような質疑応答の時間が設けられた。

Q.「知的障害者の福祉施設の改築を行っているが、公的な補助金が受けられず資金が不足。こういう状況に対して何かアドバイスがあるか。」

A.「助成財団にはミッションがあり、支援を受けたい側の価値感と合致すればよいと思う。財団側が話を聞ける体勢になければならない。」(金澤氏)

Q.「年間2500万位の予算から、100万を小さな団体に助成している。助成財団にお願いしたいのは、助成先のプロジェクトをただ見に行く、単に会いに行くということだけではなく、一緒になってプロジェクトを進めるというところまでやってほしい。それによって、助成財団としてのバックアップができるのでは。」

A.「助成を出す側と受ける側にはある程度の距離を保つことが大切。特定の団体とあまり親しくし、慣れ合いの関係になるのはよくないので、難しい問題。」(伊藤氏)

Q.「新しい雇用形態としてNPOを考えている。NPO、ベンチャー、株式会社がいくつか入って大きなネットワークをつくるようなビジネスモデルを検討してもらえるか。」

A.「NPO単独ではなくて、NPOを支援する株式会社をつくる等、人、モノ、金がまわっていくシステムを考えている。」(板生氏)

 「団体のミッションに反しないという前提で、自治体や企業とパートナーシップを組んで事業を行っている。いままで蓄積されたノウハウがビジネスとして展開しているという現実がある。」(すぎ本氏)

 この後、名刺交換会が催された。会場では、閉会時間一杯まで意見交換を行う助成財団担当者とNPO関係者の姿が見られた。

報告:丸山和子

2003.12.25

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