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NPOの信頼性に関する意見

2007年08月23日 17:35

12人の意見(5)田中康文さん(アットニューストリーム有限会社代表)

<この特集について>

NPOという文字が新聞に出ない日はないくらい、NPOは私たちの生活に身近な存在となってきました。ユニークな活動をしているNPOが、地域にどんどん増えています。

平成17年の内閣府大臣官房政府広報室の「NPO(民間非営利組織)に関する世論調査」でも、NPOという言葉を「知っている(意味もわかる)」あるいは「意味は分からないが見たり聞いたりしたことがある」という人は、85.2%にものぼります。

しかし、同じ調査で、NPOを「信頼できる」と答えた人はたった6.5%。「おおむね信頼できる」の24%を加えても30.5%に留まります。

確かに、新聞やニュースをよく見ていると、NPOのすばらしい活動が紹介されている記事も多い反面、なかにはNPOによる不祥事、時には詐欺事件なども目にします。もちろん、これらはほんの一部のNPOの事例ではありますが、社会のために役立つはずのNPOが、社会を困らせる存在になっているという事実が、全体のNPOのイメージをダウンさせている結果となっています。

シーズ=市民活動を支える制度をつくる会では、NPOの信頼性を高め、情報を流通させ、そのうえで寄付や会員などの形で支援が得られるようにするにはどうしたらよいか、この2年あまりをかけて研究してきています。

その一環として、12人のNPOに詳しい方々に、NPOの信頼性を確保するために何が必要か、というテーマで寄稿をお願いしました。寄稿してくださったのは、NPO関係者、NPOに助成をする立場の方々、企業関係者などさまざまです。この12人の方々のご意見を、このコーナーでは順次ご紹介していきます。

お読みいただき、皆さんもいっしょに考えていただければ幸いです。

(この特集は(独)福祉医療機構(高齢者・障害者福祉基金)より助成を受けて発行した報告書「NPOの信頼性を確保し寄付を集まるためには何が必要か」より転載しています)


第五回 田中康文さん (アットニューストリーム有限会社代表)

NPOの信頼性確保のために重要なポイント

田中康文 アットニューストリーム有限会社代表

インターネットのポータルサイト「ニフティーサーブ」から、入会11周年の通知が来ました。当時は「パソコン通信」と呼び、電話線で繋いでいましたが、その通知によると、入会した94年に比べ「現在最も高速な光ファイバー接続サービス(最大100Mbps)はなんとその7,000倍のスピード」なのだそうです。

94年当時、「NPOとは何か」をほとんどの方が知らず、その意味や社会の中での位置づけについて、「世の中」での議論は進んでいませんでした。

その後、98年3月に「特定非営利活動促進法」(NPO法)が国会で成立。また、税制優遇の導入など、NPOに関する制度化が前進しています。さらに、「非営利法人制度」自体の「改革」までが議論されていますが、10年前、何人がそれを想像することができていたでしょうか。

同時に、日本経済や社会をめぐる状況も、大きく変化しました。経済のグローバル化が進む中で、「強み」だと言われていた日本経済の構造は、そのまま決定的な弱点だと糾弾され、日本社会も「均質で経済的に豊かだが窮屈な社会」という評価から、いわゆる「二極化」現象の拡大と新しい問題の発生に悩み始めています。官僚制度については、ひとことで言えば、良かれ悪しかれ、その「権威」に対する過大な評価はなくなってきています。

これに伴い、日本における「NPO」のアジェンダ設定、他のセクターとの関係のあり方、そして具体的活動も新しい変化を迫られています。

このようななか、NPOの制度化=プラットフォーム作りが進み、NPOに対する認知が進んでいることの意味は大きいわけで、明るい材料のひとつです。

自らの手で社会の役に立つ活動をしたい、社会の変化を先取りしたい、あるいは活動に関わりたい、寄付したいというとき、NPOを支える仕組みの存在は、やはり貴重です。

NPOが自ら独立性、信頼性を確保していくことの重要性は変わらず、ますます高まっています。そして、「NPOの信頼性確保のために重要なポイント」については、周囲の状況変化を受けてもほとんど変化はなく、繰り返し強調されるべきものばかりではないかと思います。以下、私の現状認識として4つの点を掲げ、今後の活動のスタートとしたいと思います。

●いわゆる「透明性の向上」

NPOが社会に対して示すべきものは何なのか、個別団体が書面として最低限何を出せばいいのかという議論は、そのままNPO法などの法律上の文言となってきました。まずは、このような制度面での「透明性向上」の定着・拡大の努力、さらに税制面などの関連制度の改善による「ルール遵守のメリット」を広く示していくことが引き続き重要だと思います。

また、営利活動にNPOを「利用」し、制度自体を「悪用」している個人・団体が残念ながら増えている状況です。便利な制度への「新規参入」が増えているわけですが、寄付者が安心してNPOにアプローチできるよう、「問題のある団体」をある程度判断するための基準についても、まずは制度を通じた透明性の向上の努力の中で提示していく努力が大事です。特に、寄付の増加をはかっていく立場から、「資金の流れ」に関する情報や判断基準の整備は重要です。

●セクター全体としてのアクション

現在でも、福祉なら福祉、環境なら環境といった個別分野での断絶が見られ、あるいは同じ分野でも、団体ごとの「孤立」が目立ちます。個別課題にそれぞれが多様にアプローチするのがNPOの良さではありますが、NPOの特長である、「分野を超えた連携」、「オープンなネットワーク」という点がまだまだ活かされていないような気がします。

先ほど述べたような社会情勢の変化を受け、あらためてNPOセクターとは何か、NPOセクターの社会に対する役割は何か、誰と連携して何をするのか、社会に対して何を示していくのか、今年は何が改善されたのか等々、アジェンダ設定とその検証、そして寄付者や社会に対する成果の提示が、セクター全体の信頼を高めるのではないでしょうか。

●組織を担う個人によるコミュニケーション

また、ミッションの達成を寄付者や社会に対して示していくためには、引き続きNPOのリーダーシップ、つまり「個人」の果たす役割がやはり大きいと思います。NPOの実際の活動を担う個々人の、寄付者や周囲とのコミュニケーションは、制度の整備をしようがしまいが、その重要性はまったく変わりません。「人の顔が見えること」は、信頼性確保のための基本要素です。

●インターネットの新しい動きへの積極的関与

最近、ネット上では「ウェブ2.0」という雰囲気が語られています。「明らかな双方向性」、「個別の主体がインターネット上に積極的に情報を提供し、それがインターネットを媒介にして新しい価値を生み出していく」とか、「限りないニッチの集合体に意味を持たせていく」という特長を持っていますが、これらは、そもそもNPOセクターが目指している方向性と一致しています。このような新しい動きを積極的に利用することによって、NPOも解決の糸口を見出していくことができると考えています。

私が「ニフティーサーブ」に電話線で繋がってから11年。今年は先行している「グーグル」に対し、「マイクロソフト」も「ソフトバンク」も、新しい企業群も、「ウェブ2.0」に向けた取り組みを続々と開始するはずです。

NPOやその活動メンバーが自らの情報を積極的に公開する、そして寄付者が検索などの手段を通じて関心のある活動に簡単にアプローチし、自らのリテラシーを高めながら資金提供する、さらにそれらの活動を総体として意味づけし、分類して社会に提示していくことで、個別団体はもちろん、NPO全体の信頼性をさらに高めていく~このようなプロセスを、ネット上でも増やしていけないかと考えています。

2006.05.26


●執筆者プロフィール:

田中康文氏

アットニューストリーム(@NEWSTREAM)有限会社代表。

大学卒業後、(社)経済団体連合会入局。社会貢献部、社会本部にて企業とNPOの連携促進に向けた環境整備に携わる。1999年、韓国・全国経済人連合会出向。2002年に帰国し、韓国、ロシアを担当。

2004年、企業の社会貢献活動・個人寄付、NPO関連のコンサルタントを目指して独立。あわせてストリーミング技術を軸としたITビジネスおよび日韓間のコンテンツビジネスに携わる。

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