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2007年の報告

2007年08月29日 16:20

Microsoft NPO Day 2007札幌&名古屋

 2007年6月14日にMicrosoft NPO Day 2007札幌が北海道経済センターにて、6月22日にMicrosoft NPO Day 2007名古屋がマナハウスにて開催された。5月14日の東京での開催に続いて行われたもの。両会場ともNPO関係者など200人を超える参加者を迎え、「ITの進化がもたらすNPOの新しい協働」という統一テーマのもと、セミナー、パネルディスカッションが行われた。

 イベントの様子を報告する。

 NPO Day 2007は、「企業の経営ノウハウやIT(情報技術)を、NPOに最適な形で提供することによって、NPOの組織強化を支援し、NPO活動の新しいステージを拓く」ことを目的とするイベント。このイベントはマイクロソフト企業市民活動の一環として、昨年から開催され、今年が2回目。シーズはパートナーとして企画運営を担当している。

 午前のセミナーではNPOにとって重要なファンドレイズ(資金調達)をめぐる状況やITを使ったファンドレイズのノウハウが、午後のセミナーでは、それを進めるための情報発信、最新のWEB技術、ITを使った協力者獲得のためのノウハウなどが紹介され、NPOの活動にITをどのように活用できるかについて、具体的な提案がされた。

 開会にあたり、マイクロソフト株式会社北海道支店支店長の浅野秀昭氏(札幌会場)、中部支店支店長の筒木剛氏(名古屋会場)から開会挨拶がされた。そして、マイクロソフト株式会社法務・政策企画統括本部政策企画本部社会貢献部部長の竹原正篤氏より、マイクロソフトの社会貢献活動の紹介がされた。

 続いて、セミナー1「ファンドレイズのためのIT活用術」が行われた。

 シーズ=市民活動を支える制度をつくる会事務局長の松原明がコーディネートを務め、特定非営利活動法人チャイルド・ケモ・ハウス理事長の楠木重範氏(札幌会場)、理事の田村太郎氏(名古屋会場)、特定非営利活動法人難民を助ける会事務局次長の馬場先ゆきの氏からファンドレイズの具体的事例が紹介された。

 まず、シーズ事務局長の松原が、資金調達のための基本的考え方について話し、NPOをとりまくファンドレイズの現状について説明。毎月400ほどのNPO法人が誕生する一方で、解散するNPO法人の増大や資金力、人材不足、情報発信の不足などのNPO法人の課題を解説した。

 続いて、ファンドレイズの調達プロセスを踏まえた、ITの活用について、チャイルド・ケモ・ハウスと難民を助ける会の事例が紹介された。

 チャイルド・ケモ・ハウスでは、医師、看護士、患児家族、教育関係者などの小児がんをとりまく関係者がブログを書くことで、団体の関係者がコミュニケーションでき、また、その関係性が見えることによる信頼性の向上や課題理解の広がりを図っているとして、ブログの活用事例が紹介された。

 難民を助ける会では、ネットショップの仕組みを活用したオンラインの寄付・会費集めに取り組んでいる。どちらの事例についても、寄付者への「感謝と報告」や、「関係構築」がポイントである旨が強調された。

 昼食をはさみ、午後の前半は、セミナー2とセミナー3が同時開催された。

 セミナー2「NPOのためのコミュニケーション術」では、NPOの情報の発信とリスクマネージメントについて提案があった。情報を守りつつ情報を有効に使う技についての具体的な事例紹介がされた。

 株式会社アクティオ代表取締役の菅成由氏、マイクロソフト株式会社オンラインサーイス事業部MSNメディアネットワークSEOリード齊藤玲紀氏(札幌会場)、マイクロソフト株式会社社長室個人情報保護事務局長の久保田成氏(札幌会場)、特定非営利活動法人ボラみみより情報局代表の織田元樹氏(名古屋会場)が事例を紹介。特定非営利活動法人イーパーツ常務理事の会田和弘氏がコーディネートを務めた。

 ユーザー行動の変化とマーケティングをとらえたSEO(検索エンジン最適化)の活用や、メディアに取り上げてもらうためのプレスリリースの書き方、NPOの活動で気をつけなければならない個人情報の取り扱いについて具体的ノウハウが説明された。

 セミナー3では、「NPOのためのWeb実践セミナー」と題して、NPOの効果的な情報発信を助けるツールの紹介がされた。INETA Japan代表の河端善博氏、有限会社アクティブ・ブレイン代表の河原伸一氏(名古屋会場)、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会プログラムディレクタの田中康文が講師を務めた。DotNetNuke、ブログ、掲示板、Wiki、SEO対策など、外部とのコミュニケーションを効果的に行うための、最新のWeb技術の紹介が行われた。

 午後の後半は、再び会場を1つに戻し、パネルディスカッションが行われた。

 パネルディスカッション「ITが変えるNPOの協働スタイル」では、ITが変えるNPOの活動の広がりが話された。

 木曽情報技術支援センター理事長永島芳晃氏(札幌会場)、特定非営利活動法人札幌チャレンジド理事・事務局長加納尚明氏(札幌会場)、全国障害学生支援センター代表の殿岡翼氏(名古屋会場)、市民フォーラム21・NPOセンター事務局長の藤岡喜美子氏(名古屋会場)、マイクロソフト株式会社IWインフラストラクチャマーケティンググループシニアプロダクトマネージャ 松田誠氏、マイクロソフト株式会社SMS&P Plan-J推進本部市場開発部部長/特定非営利活動法人ブロードバンドスクール協会理事 森本登志男氏が事例を紹介し、コーディネーターは、シーズの松原明が務めた。

 永島氏は、長野県のドライバーが協力してつくる道路渋滞情報掲示板の「ロード110番」の事例を紹介。加納氏は、理事やボランティアや協力者がメーリングリストなどを用いて、いかに効率よく作業を進めるかを紹介した。殿岡氏は、障害を持つ学生が通える大学の情報のデータベース化について、開発中の新しいWEBシステムを紹介。藤岡氏は愛知県内のNPOのIT活用の状況について解説した。

 森本氏は、ウェブカメラと会議室機能を活用して、学ぶ意欲を引き出す効果を生み出している交流授業の事例を紹介。松田氏はMicrosoft Office Groove 2007を説明し、ワークシェアリング、NPOの活動を支援するソフトウェアとして、ハリケーンカトリーナが起こった際の救援を必要とする状況の共有に役立ったことを紹介した。

 新しい技術は次々と開発され、それらはチャレンジして活用していくことでNPOの可能性はますます広がることが議論された。

 プレゼンテーション「NPO・IT推進協議会の目指すもの」では、INETA Japan代表の河端善博氏、特定非営利活動法人イーパーツ常務理事の会田和弘氏、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会プログラムディレクタの田中康文、マイクロソフトの竹原正篤氏が登壇。

 IT技術を使ったNPOの経営基盤強化を共にめざすパートナーの登録メンバー「NPOアライアンス」の募集を、NPO Day東京の開催日、5月14日よりの登録メンバー募集を開始している。多くのNPO団体の参加を呼びかけた。(詳細は、http://www.npoplus.jp/をご覧ください)

 最後に、総括セッション「マイクロソフトはNPOのIT推進に貢献する」が行われた。特定非営利活動法人日本NPOセンター理事・事務局長の田尻佳史氏、シーズの松原明、特定非営利活動法人北海道NPOサポートセンター理事長の杉山さかゑ氏(札幌会場)、特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター事務局長の藤岡喜美子氏(名古屋会場)、マイクロソフトの竹原正篤氏が、丸1日行われたNPO Dayを振り返り、マイクロソフトの進める社会貢献とNPOに活用できるITの可能性について、全体のまとめがされた。

 総括セッションの最後に、プレゼント抽選会が行われ、マイクロソフトOffice 2007や百科事典ソフト、ウェブカメラなどがプレゼントされ、大いに盛り上がって終了した。

 NPO Day終了後さらに、札幌&名古屋会場とも、交流会が開催され、登壇者・参加者同士の交流が図られた。

 NPO Day 2007は、東京(5月14日)、札幌(6月14日)、名古屋(6月22日)の3都市での開催を終え、のべ約800人の参加者があった。NPOへの期待が高まる中、ITを利活用したNPOの発展の可能性について、多くの事例やノウハウが紹介された。ITの可能性を感じ、多くのエネルギーが会場にあふれたイベントとなった。

(報告:シーズ 鈴木歩)

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