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2007年11月09日 10:37

地域 : 愛知、NPOへの委託事業積算に提言

 10月26日、愛知県の「NPOと行政の協働に関する実務者会議」は、「行政からNPOへの委託事業の積算に関する提言」を発表した。提言書では、団体継続に不可欠な間接費を直接費の30%以上計上することが必要だとしている。

 

 「NPOと行政の協働に関する実務者会議」(以下、「実務者会議」)は、「あいち協働ルールブック2004」に基づくNPOと行政の継続的な協議・検討を行うために開催されている会議。

 同ルールブックの趣旨に賛同するNPOの公募構成員10名と、愛知県内6市町のNPO担当職員及び愛知県社会活動推進課職員3名の計19名で構成されている。

 「実務者会議」では、平成17年8月に取りまとめた「中間報告」において、「協働事業の積算基準づくり」を今後の課題の一つとしてとりあげ、平成18年度に「積算基準部会」を設置し、5回にわたり検討を行ってきた。

 提言書では、この検討の背景として、NPOと行政の協働事業が増加する一方で、NPOからは、委託事業の対価が十分に確保されておらず、活動の継続に困難を生じているという声が出ていたことをあげている。

 提言書をまとめるにあたって、「実務者会議」では、資料の収集に加えて、関係者にヒアリングを行い、NPO・行政双方の視点を取り入れながら議論を重ねて、NPOへの委託に係る積算のあり方について検討を行ってきた。

 「行政からNPOへの委託事業の積算に関する提言」には、以下の3つの提言が盛り込まれている。

1)事業の内容に見合った適切な人件費単価で積算することが必要
2)事業を実施するために必要な経費を忘れずに積算することが必要
3)団体継続に不可欠な間接費を適正に(直接費の30%以上)計上することが必要

 1)については、最近では、民間コンサルタント企業と同程度の専門性を必要とする事業、施設の管理運営のように長期にわたる事業も珍しくなくなっているにもかかわらず、低い人件費単価での委託事業費の積算が行われているため、NPOは、スタッフに対し、適正な給与を支払えない状態に陥っていると指摘。

 NPOで働くから賃金水準が低い、という状態は不合理であり、業務内容に応じた人件費の積算が必要となるとし、委託事業においては、企業等との公平性を考慮しながら、事業の内容に見合った適正な人件費単価で積算することが必要であると提言している。

 具体的な単価としては、イベントや研修など、NPOの専門性・ノウハウを活用した事業の場合、責任者(2,800円/時間から3,500円/時間=40歳代平均給与より)、主任・マネージャー(2,400円/時間=30歳代平均給与より)、スタッフ(1,600円/時間=20歳代平均給与より)、それらに加えて、法定福利費(一般的には賃金の138/1000)といった数字をあげている。

 また、施設管理運営事業の場合は、責任者(502万円/年から643万円/年=40歳代)、主要スタッフ(435万円/年=30歳代)、スタッフ(297万円/年=20歳代)、それらに加えて法定福利費、といった積算参考単価を示している。

 2)については、NPOへの委託事業の積算では、事業に直接必要となる経費について不足している場合がしばしば見受けられると指摘。特に、行政による積算では、事業のために必要となる企画や打合せに関するコスト、ボランティア・コーディネートに要する人件費、ボランティアの交通費、事業のために使用される団体資産の使用料及び減価償却費などが忘れられがちであるとしている。

 3)については、提言書を作成するにあたっての調査では、NPOへの委託事業の積算では、諸経費として、直接費の10%から20%が計上されているに過ぎなかったとのこと。しかし、NPOも組織として活動する以上、事務所の維持費や、経理・総務スタッフに支払う給与など、間接業務に要するコストを回収する必要があり、適正に間接費を見積もる必要があると指摘。ただし、間接費についてはNPOが活動を維持するために必要な金額を合理的に見積もって計上すべきであり、単純に「企業と同程度を積算すべき」というものではないとの判断から、今回の報告書ではNPO法人の事業報告書等のデータに基づき、直接費の30%を最低限の水準として提言したとのこと。

 「行政からNPOへの委託事業の積算に関する提言」は、、「あいちNPO交流プラザ」(県民生活部社会活動推進課NPO・ボランティアグループ)のサイト内、下記に掲載されている。
 http://aichi.npo.gr.jp/wakugumi/kyoudoukaigi/sekisanteigen0710/sekisanteigenhakkou.html

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