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その他ニュース

2009年02月25日 00:00

その他 : 国交省、NPO法人による地区計画の提案制度

 国土交通省は、1月27日、都市再生特別措置法と都市開発資金貸付法を改正し、地域のまちづくりを支援する「まちづくり支援強化法案」を閣議決定後、国会へ提出した。法案の中には、まちづくり法人への無利子資金貸付制度やNPO法人による地区計画などの提案制度も盛り込まれている。

 

 今回、国土交通省が国会へ提出した「まちづくり支援強化法案」は都市再生特別措置法と都市開発資金貸付法の改正からなるもの。改正のポイントは3点ある。

1点目は、まちづくり法人(まちづくりの推進を行う法人)が行うまちづくり事業への無利子資金貸付制度の創設。
まちづくり法人は、法案内では具体的に定義はされていないが、まちづくりの推進を行うNPO法人や社団・財団法人、中心市街地活性化に関わるまちづくり会社・中心市街地整備推進機構、第3セクターなどが想定されている。
これらのまちづくり法人が行う空き地や空き店舗の活用・駐車場の整備・中心市街地の古い蔵など歴史的街並みの再生などのまちづくりに関するハード事業へ20億円規模の無利子資金貸付を行う制度を創設する。
また、まちの景観に合った屋外広告物マネジメントやオープンカフェの設置といったソフト事業に対しても、エリアマネジメント支援事業として、1.5億円規模の補助を行う。

2点目は、歩行者ネットワーク協定制度の創設。
歩行者ネットワーク協定とは、歩行者デッキや地下歩道、歩行者専用通路など、歩行者の安全性・利便性向上を図るための経路整備・管理について、土地所有者らが結んだ協定を指す。この協定に、所有者変更や追加の際でも、協定の効力が自動的に承継されるよう法的な効果を持たせるのが今回の改正だ。
今回の改正で、管理費用の分担や清掃・防犯活動、ベンチ、エスカレーターなどの設置・管理などを協定であらかじめ取り決めていれば、土地所有者の一部が変わっても、その協定内容が自動的に引き継がれることになる。

3点目は、都市再生整備推進法人に指定されたNPO法人などによる地区計画など身近な都市計画の提案制度の創設。
都市計画の提案制度自体は、2002年(平成14年)の都市計画法の改正及び都市再生特別措置法の制定で既に創設されている。しかし、国土交通省によれば、都市計画法に基づく都市計画提案数は2006年(平成18年3月末)で47件と低迷しており、全国的な民間の発案によるまちづくりの実現には至っていなかった。

今回創設されるのは、都市再生特別措置法の改正によるもの。新たな提案制度のポイントは2点。
1点目は、従来の制度では0.5ha(5000平方メートル)以上の区域を対象とするとの制限のあった計画対象地の面積要件が撤廃されたこと。
2点目は、提案できる都市計画の種類に、地区計画や歴史的風致維持向上地区計画などが追加されたこと。
これにより、都市再生整備推進法人による商店街や広場など小規模な区域を対象とした、地区計画や歴史的風致維持向上地区計画など都市計画の提案が可能になる。その他の要件に変更はない。(詳細は下記比較を参照)
※都市再生整備推進法人とは、都市再生事業に関して、専門性や適性を認められ、市町村長により指定されたNPO法人・一般社団法人・一般財団法人。

【都市計画法での提案制度】
提案できる者
まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的とするNPO法人・一般社団法人・一般財団法人・その他の営利を目的としない法人など
提案条件
・0.5ha(5000平方メートル)以上の区域を対象
・2/3以上の土地所有者の同意かつ同意した土地所有者の土地合計が2/3以上
・「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」など、都市計画に関する基準に適合
提案できる計画
・都市計画区域の整備、開発及び保全の方針並びに都市再開発方針等に関するものを除く都市計画

【都市再生特別措置法での新たな提案制度(今回創設予定)】
提案できる者
・都市再生整備推進法人(都市再生事業に関して、専門性や適性を認められ、市町村長により指定されたNPO法人・一般社団法人・一般財団法人)
提案条件
・面積による制限なし
・2/3以上の土地所有者の同意かつ同意した土地所有者の土地合計が2/3以上
・「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」など、都市計画に関する基準に適合
提案できる計画
1.「地区計画」
2.密集市街地整備法の「防災街区整備地区計画」
3.地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律の「歴史的風致維持向上地区計画」
4.幹線道路の沿道の整備に関する法律の「沿道地区計画」
など

今回の法案に関して、まちづくり分野での長年の活動経験を有するシーズ林代表理事は、
「市民によるまちづくりや都市計画などの提案を条例として定めている事例は1980年代前半から存在する。
その当時は「市民」を対象としていたが、今回の改正などで法律として「NPO法人」に提案権を与えたことは評価できる。」
と語っている。

まちづくり支援強化法案の詳細は国土交通省の下記ページを参照。
http://www.mlit.go.jp/report/press/city05_hh_000010.html

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