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その他ニュース

2009年03月16日 12:00

その他 : NPOと企業が消費者団体訴訟で初の和解

適格消費者団体である特定非営利活動法人(NPO法人)消費者支援機構関西(大阪府 会長理事:北川善太郎)は、3月4日、消費者団体訴訟制度により、不当勧誘などの差し止めを求め大阪地裁に提訴していた英会話教室「グローバルトリニティー」を運営する株式会社フォートレスジャパンと和解した。同社は過去の不当勧誘を認め、今後の不当勧誘の停止と従業員への周知徹底・研修、違約金の支払いなどを約束した。

今回の訴訟に活用された「消費者団体訴訟制度」とは、2007年6月7日に施行された「消費者契約法の一部を改正する法律」によって創設された制度。この制度によって、一定の条件を満たした内閣府認定の「適格消費者団体」が、悪質商法をおこなう事業者に対して、団体として消費者契約法等に照らして不当な契約条項や不当な勧誘行為などの差し止めを求める訴訟を起こすことができるようになった。

悪質商法を巡るトラブルは、多数の消費者が被害を受けても1人当たりの被害額が比較的小さく、裁判の費用や手間を考えて泣き寝入りするケースが多い。その結果、悪質事業者に不当利得が残り、同様の行為を悪質事業者が繰り返すため、さらに被害が拡大する。
消費者団体訴訟制度・適格消費者団体はこのような被害の拡大を防ぐのに加え、被害を未然に防止することも可能にする制度として期待されている。
参考ニュース 「2NPO法人、適格消費者団体として初認定」
/2007/09/その他-2npo法人、適格消費者団体として初認定/

3月11日現在、消費者団体訴訟制度を利用できる適格消費者団体には、NPO法人消費者支援機構関西をはじめ、以下の7団体が認定されている。(認定順)
NPO法人消費者機構日本
NPO法人消費者支援機構関西
社団法人全国消費生活相談員協会
NPO法人京都消費者契約ネットワーク
NPO法人消費者ネット広島
NPO法人ひょうご消費者ネット
NPO法人埼玉消費者被害をなくす会

NPO法人消費者支援機構関西は2005年結成、2006年にNPO法人認証、2007年に適格消費者団体の認定を受けている。
今回の消費者団体訴訟は消費者支援機構関西にとって、2件目の訴訟となる。

今回、問題となった英会話教室「グローバルトリニティー」を運営する株式会社フォートレスジャパンは、以前から生徒を勧誘する際に、「営業所から外へ出るのを妨害する」「『いつでも好きな時に受講できる』など事実とは異なる説明を行う」「受講に関して自社に都合の良いことだけを説明する」などの不当勧誘を、消費者支援機構関西に指摘されていた。
消費者支援機構関西側は、2006年に不当勧誘是正の申し入れを行い、2008年には消費者契約法に基づく事前請求書の送付を行ったが、同社が「今後は不当勧誘を行わない旨」の誓約を拒否し、また依然として不当勧誘を行っている可能性が高いと判断したため、2008年8月28日、不当勧誘の差し止めを求めて大阪地方裁判所に提訴した。

3月4日に両者は、不当勧誘の停止などを内容とする訴訟上の和解に達した。現在までに消費者団体訴訟は今回の訴訟を含めて計5件が提訴されているが、和解に至ったのは今回が初めて。
消費者支援機構関西によると、
本和解は、
・単に今後違法勧誘を行わないことを約束するだけでなく、過去に不当勧誘を行っていたことを認めていること。
・現行制度では消費者団体訴訟制度の差止対象に含まれていない、特定商取引法上の不当勧誘等も取り込んで、不当勧誘を抑止する内容となっていること。
・今後、和解内容に反して不当勧誘を行った場合(但し消費者契約法違反に該当するものに限定)は、当該不当勧誘を受けた消費者に対して金銭返還するだけでなく、消費者支援機構関西に対して1人当たり50万円の違約金を支払う制裁があること。
以上の3点において、重要な意義があるという。

また、消費者団体訴訟制度は消費者契約法だけでなく、新しく「景品表示法」と「特定商取引法」の分野でも導入されることが決定している。
まず2009年4月1日からは、景品表示法に規定する、通常の国産牛肉を国産有名ブランド牛の肉であるかのように表示して販売するといった「優良誤認表示」や本来の価格を記載せずに「今なら半額!」などと表示し実際には50%割引とは認められない料金で仕事を請け負うといった「有利誤認表示」について、適格消費者団体による消費者団体訴訟が可能になる。
2009年後半には、改正特定商取引法の施行(施行日未定)により、同法に規定する、訪問販売や通信販売などでの不実告知や威迫といった不当な勧誘行為についても適格消費者団体による消費者団体訴訟が可能になる予定。

今回の訴訟にも関わり、消費者問題に詳しいNPO法人消費者支援機構関西の事務局長西島氏は、
「現在は、消費者契約法の不当な勧誘行為・契約条項についてしか差止請求ができないが、これが来年度から、景品表示法と特定商取引法にも拡大されることは評価できる。」としながらも、「消費者団体が申し入れを行うと業者側は『今は不当な行為をやっていない。今後はやらない。』と答えることが多くなった。これが実際に履行されれば、以後の被害はなくなる。しかし、それ以前に被害を受けた消費者への補償がなく、多くは泣き寝入りとなる。消費者団体訴訟制度に『差止請求権』に加え、過去の被害に対する『損害賠償請求権』も盛り込む必要がある。」と訴えている。

消費者団体訴訟制度・適格消費者団体については、内閣府内「消費者の窓」下記ページを参照。
http://www.consumer.go.jp/seisaku/cao/soken/index.html

今回の和解内容については、特定非営利活動法人(NPO法人)消費者支援機構関西の下記ページを参照。
http://www.kc-s.or.jp/report/report1/2008/0624.html

NPO法人消費者支援機構関西のホームページは下記、消費者問題に関する資料が豊富にある。
http://www.kc-s.or.jp/

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