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その他ニュース

2009年09月16日 19:00

その他 : 内閣府、みなし寄附金の拡充を要望

 内閣府は、8月末、財務省に「平成22年度税制改正要望」を提出した。「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)が十分に活躍するための財政基盤を強化し、法人の数の拡大に寄与するため、税の優遇措置の拡充を要望する」として、認定NPO法人のみなし寄附金拡充を求めている。

 

 今年、特定非営利活動法人(NPO法人)税制に関しては、特定非営利活動促進法(NPO法)を所管する内閣府が、認定NPO法人制度における「みなし寄附金の拡充」を求める要望書を財務省に提出した。みなし寄附金とは、収益事業から得た利益を非収益事業に使用した場合に寄附金とみなし、一定の範囲(現行は20%)で損金(法人税上の経費)にできるという制度。認定NPO法人制度では、現在所得金額の20%までみなし寄附金とすることが認められている。しかし、新公益法人(公益社団・財団法人)の実質100%や社会福祉法人・学校法人などの50%と比較して、認定NPO法人は20%と法人格の種類によって格差が生じていた。

国の予算編成の仕組みは、例年、各省庁は、8月末までに、翌年度の予算要望(概算要求)および税制改正要望を財務省に提出し、9月以降12月まで、各省庁と財務省の間で調整し、翌年度の予算や税制改正が決まるというシステムになっている。今年度は、8月末に衆議院総選挙があり、選挙後の政権意向による予算編成・税制改正の変化も予想されていたが、例年通り作業は進められた。

従来はこの税制改正要望により、来年度の認定NPO法人制度改正へのスタートが切られたことになる。しかし、今年度は総選挙の結果、政権交代が起こり、民主党・社会民主党・国民新党による連立政権が誕生することになる。
政権の中心となる民主党はマニフェスト(政権公約)にて、新設される国家戦略局など政治主導による予算策定・税制改正を目指しており、来年度予算・税制改正もゼロベースで仕切り直しとなる可能性が高い。民主党は下記のように、認定NPO法人制度の見直しや寄付税制の拡充などを公約している。他にも、「行政刷新会議(仮称)」での政策の検証や認定NPO法人制度も含まれている租税特別措置の検証・見直し、現状で認定審査を担当している国税庁の「歳入庁」への統合などをマニフェストに掲げている。今後、認定NPO法人制度に関して、何らかの大きな前進があることは間違いないと思われる。

●34.市民が公益を担う社会を実現する
○認定NPO 法人制度を見直し、寄付税制を拡充するとともに、認定手続きの簡素化・審査期間の短縮などを行う。

●1.現在の政策・支出を全て見直す
○「行政刷新会議(仮称)」で政府の全ての政策・支出を、現場調査、外部意見を踏まえて、検証する。

●9.公平で、簡素な税制をつくる
○租税特別措置の適用対象を明確にし、その効果を検証できる仕組みをつくる。
○効果の不明なもの、役割を終えた租税特別措置は廃止し、真に必要なものは「特別措置」から「恒久措置」へ切り替える。

●20.歳入庁を創設する
○社会保険庁は国税庁と統合して「歳入庁」とし、税と保険料を一体的に徴収する。

予算策定や税制改正の流れなどについては、まだまだ分からない点も多いが、新政権が市民活動やNPO、寄付税制などに積極的な姿勢を示しているので、市民サイドからの働きかけも重要となってくるであろう。

内閣府が、提出したNPO税制改正の要望は以下の通り。
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1.市民活動の推進
●特定非営利活動法人に係る税制上の特例措置(法人税等の寄附金に係る損金算入の特例)[拡充]
<税目>(国 税)法人税
(地方税)法人住民税、事業税

概要
特定非営利活動法人の活動を促進する観点から、法人に対し寄附をした者等に税制上の特例措置を与える認定特定非営利活動法人制度が設けられているが、平成21年8月1日現在で認定特定非営利活動法人の数は97法人にとどまっている。そのため、認定特定非営利活動法人が十分に活躍するための財政基盤を強化し、認定特定非営利法人の数の拡大に寄与するため、認定特定非営利活動法人自身に対する税の優遇措置の拡充を要望する。

要望内容
・みなし寄附金の損金算入限度額の引き上げ
みなし寄附金の損金算入限度額を現行の所得金額の20%相当額から、社会福祉法人等なみの50%相当額(当該金額が年200万円に満たない場合は年200万円)へ引き上げる。
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内閣府の平成22年度(2010年度)税制改正要望は、内閣府サイト内、下記ページの「税制改正」部分を参照。
http://www.cao.go.jp/yosan/yosan.html

文部科学省は、多くの寄附税制拡充を要望しており、認定NPO法人の寄付金控除にも関わる要望として、「寄附金控除適用下限額の引き下げ」や「寄附金控除の年末調整対象化」が要望されている。
また、その他の省庁でも市民活動や社会貢献活動、民間非営利活動に関する税制改正要望が提出されている。

文部科学省
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●教育、文化、スポーツ、科学技術等の振興に係る寄附税制の拡充
(1)寄附文化醸成に向けた寄附税制の拡充(新規) 【所得税】
我が国の寄附文化の醸成に向け、
① 寄附金控除の適用下限額を2,000 円に引き下げることにより、少額寄附者の裾野の拡大を図る
② 生命保険料控除等と同様に、寄附金控除を年末調整の対象とし、手続きの簡素化を図る
ことにより、寄附税制を拡充する。

(参考)現行の寄附税制
寄附金額(所得の40%が限度)-5千円を所得から控除
これまでの経緯17年度改正上限25%→30% 18年度改正下限1万円→5千円 19年度改正上限30%→40%
<年末調整の対象となっている主な所得控除>
社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅借入金等特別控除等

●教育費負担の軽減
(2)給付制奨学金事業を行う民間団体への支援(新規) 【所得税】
学生・生徒に対し給付制奨学金事業を行う特定公益増進法人に対する個人の寄附金について、政党等寄附金特別控除制度と同様に、新たに寄附金額の30%を税額控除する制度を創設し、従前の寄附金控除(所得控除)の適用を受けるか又は税額控除の適用を受けるか、寄附者がいずれか有利な方式を選択できるようにする。

(参考)現行の政党等寄附金特別控除制度
<所得控除の場合>
寄附金額(所得の40%が限度)-5千円
<税額控除の場合>
(寄附金額-5千円)×30%
を所得から控除を所得税額から控除
※ただし所得税額の25%が限度

●その他
(3)環境教育活動の拠点に係る特例措置の創設(新規) 【固定資産税等】
企業やNPO等が所有する土地及び建物について、自然体験活動等の機会の場として都道府県知事等が認定した場合に、当該土地及び建物に係る固定資産税等について特例措置(課税標準を1/2 とする)を創設する。
(環境省との共同要望)
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文部科学省の平成22年度(2010年度)税制改正要望は、文科省サイト内、下記ページの「平成22年度文部科学省税制改正要望事項」を参照。
http://www.mext.go.jp/a_menu/yosan/h22/1283693.htm

環境省
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4 自然環境の保全・環境保全活動の促進

(1)環境教育・環境保全活動拠点に係る税制上の特例措置【新規】(相続税、固定資産税、都市計画税)
環境教育・環境保全活動の拠点として、一定規模以上の土地・建物について地方公共団体又は国から認定を受けた場合等について、当該土地・建物に係る相続税、固定資産税及び都市計画税の軽減措置を講ずる。

(2)民間団体等による自然環境保全活動に係る税制上の特例措置【新規】(所得税、法人税、相続税、個人住民税、法人住民税、事業税、固定資産税、都市計画税)
民間団体等が作成した土地の取得・管理などの自然環境保全活動に関する計画が公的な認定を受けた場合に、当該土地等について、所得税、法人税及び相続税並びに個人住民税、法人住民税、事業税、固定資産税及び都市計画税の軽減措置を講ずる。
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環境省の平成22年度(2010年度)税制改正要望は、環境省サイト内、下記ページの「平成22年度環境省重点施策」を参照。
http://www.env.go.jp/guide/budget/

総務省
http://www.soumu.go.jp/menu_yosan/yosan.html

農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/press/keiei/tyosei/090831.html

国土交通省
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_000492.html

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/zeisei/index.html

経済産業省
http://www.meti.go.jp/topic/data/090820-0.html

全体的な印象として、近年は認定NPO法人制度に限らず、独立行政法人なども含めて「寄付税制」に関する要望が増えているように感じる。

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