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その他ニュース

2009年09月21日 23:00

その他 : 日本サードセクター経営者協会(JACEVO)発足

 一般社団法人日本サードセクター経営者協会(JACEVO)(東京都 代表理事:後房雄ら)は、9月1日に記念イベントを東京・赤坂にて開催した。当日はACEVO(全英サードセクター経営者協会)の事務局長が記念講演。NPO関係者など120名近くが参加し、英国の事例や日本での展開などが紹介された。

 

 一般社団法人日本サードセクター経営者協会(JACEVO:ジャキーヴォ)は、「特定非営利活動法人から各種公益法人、任意団体、協同組合、社会的企業までを含むサードセクター」を対象に、それら団体の「経営者が分野や制度の壁を越えて横断的に集う日本で初めての全国組織」。今回、記念講演を行ったACEVO(Association of Chief Executives of Voluntary Organisations:全英サードセクター経営者協会)をモデルに、「つなぐ・伸ばす・提言する」の3つを活動の柱に掲げ、9月1日に設立された。設立に当たっては、60名の呼びかけ人をはじめ、100名を超える会員が参加している。

設立総会に先立ち、9月1日(火)14時から東京・赤坂の日本財団ビル会議室で開催された記念イベントには、NPO関係者など120名近くが参加した。

記念イベントでは、まず、公益財団法人公益法人協会理事長でJACEVO設立準備会幹事の太田達男氏が開会挨拶。太田氏は「JACEVOの設立理念は名前に込められている。一つは『サードセクター』。民法34条の旧公益法人、特定非営利活動促進法(NPO法)のNPO法人など日本の民間公益活動分野は分断され、バラバラになっている。法・税制はバラバラなら、ともかく職員の意識もバラバラになっている。日本の公益を担う法人がバラバラなのが、日本の民間公益活動の発展を阻害していった。今回は、諸外国と同じく市民が公益を担う法人として、一つにサードセクターとしてまとまった。」と述べ、サードセクターという捉え方の意義を説明した。


(設立記念イベントの様子 太田氏による開会挨拶 9/1)

次に3名の来賓挨拶があった。嘉悦大学学長の加藤寛氏は「日本では『公』を『市民が入ってはいけない』と考える。イギリスでは『パブリック』は『開放すること』。日本の現状をみんなで変えなければいけない。」と語った。

民主党参議院議員の大河原まさこ氏は「日本にもついに横断的な組織ができた。民主党は結党以来、NPOとの関わりを持ってきた。7月14日には300団体にご参加いただき「市民パワーと民主党の懇談会」を開催した。『官から民へ』は実際には民間営利への丸投げだった。また、12兆円を超える税金が天下り法人などに流れている。皆さんの取り組みは先進的だ。市民セクターの拡大には他党に負けず、頑張りたい。」と述べた。

経済産業省大臣官房審議官の川本明氏は「行政としては、雇用・景気対策を重点的に行っている。それらの施策実施に当たっては、子育て支援や環境保全など地域の3団体とパートナーとして取り組んでいる。日本でパブリックな部分を担うサードセクターの発展は歓迎したい。」と話した。

次にNPO法人市民フォーラム21・NPOセンター代表理事でJACEVO設立準備会幹事の後房雄氏から趣旨説明があった。
後氏は「JACEVOはACEVOにJをつけて略称としている。名前でもそうだが、3つの柱などもACEVOをモデルとしている。ただし、日本での展開に当たっては、独自のサードセクターの状況に対する工夫が必要になる。例えば、介護保険でのNPO法人と社会福法人の違いなどだ。日本ではサードセクターとして、縦割りをなくすところから始める。また、日本では協同組合や社会的企業へも広げることで2重の意味で広げるということになる。」とJACEVOやサードセクターについて解説した。

「日本でも政権交代が実現し、政治とのかかわり方もサードセクターとして、新しいモデルを示していくことが必要になってくる。民主党だけでなく、自民党とも、また、政府とも密接なかかわりを持っていくことが必要だ。自律性を維持しながら、外郭団体的でない形で、サードセクターが公共サービスの担い手として確立するよう取り組んでいきたい。」と今後の活動について展望を語った。


(設立記念イベントの様子 スティーブン・バブ氏による記念講演 9/1)

引き続き、ACEVO(全英サードセクター経営者協会)事務局長のスティーブン・バブ氏が記念講演を行った。JACEVOの設立に祝意を表した後、自身の日本訪問や三浦按針のエピソードなどを披露した。イギリスのNPOについては「イギリスではNPOの歴史は長く、約1000年だ。イギリスのNPOは伝統的に病院や学校の分野で活躍してきた。学校や病院を経営してきただけでなく、法律も変えてきた。奴隷解放の運動もNPOやボランティアが大活躍した。チャリティーの役割は社会を変革することだ。」と紹介した。

サードセクターについては「サードセクターは経済的にも、雇用的にも、社会的にも大きな規模になっている。約2兆円の経済規模もある。サードセクターを構成するのは、NPO、ボランティア団体、社会的企業、財団、協同組合、学会、大学などだ。」と述べ、ACEVOについては「約2000名のNPO経営責任者が会員になっている。サービスとしては、電話での無料法律相談など様々なものがある。イベントも1000以上開催。政治家ともよく連携しており、政府とサードセクターの役割について議論している。研修も多く開催しており、会議や研修が3~4日に一回で忙しい。」と語った。

政府との関係については「私たちは政府と密接なパートナーシップを構築しており、ブレアともブラウンとも一緒に仕事をした。サードセクターの発展について、法や税制などに関してロビー活動・アドボカシー活動をしている。例えば、障害者や子育てなどの法律制定に際しては、ACEVOを通じてサードセクターの意見を聞いている。公共サービスの提供についても、強く働きかけている。従来は全てを政府が担っていたが、特に公共サービスの提供・実施についてはサードセクターが担うべきと働きかけている。ブレア首相の際に提案したのは、サードセクターはより利用者に即したサービスを提供できるし、革新的な取り組みができるということ。政策提言の冊子をつくり出版したところ、労働党はその冊子から1章をまるまるマニフェストへ採用した。」と政府への積極的な働きかけを語った。


(設立記念イベントの様子 ACEVO発行の冊子 9/1)

公共サービスへのサードセクター参入については、「サードセクターが参入するには様々な障壁があった。資金的なものや役人の先入観などだ。彼らに影響を及ぼしているのは、サードセクターへの不信。そのために短期的な契約になりがちで、短期的な成果が求められるが、なかなか実績が上げられず、契約できないことが多い。対策として、政府を説得し、公共サービスアクションプランを作成してほしいと働きかけ、プラン策定のための組織を設置させた。ACEVOからも職員が参加し、アクションプランを策定した。他に様々なレポートも発行した。他にも、政府からの基金『フューチャー・ビルディング』では、NPOへの融資も行っている。」と今までの取り組みを振り返った。

今後の政府との関係については「労働党とは緊密な関係を保っているが、今後、おそらく保守党が政権を取るであろう。保守党政権になったら、財政均衡を重視し、より公共サービスを民間へ委託され、サードセクターの役割は大きくなっていくだろう。昨年からは、特に保守党ともコンタクトをとり、関係を構築している。政治家だけでなく、政策担当者との昼食会や夕食会も開催し、サードセクターについての理解を深めてもらっている。保守党の方もサードセクターへの理解が深まっているようで、重要性を認識し始めている。」と保守党政権誕生を見据えた戦略を語った。

最後にJACEVOに対しては「JACEVOには、サードセクターを発展させ、理解を深め、ACEVCOのように大きな役割を果たしていってほしい。日本でしっかりした組織をつくるとともに、アジアでのネットワークにも取り組んでいただきたい。」とJACEVOへの期待を述べた。


(設立記念イベントの様子 9/1)

設立イベントの後、開催された設立総会では、設立趣旨書や定款、役員、事業計画、予算が議論の上、承認された。代表理事としては後房雄氏、太田達男氏、NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター代表理事の加藤哲夫氏、財団法人日本老人福祉財団理事長の田島誠一氏が選出された。執行理事・事務局長にはNPO法人市民フォーラム21・NPOセンター理事・事務局長の藤岡喜美子氏が選出された。 

一般社団法人日本サードセクター経営者協会(JACEVO)のホームページは下記。
http://www.jacevo.jp/

ACEVO(Association of Chief Executives of Voluntary Organisations:全英サードセクター経営者協会)のホームページは下記(英語)。

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