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その他ニュース

2010年02月12日 21:00

その他 : NPO法人会計基準中間パブコメに484件!

2月2日、日本初の市民参加型で進んでいる「NPO法人会計基準策定プロジェクト」は、第六回NPO法人会計基準策定委員会を開催。昨年11月~今年1月に実施された中間報告のパブリックコメント結果(484件)とそれを受けたNPO法人会計基準案(最終案)タタキ台が発表された。

現在、特定非営利活動法人(NPO法人)には統一した会計基準がない状況となっている。このため、会計書類の表記方法が法人によりバラバラで比較できない、資金の使途が分かりにくい、会計士・税理士が支援しにくい、経営判断が的確にできない、などの問題が起こっている。

こうした現状を受け、2009年3月、「NPO法人会計基準策定プロジェクト」がスタート。各地のNPO支援センターなどからなる「NPO法人会計基準協議会(協議会)」と、公認会計士・税理士ら専門家からなる「NPO法人会計基準策定委員会(策定委員会)」などで構成。事務局は、シーズ・市民活動を支える制度をつくる会が担っている。

参考ニュース 「32団体で『NPO法人会計基準づくり』始動」 (2009/04/08)
/2009/04/その他-32団体で「npo法人会計基準づくり」始/

「国際財務報告基準(IFRS:International Financial Reporting Standards)」や新公益法人会計基準など会計基準への関心も高まりつつある中、本プロジェクトは、NPO法人の信頼性を高めるため、市民参加を重視して、現場のニーズや幅広い関係者の意見を反映しながら「NPO法人会計基準」の策定を進めている。

昨年2009年11月14日には、協議会が、3月からの半年間の議論をまとめた論点整理と様式例を中間報告として発表。同日より、広く意見を募集する「パブリックコメント」と、全国各地で中間報告の説明・意見交換を行う「全国キャラバン」をスタートさせた。

参考ニュース 「NPO法人会計基準の意見募集始まる!」 (2009/11/25)
/2009/11/その他-npo法人会計基準の意見募集始まる!/

各地のNPO支援センター(協議会メンバー)の協力のもと、約1ヶ月間をかけて札幌から沖縄まで全17ヶ所での全国キャラバンを展開。各地の参加者は753名を数えた。

この全国キャラバンは、「とことん聞きます!!みんなの意見」をスローガンに、できるだけ多くのNPO関係者にNPO法人の会計基準づくりのプロセスに参加してもらい、意見を聞こうというもの。東京から会計基準策定に関わる策定委員・専門委員が地域に出向き、中間報告を説明するとともに、会場でパブリックコメントを受け付けた。

当初パブリックコメントは12月31日までの予定だったが、要望を受け1月5日まで期間を延長。こうした地域での丁寧な意見収集の成果もあり、最終的に予想を大きく上回る484件の意見が寄せられた。

第六回策定委員会では、NPO法人会計基準協議会事務局長の加藤俊也氏から、これらパブコメの集計結果が報告された。


(当日の様子 パブコメ結果を報告する加藤氏 2/2)

【パブリックコメントの概要】
・募集期間 :2009年11月14日~2010年1月5日
・意見提出数 :484件
・募集方法 :
(1)説明会(全国キャラバン)会場でのパブリックコメント用紙記入
(2)ブログ「みんなでつくろう!NPO法人の会計基準」への自由投稿

「NPO法人の会計報告は利用者にとって分りやすいものであるべきだ」と「NPO法人の信頼性向上のために会計基準をつくるべきだ」という質問については、ほぼ全員(96~7%)がそう思うと回答。分かりやすく信頼性向上につながるNPO法人会計基準策定が強く支持される結果となった。

その他、各地の会場などで出された主な意見は下記の通り。

【論点1】小規模法人に対して、どのような配慮をすればよいのか。
・小規模団体を配慮することは賛成だが、何をもって小規模とするかの基準や定義を明確にした方がいいように思う。
・配慮をすることで、社会への信頼性を低めてしまうのでは。

【論点2】現物による寄付を受けた場合には、どのように対応する必要があるのか。
・評価額の算定方法に現場はついていけるか。
・現物寄付の開示は、企業などからの寄付の促進にもつながるので、積極的に開示することを望む。

【論点3】無償による施設の提供は、どのように会計に反映することが必要か。
・公共性のある事業等では、計上したことにより本来経費が明確になる。但し、表記法が難しい。
・相場が不明のため、算出根拠の妥当性について課題が残る。

【論点4】ボランティアの協力をどのように反映したら良いのか。
・ボランティア費用計上するという意見があるが、換算の価値をどうやって決めるのか。
・ボランティアや活動を記録することは手間がかかるが、数字にして外部の方に説明することは力になるし大切なこと。これを機会に頑張ってほしい。期待している。

【論点5】使途等に制約のある寄付の受入・未使用分の保有をどのように取り扱ったらよいのか。
・預かり金処理等の負債方式が専門家の中では少数派のようだが、市民感覚ではその方が理解しやすいのでは。
・使途に制約のある寄付について、自由な処分性がないので収益計上はありえない。指定寄付金は寄付金債務、使途に指定のないものは寄付金収入とするのが良いのでは。

【論点6】NPO法が前提とする計算体系の下での「収支計算書」はどのような構成でなければならないのか。
・損益型の活動計算書という形は一つのあり方だと思う。名称は要検討。
・発生主義と現金主義の選択制を入れたほうがいいのではないか。

【論点7】NPO法に「収支計算書」及び「貸借対照表」とともに列挙された「財産目録」をどのように考えるのか。
・財産の内容が明確になる。金額評価しにくい場合でも、個数で表示でき、純資産を表す意味で必要である。
・公表すると寄付者の参考になる。ファンドレイジングを活発にしていくなら、公開する方がいい。

【論点8】「その他の事業」の会計を特別な会計として区分するというのは、収支計算書(委員会では「活動計算書」と)だけでなく貸借対照表まで区分する必要があるのか。
・事業の実態が見えるため、事業毎の区分は必要。
・特定非営利活動とその他の事業、それぞれの収支計算書は作成しても、貸借対照表は一本化してもいいのでは。

【論点9】事業費と管理費の区分について、どのように考えたらよいのか。
・指定寄付や助成金は事業費に対する助成金であることが多く、この区分にこだわる寄付者が多いため、必要。
・事業費と管理費ではなく、人件費とその他経費の区分でよいのでは。

【その他】
・会計報告書だけでなく事業報告書も連動して活用すべきだ。
・あまり細かく決めすぎると、多様な活動形態にふさわしい処理がしにくくなるのでは。

2月2日に開催された第六回策定委員会では、これら寄せられた意見を考慮しながら、専門委員が中心となって作成したNPO法人会計基準案(最終案)タタキ台(専門委員会提案(平成22年2月2日))が発表され、議論された。次回、3月30日に開催される第七回の策定委員会で最終報告に向けた検討がなされる予定だ。


(当日の様子 会計基準案タタキ台の提案をする脇坂氏 2/2)

NPO法人会計基準プロジェクトの中間報告パブリックコメントの集計結果は、下記PDFファイルを参照。
https://www.npoweb.jp/pdf/PubComme2.pdf

各地で開催された全国キャラバンの報告は下記ページを参照。
http://npokaikei.blog63.fc2.com/blog-category-13.html

NPO法人会計基準案(最終案)タタキ台(専門委員会提案(平成22年2月2日))は下記PDFファイルを参照。
http://bbs4.sekkaku.net/bbs/upfile/npokaikei2–1265341401—920-952.pdf

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●全国キャラバンの日程・開催地・参加人数・地域開催団体名

11月14日 東京都(新宿区) 120人(NPO会計基準協議会)
27日 大阪府(大阪市)  63人(大阪ボランティア協会)
28日 愛知県(名古屋市) 62人(ボランタリーネイバーズ)
29日 静岡県(浜松市)  29人(浜松NPOネットワークセンター)
12月 1日 千葉県(千葉市)  22人(ちば市民活動・市民事業サポートクラブ)
3日 神奈川県(横浜市) 20人(アリスセンター)
5日 福岡県(福岡市)  34人(NPO会計税務支援福岡)
6日 佐賀県(佐賀市)  21人(佐賀県CSO推進機構)
7日 北海道(札幌市)  29人(北海道NPOサポートセンター)
8日 宮城県(仙台市)  45人
(杜の伝言板ゆるる/せんだい・みやぎNPOセンター)
東京都(港区)   18人(東京支援会議)
9日 熊本県(熊本市)  21人(NPOくまもと)
10日 沖縄県(那覇市)  76人(那覇市NPO活動支援センター)
12日 広島県(広島市)  58人(ひろしまNPOセンター)
13日 長野県(長野市)  29人(長野県NPOセンター)
16日 茨城県(つくば市) 23人(茨城NPOセンター・コモンズ)
22日 神奈川県(横浜市) 83人(税理士による公益活動サポ-トセンタ-)

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●「NPO法人会計基準案(最終案)タタキ台(専門委員会提案(平成22年2月2日))」

【目次】

【はじめに】

【NPO法人会計基準】

本文
I NPO法人会計基準の目的
1.目的
2.他の法令の規定への留意

II 一般原則
3. 真実性・明瞭性
4.継続記録
5.継続性
6.適時性・正確性
7.単一性
8.重要性

III 財務諸表等の体系と構成
9.NPO法人の財務諸表等
10.活動計算書
11.貸借対照表
12.財産目録
13.財務諸表の注記

IV 収益や費用の把握と計算―その1
14.会費収入
15.寄付金収入
16.費用の区分
17.少額の費用
18.定期的に支払う費用

V 収益や費用の把握と計算―その2
19.事業収益
20.商品・製品の計上
21.固定資産の計上
22.減価償却費の計上
23.借入金の扱い
24.外貨建取引の換算方法
25.事業費と管理費の区分
26.複数事業の区分表示

VI 区分経理
27.特定非営利活動とその他事業の区分経理

VII NPOに特有の取引等の扱い
28.固定資産の現物寄付
29.棚卸資産の現物寄付
30.期末に残る寄付物品
31.サービスの無償提供の活動計算書への計上
32.サービスの無償提供の財務諸表への注記
33.サービスの無償提供の事業報告への記載
34.補助金・助成金収入
35.使い道に指定のある寄付金の計上
36.使い道に指定のある寄付金の期末処理

注解
注1 活動計算書の表示方法
1.表示方法
2.経常収益
3.経常外収益
4.経常費用
5.人件費
6.その他経費
7.事業費
8.管理費
9. 事業費と管理費の按分
10.経常外費用
注2 貸借対照表の表示方法
11.表示方法
12.流動資産・固定資産
13.流動負債・固定負債
14.特定資産
注3 資産・負債の貸借対照表に計上する価額
15.資産・負債の計上
16.現金・預金の期末残高
17.固定資産
18.寄付を受けた固定資産
19.外貨建債権債務
20.リース取引
21.引当金
注4 財産目録
22.表示方法
23.財産目録の価額
注5 財務諸表の注記
24.注記しなければいけない事項
25.注記をすることができる事項
注6 サービスの無償提供を計上する場合
26.サービスの無償提供の計上

【議論の経緯と結論の背景】

【財務諸表の用語と様式に関するガイドライン】
活動計算書の用語の解説
貸借対照表の用語の解説
活動計算書と貸借対照表の様式例1(現預金以外の重要な資産・負債がない)
活動計算書と貸借対照表の様式例2(現預金以外の重要な資産・負債がある)
活動計算書と貸借対照表の様式例3(その他事業を行っている)
活動計算書と貸借対照表の様式例4(NPOに特有の取引等がある)
財務諸表の注記の様式例
財産目録の様式例

【NPO法人会計基準のガイドライン(Q&A)】

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(当日の様子 2/2)

※NPO法人会計基準策定プロジェクトは、多く方々のご支援をいただいて、進んでいる。この場をお借りして感謝申し上げるとともに策定に向けて、さらなるご支援をよろしくお願いいたしたい。
【助成】キリン福祉財団・損保ジャパン記念財団・中央労働金庫・東京都共同募金会
トヨタ財団・ボーイング社・三菱財団・郵便事業株式会社
【後援】助成財団センターパルシステム生活協同組合連合会セカンドリーグ支援室
【協賛】ソリマチ株式会社・株式会社ぎょうせい・日本通信紙株式会社・株式会社ミロク情報サービス・弥生株式会社

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