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その他ニュース

2010年08月31日 22:30

その他 : 内閣府、税額控除・仮認定・新PSTなど要望

8月31日、内閣府は平成23年度税制改正要望を発表した。4月の市民公益税制プロジェクト・チーム中間報告に基づき、寄付金税額控除方式の導入や「仮認定制度」の導入、新しいパブリック・サポート・テスト(PST)の導入などを要望。具体的数値設定では、NPO/NGO側の要望が反映されている。

昨年8月の政権交代後、税制改正の流れが変更された。各省庁は税制改正要望を8月末までにとりまとめて、政府税制調査会へ提出することになっていた。

NPO・寄附税制改正については、税制調査会に設けられた市民公益税制プロジェクト・チームが4月に中間報告をまとめ、発表。その中では、制度創設以来となる抜本的改正の方向性が示されていた。

参考ニュース「【声明】市民公益税制PT中間報告を歓迎!」(2010/04/09)
/2010/04/その他-【声明】市民公益税制pt中間報告を歓迎!/

市民公益税制PT中間報告を受け、6月にNPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会(連絡会)は、税制改正要望書を内閣府に提出。中間報告内容の実現に向けて、具体的制度設計などを提案していた。

参考ニュース「連絡会、内閣府へ税制改正要望書を提出」(2010/06/23)
/2010/06/その他-連絡会、内閣府へ税制改正要望書を提出/

連絡会は6月から7月にかけて、全国で地域学習会を開催。アンケートでは中間報告内容について高く評価されており、実現へ期待が高まっている。

参考ニュース「税額控除や仮認定、新PSTに高い評価と期待」(2010/08/25)
/2010/08/その他-税額控除や仮認定、新pstに高い評価と期待/

今回の税制改正要望では、内閣府は、「市民活動の推進等」で認定NPO法人制度と寄附税制の改正を要望。連絡会の要望を反映する形で、寄付金税額控除方式の導入や「仮認定制度」の導入、新しいパブリック・サポート・テスト(PST)の導入などを要望。また、公益社団・財団法人についても、寄付金税額控除方式の導入を盛り込んだ。

他にも、学校法人(文部科学省)・社会福祉法人(厚生労働省)について同様の要望が行われている。

内閣府が、提出したNPO税制改正の要望は以下の通り。
認定NPO法人制度改正部分については、外務省・環境省との共同要望となっている。

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1.市民活動の推進等

●特定非営利活動法人に係る税制上の特例措置 〔新設・拡充・延長〕
<税目>(国 税)法人税、所得税
(地方税)法人住民税、個人住民税、法人事業税

【概要】
「新しい公共」の実現に向けて、公共的な活動を行う機能は、行政だけではなく、多様な主体によって担われる必要があるが、その担い手の一つが特定非営利活動法人である。今回の要望は、同法人の活動の継続性を確保するため、寄附金の税額控除制度の導入や、認定特定非営利活動法人の認定基準の見直し等の改正を要望するものである。
なお、今回の要望の基となっている「市民公益税制PT中間報告書」の内容は、『「新しい公共」円卓会議における提案と制度化等に向けた政府の対応』や『新成長戦略』にも明記されているところである。

【要望内容】
「新しい公共」の実現に向けて、認定特定非営利活動法人制度について、「市民公益税制PT中間報告書」を踏まえ、以下の措置を要望する。

〔国税〕
1.所得税に税額控除方式(控除率:国税40%、地方税:10%、控除限度額:25%)を導入し、所得控除との選択性とすること。
2.パブリック・サポート・テスト(PST)に、3,000 円以上の寄附者が100 名以上で判定できる基準を導入すること。
3.地方団体が、個人住民税の寄附金税額控除の対象として条例に基づき独自に指定した特定非営利活動法人については、PST要件等を求めないこととすること。
4.特定非営利活動法人のスタートアップを支援するため、PSTを満たさなくても寄附優遇を受けられる「仮認定」の仕組みを導入すること。
5.みなし寄附金の控除限度額を、学校法人・社会福祉法人・更生保護法人並みの、所得金額の50%(または200 万円)へ引き上げること。
6.パブリック・サポート・テスト(PST)の基準値を1/5 とする特例を恒久化すること。

〔地方税〕
1.個人住民税の寄附金税額控除について、所得税の控除対象寄附金の範囲を超えて特定非営利活動法人への寄附金を地方団体が条例に基づき指定できる仕組みを導入する。
2.個人住民税における「ふるさと寄附金」を活用して、特定非営利活動法人等へ寄附しやすい環境を整備する。
3.個人住民税の寄附金税額控除の適用下限額を現行の5 千円から2 千円に引き下げる。
4.法人税において、認定特定非営利活動法人を対象とする税制上の優遇措置の新設・拡充・延長が認められた場合、法人住民税法人税割及び法人事業税についても適用される。(租税特別措置法第66 条の11 の2、同法施行令第39 条の23、同法施行規則第22 の12、特定非営利活動促進法第46 条、法人税法第37 条、同法施行令第73 条、同法施行規則第22 条の5 関係において措置された場合、国税と自動連動する。)

<内閣府、外務省、環境省共同要望>

●公益社団・財団法人への寄附金にかかる税制上の特例措置〔新設・拡充〕
<税目>(国 税)所得税
(地方税)個人住民税

【概要】
「新しい公共」の担い手である公益社団・財団法人による公益活動を、今後、より一層促進するために、公益活動の重要な原資の一つである個人からの寄附について、寄附を行いやすくするような税の優遇措置の新設・拡充を要望する。

【要望内容】
公益社団・財団法人への寄附金について
・ 従前の所得税に係る寄附金控除(所得控除)に加え、新たに税額控除制度を導入し、寄附金控除との選択制とする。
・ 個人住民税の寄附金税額控除の適用下限額を5 千円から2 千円に引き下げる。
・ 地方公共団体を通じた寄附について、寄附者の意思を尊重することができる環境を整備する。

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内閣府の平成23年度(2011年度)税制改正要望は、内閣府サイト内、下記PDFファイルを参照。
http://www.cao.go.jp/yosan/soshiki/h23/zei/23zei.pdf

文部科学省は、昨年度も多くの寄附税制拡充を要望していたが、今年は要望のほとんどが寄附税制に関連するものとなっている。要望内容は、日本版プランド・ギビング税制の創設をはじめ、認定NPO法人の共益活動要件の緩和、学校法人への寄付金税額控除方式の導入、寄付金控除の年末調整化など多岐にわたる。

文部科学省
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●1.「新しい公共」形成のための寄附税制の拡充

○寄附優遇対象法人の拡充
(1)日本版「プランド・ギビング」※信託の創設(非営利団体に寄附する信託の寄附優遇対象化)(新規) 【所得税、相続税、住民税】
「新しい公共」における提案を受けて、個人寄附者と非営利団体との間をつなぐ寄附仲介機能を強化する観点から、非営利団体に対する寄附を目的とする信託について、寄附金控除の適用、運用時非課税等の所要の税制措置を講じる。
(金融庁等との共同要望)

※ 計画的寄附。アメリカでは、例えば非営利団体への寄附を目的に金銭を信託した場合、寄附金控除が受けられるほか、委託者の生存中(または一定期間)、信託財産の一定額が委託者にも戻され、信託期間終了後(又は委託者死亡後)には、残余財産が非営利団体に交付される。

(2)地域住民同士により公共活動を行うNPO法人に係る認定NPO法人制度の認定要件の緩和(拡充) 【所得税、法人税】
「新しい公共」宣言を踏まえ、認定NPO 法人制度の認定要件において、「新しい公共」を担う総合型地域スポーツクラブや学校支援地域本部等、地域住民の誰もが参加できる事業については、「共益的な活動」として取り扱わない措置を講じる。〔租税特別措置等〕

○寄附優遇内容の拡充
(3)個人からの寄附の税額控除の導入(新規(一部継続)) 【所得税】
①給付制奨学金事業等を行う公益社団・財団法人、学校法人
②芸術文化振興基金が助成する文化芸術団体の事業

① 「新しい公共」における提案を受けて、i)給付制奨学金事業等を行う公益社団・財団法人、ii)学校法人に対する個人からの寄附について、新たに寄附金額の40%(現行の住民税の寄附金控除率10%と併せて50%、以下同じ。)を税額控除する制度を創設する。
(i)については、内閣府との共同要望)

② (独)日本芸術文化振興会の芸術文化振興基金が助成する「新しい公共」を担う文化芸術団体の事業への個人からの寄附について、新たに寄附金額の40%を税額控除する制度を創設する。

(4)個人住民税における寄附金控除の適用下限額の引き下げ(拡充) 【住民税】
「新しい公共」における提案を受けて、個人住民税の寄附金税額控除の適用下限額を現行の5千円から2千円へ引き下げる。

○寄附文化醸成に向けた寄附環境の整備
(5)寄附金控除の年末調整の対象化(継続) 【所得税】
「平成22年度税制改正大綱」を受けて、現在、寄附金控除を受けるためには確定申告の手続が必要なところ、生命保険料控除等他の控除手続と同様に、寄附金控除に係る手続を年末調整の対象とする。

●2.教育の振興

(2)子どもゆめ基金による助成事業への寄附の税額控除の導入及び指定寄附化
(新規) 【所得税、法人税、法人住民税、事業税】
事業仕分けによって(独)国立青少年教育振興機構の子どもゆめ基金の運用利益金が見込めなくなり、今後の事業費については、寄附金で対応する必要が生じたため、子どもゆめ基金による助成事業への個人からの寄附について、新たに寄附金額の40%を税額控除する制度を創設するとともに、企業からの寄附を全額損金算入できる指定寄附金とする。

●3.文化の振興

(1)文化財の公開促進のための寄託優遇税制の創設(新規) 【相続税】
「新成長戦略」を受けて、個人が所有する国宝・重要文化財等を国、(独)国立文化財機構等に長期間寄託を行った場合、相続・遺贈による相続税の納税を猶予する。
これにより、国宝・重要文化財等の安全管理を確保しつつ、観光立国の実現にも資するべく文化財の計画的・一体的な公開活用を推進する。

(2)能楽堂、劇場、音楽堂等の文化芸術の公演のための施設における減免措置の拡充(拡充) 【不動産取得税、固定資産税、都市計画税】
「新しい公共」における提案を受けて、公益社団・財団法人又は認定NPO法人が設置する能楽堂、劇場、音楽堂等の文化芸術の公演のための施設について、不動産取得税、固定資産税、都市計画税を1/2に減免する。〔租税特別措置等〕

●4.スポーツの振興

(1)スポーツ振興基金による優秀な選手等に対する助成事業への寄附の指定寄附化(新規) 【法人税、法人住民税、事業税】
「スポーツ立国戦略」を受けて、(独)日本スポーツ振興センターのスポーツ振興基金による優秀な選手・指導者を対象とする助成事業への企業からの寄附を全額損金算入できる指定寄附金とする。

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文部科学省の平成23年度(2011年度)税制改正要望は、文科省サイト内、下記PDFファイルを参照。
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2010/08/30/1297091_04.pdf

環境省は、内閣府との共同要望の他にも、生物多様性保全や環境教育・環境保全活動促進に向けた支援税制を要望。

環境省
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3 自然環境の保全・環境保全活動の促進

(3)生物の多様性の保全を目的として民間の団体が行う土地の取得又は所有に係る税制上の特例措置【新規】(不動産取得税、固定資産税)
公益社団法人及び公益財団法人であって生物の多様性の保全を目的とするものが、その目的のために取得する土地については、不動産取得税を非課税とし、また、その目的のために所有する土地については、固定資産税を非課税とする。

(4)認定NPO法人に対する所得税の税額控除制度の導入等「新しい公共」関連の特例措置(所得税)【新規】
認定NPO法人に対する寄附金にかかる所得税の税額控除制度の導入等「新しい公共」関連の特例措置を創設する。

(5)環境教育・環境保全活動拠点に係る税制上の特例措置【新規】(固定資産税、都市計画税)
自然体験活動の場その他の多数の者を対象とするのにふさわしい環境保全の意欲の増進に係る体験の機会の場(以下「体験の機会の場」という。)として地方公共団体又は国から認定を受けた土地又は建物について、当該土地又は建物を、地方公共団体、地方公共団体を構成員に含む協議会又は認定特定非営利活動法人等が体験の機会の場として利用する場合、その程度に応じて、当該土地又は建物の所有者に対する固定資産税及び都市計画税の減免措置を講じる。

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環境省の平成23年度(2010年度)税制改正要望は、環境省サイト内、下記PDFファイルを参照。
http://www.env.go.jp/guide/budget/h23/h23juten-1.pdf

厚生労働省は、社会福祉法人に対する寄付金税額控除方式の導入を要望。

厚生労働省
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第9 各種施策の推進

⑩ 個人が社会福祉法人等に寄附を行った場合における税額控除等の創設〔所得税、個人住民税〕
個人が社会福祉法人等に寄付を行った場合の寄附金控除について、以下の措置を講じる。
(i)税額控除を導入し、現行の所得控除との選択制とする。
(ii)所得控除を選択する場合、寄附金控除に係る手続を年末調整の対象とする。

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厚生労働省の平成23年度(2010年度)税制改正要望は、厚生労働省サイト内、下記ページを参照。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000nwfd.html

総務省(※現段階では未掲載)
http://www.soumu.go.jp/menu_yosan/yosan.html

農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/press/keiei/tyosei/100831_1.html

国土交通省
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_000980.html

経済産業省
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g100831bj.html

※今回の税制改正要望に至る活動では、内閣府や総務省、財務省など関係省庁の方々をはじめ、国会議員の方々、連絡会参加団体やアンケート回答団体の方々など多くの団体・個人の方にご協力をいただいた。また、こうした税制改正活動はシーズの会員や寄付者の皆さまにより支えられている。この場を借りて、深く感謝申し上げる。税制改正の実現に向けて、引き続きのご支援・ご協力をお願いしたい。

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