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その他ニュース

2011年01月24日 16:00

その他 : 今年もセンター試験にNPO・NGOが登場

1月15日に行われた大学入試センター試験(センター試験)第1日目、公民の中の現代社会の試験で、NPO・NGOについて単独で出題された。他にも現代社会でボランティア活動や国連ミレニアム開発目標(MDGs)、企業の社会的責任(CSR)、メセナ活動などが問題文・選択肢で述べられた。

大学入試センター試験(センター試験)は、独立行政法人大学入試センターが実施する試験で、国公立大学と私立大学の多くがこの試験の結果を入試に利用している。そのため、受験生や高校・予備校に対する影響力はとても大きい。

センター試験では、公民(現代社会・倫理・政治経済)において特定非営利活動法人(NPO法人)や特定非営利活動促進法(NPO法)、社会貢献、ボランティアなどに関する問題文や設問、選択肢が多い。ここ数年は、ほぼ毎年のように掲載が続いている。

昨年のセンター試験では、政治経済で「NPO法人」について単独出題があった他、企業の社会的責任(CSR)やフェアトレード、フィランソロピー、消費者団体訴訟などが登場した。

参考ニュース「センター試験でNPO法人が出題、やや難か?」(2010/01/20)
/2010/01/その他-センター試験でnpo法人が出題、やや難か?/

参考ニュース「センター試験でNPO法が出題」(2008/01/30)
/2008/01/その他-センター試験でnpo法が出題/

参考ニュース「大学受験、NPO関連知識は必須」(2006/01/26)
/2006/01/行政-大学受験、npo関連知識は必須/

参考ニュース「センター試験にNPOと地域通貨」(2005/01/18)
/2005/01/行政-センター試験にnpoと地域通貨/

参考ニュース「センター試験で、NPOの問題」(2004/01/20)
/2004/01/行政-センター試験で、npoの問題-2/

今年もこの傾向は続き、2011年1月15日に行われたセンター試験では、NPO関連で下記のような出題があった。

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●現代社会「NPO・NGOについて」

【問題文】
第3間 次の文章を読み、下の問い(間1-8)に答えよ。

現在の日本が抱えている問題として、地域社会の衰退がしばしば指摘されている。その一つの側面として、人々のつながりの希薄化により、地域のなかの支え合いや助け合いが成り立ちにくくなってきていることが挙げられる。

例えば、子育てについて取り上げてみよう。これまで子育ての支えとなってきたのは、家族・親族・町内会といった血縁や地縁で結ばれたコミュニティであった。

だが今日では、核家族化に続き、少子高齢化が進むとともに、人々のつながりが希薄化したことで、このようなコミュニティの機能が低下し、従来と同様の環境で子育てを行うことが難しくなってきている。そうしたなか、国や地方自治体などの行政機関による迅速な対応や、福祉にかかわる法・制度のさらなる整備および充実などが求められている。しかし、行財政基盤の弱体化や福祉の現場における人材不足などにより、行政サービスが十分に行き届かないことが考えられる。

こうした厳しい現状において、育児相談や家事援助などの子育て世帯向けのサービスを提供するNPO(非営利組織)の活動が注目されるようになった。ただ、これは比較的新しい支援の取組みであり、財政面や人材面で安定的な運営を持続することが難しいという見方もある。

このように、コミュニティ、行政機関、NPOがそれぞれの課題を抱えている。したがって、子育てのような地域生活にかかわる問題を解決するには、互いに短所を補いつつ、地域ぐるみで取り組む必要がある。そのためには、まず住民が自分の経験をいかして、地域の課題に積極的にかかわることが望まれる。こうした一人一人の実践は家族や地域のつながりを再構築する原動力となり、それが地域再生の新たな一歩となるのである。

【出題】
問7 下線部(=NPO(非営利組織)引用者注)に関連して、NPO・NGOに関する記述として最も適当なものを、次の1~4のうちから一つ選べ。

1.日本では、特定非営利活動促進法(NPO法)により、一定の条件の下、特定の非営利活動を行う団体に法人格を付与している。
2.日本では、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づくNPOが個人や団体などから寄附を受け取ることは禁止されている。
3.「アムネスティ・インターナショナル」は、天災・人災・戦争などあらゆる災害に苦しむ人々に、人種・宗教・思想・政治的なかかわりを超えて差別することなく医療の提供を行うことを目的に活動しているNGOである。
4.「地雷禁止国際キャンペーン」は、地雷被害者に対する支援活動や、地雷による被害をなくすための教育などを行っており、対人地雷全面禁止条約の発効を契機として設立されたNGOの連合体である。

正解:1
※1.が正解。2.は全く禁止されておらず、むしろ市民からの寄付は非常に重要。3.では、「アムネスティ・インターナショナル」は「医療の提供を行うことを目的」にしていない。4.では、「対人地雷全面禁止条約の発効を契機として設立」が事実ではない。

素直に1.が選択できれば、簡単な問題だが、3.4.の選択肢がかなりもっともそうな文章なので、惑わされた受験生も多かったのではないか。

●現代社会「ボランティア活動について(図表分析)」

【出題】
間8 下線部(=住民が自分の経験をいかして、地域の課題に積極的にかかわること 引用者注)に関連して、次の図は、2006年における日本のボランティア活動の行動者率を男女に分けて、年齢階層別に示したものである。ボランティア活動の行動者率とは、調査時点より過去1年間に何らかのボランティア活動に参加した者の割合のことである。この図から読み取れることとして最も適当なものを、次ページの1~4のうちから一つ選べ。

「図 男女別、年齢階層別に見たボランティア活動の行動者率」

1.10歳代から30歳代については、年齢階層が高くなるにつれて、男女ともに行動者率が高くなっている。
2.10歳代から40歳代については、20歳代が行動者率の男女間での差が最も小さくなっている。
3.40歳代の行動者率は、他の年齢階層と比べて男女ともに最も高い。
4.60歳代と70歳以上では、男性に比べて女性の行動者率が高い。

●現代社会「国連ミレニアム開発目標(MDGs)について」

【問題文】
第2問 次の文章を読み,下の問い(間1-5)に答えよ。

2000年の国際連合(国連)のミレニアム宣言等を受け、ミレニアム開発目標(MDGs)が策定された。そこでは,国際社会全体が取り組むべき課題の一つとして、極度の貧困と飢餓の撲滅が掲げられ、2015年までに極度の貧困や飢餓に苦しむ人々の割合を1990年比で半減させるという数値目標が設定されている。

貧困や飢餓の状態の改善は、人権保障の一環として,本来、個々の国家が行うこととされる。実際,開発途上国の多くは,国ごとに貧困削減戦略を策定し,その改善に努めている。しかし,そのような国のなかには,財政的基盤の弱さや,内戦等による社会の荒廃,政府の統治能力の欠如などから,その役割を十分に果たせていない国もある。

そのため国際社会では,近年,積極的に開発援助に人権の視点を取り込む動きが見られる。国連は人権を開発プロセスの中心に据え,開発援助を通じた不平等の是正と人権の保護・促進に取り組んでいる。また日本も人間の安全保障を外交の柱の一つとし,地球規模での普遍的な最低生活水準の確保のために努力している。

2009年の『国連MDGs報告書』は,極度の貧困人口比率の半減目標は2015年までに達成可能だが,それでもまだ10億人ほどが極度の貧困状態に残ると指摘する。また飢餓人口比率の半減目標は,その達成自体が危ぶまれている。貧困や飢餓の問題を解決し,すべての人に尊厳や人権を保障するためにも,開発途上国には一層の努力が,先進国や国際社会には国際協力へのさらなる取組みが求められる。

●現在社会「企業の社会的責任(CSR)、メセナ活動について」

【問題文】
第5間 次の文章を読み、下の問い(間1-5)に答えよ。

(前略)
このように現在では、日本の株式会社も、株主の利益の実現に留意するように求められている。しかしその一方で、株主の短期的な利益が優先される余り、雇用の安定性が損なわれているのではないかということが指摘されるなど、その行き過ぎを懸念する声もある。その背景には、現代の株式会社には、利潤の追求や株主利益の実現にとどまらない、様々な役割が期待されているということがあるのだろう。

【出題】
間5 下線部(=様々な役割 引用者注)に関連して、次の文章のA~Cに入る語句の組合せとして最も適当なものを、下の1~8のうちから一つ選べ。

民間企業が利潤を追求するのは当然のことである。しかしそれと同時に、現代の企業には、人権擁護や消費者保護に配慮するなどの企業の(A)と呼ばれる様々な役割が期待されている。実際、現代の企業には、社会の一員として企業倫理を確立し、その一環として(B)の実現のために努力することや、リサイクル運動等の環境保全活動に努めることなどが求められている。また地域社会におけるボランティア活動に対する援助や、芸術・文化への支援活動すなわち(C)なども、そのような役割の一つであろう。

1.A:社会的責任 B:アウトソーシング C:ロビー活動
2.A:社会的責任 B:アウトソーシング C:メセナ
3.A:社会的責任 B:コンプライアンス C:ロビー活動
4.A:社会的責任 B:コンプライアンス C:メセナ
5.A:信用創造  B:アウトソーシング C:ロビー活動
6.A:信用創造  B:アウトソーシング C:メセナ
7.A:信用創造  B:コンプライアンス C:ロビー活動
8.A:信用創造  B:コンプライアンス C:メセナ

正解:4
「A:社会的責任 B:コンプライアンス C:メセナ」が正解。この問題は、ひっかかりにくく簡単だったのではないか。

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今回の大学入試センター試験の問題・正解は、共同通信サイト内、下記ページを参照。
http://www.47news.jp/47topics/e/185758.php

正式な問題・解答は独立行政法人大学入試センターサイト内、下記ページを参照。
http://www.dnc.ac.jp/modules/center_exam/content0280.html

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