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記者と良い人間関係をつくるには

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記者と良い人間関係をつくるにはどうしたらいいのでしょう。一回取材されてそれっきり…と言う場合がほとんどかもしれませんが、それを御縁に付き合いが続き、その後も取材されたり、何かと相談されたりする関係になることもあります。どうやったらそのような関係に発展するのでしょうか。取材を受けている最中には何をして、受けたあとのフォローはどうすればいいのでしょうか。そもそも、「良い関係」とは何なのでしょうか。どのようなことが考えられるのでしょうか。

ビフォーアフター

ビフォー

取材を受けてもそれっきり。記者と長く関係が続いたことがない。取材を受けてもらいたいネタがあっても、記者に来てもらうのに一苦労。

アフター

信頼関係のある記者がいて、何かと相談したりされたり。同じ記者から何度も取材を受けたり、他の記者を紹介してもらえて、記事や番組になる機会が増える。

手順

1. 何か取材を受ける機会があったら、来た記者をよく観察する

何かのネタで取材を受けるとします。記者がきたら、その人をよく観察しましょう。
NPOや、その団体の活動分野にどのくらい興味を持っているのか。これまでどのくらい取材をしてきたのか。今後も取材を続けたいと思っているのか。これらは、話していくうえでわかるでしょう。もし、これらにあまり興味を持っていないようだったら、今後人間関係を築いていくのは難しいかもしれません。しかし、もしかしたら、今回の取材をきっかけに、今後もNPOやその活動分野について取材を続けたいと思う可能性もありますので、すぐにあきらめるのは禁物です。
また、人間として信頼できそうかどうか。これを見極めるのも大事です。1時間くらい話をすれば、どんな人間かということはわかってくるでしょう。取材を受けるときというのは、こちらが取材されると同時に、記者のことを知る時間でもあるのです。

2. 記事や番組ができたら必ず連絡をとろう

記事や番組が出来上がってきたら、良くても悪くても、必ず記者に連絡を取り、お礼や感想を伝えましょう。もし、不本意な記事だったとしても、柔らかな表現を使いつつ、でも、うまく伝わらなかったことを言ってみましょう。それが今後の取材のためですし、心ある記者なら謙虚にそれを受け止めるはずです。そこから人間関係が発展することもあるでしょう。
記事が上手にできていて、お礼の電話でも感じがよかったら、その後も関係が続く可能性が大きいです。

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3. その後もメルマガなどを送りつづけよう

取材があって、記事や番組ができて…という一連のプロセスが完結しても、むしろ関係が始まるのはここからです。団体で出しているメルマガなどは必ず送りましょう。しばらく何のコンタクトもなくても、記者はメルマガに目を通している場合も多いです。フェイスブックやツイッターでつながるのもいいでしょう。こまめに情報を送り続けることが大事です。

4. 何かネタがあったら、取材を持ち掛けてみよう

何かプレスリリースを出したい、取材してもらえるネタがある、ということができたら、今まで関係をつくってきた記者に相談してみましょう。そのとき大事なのは、プレスリリースを出す少し前に連絡してみることです。そして「今度プレスリリースを出すつもりなのだが、その前に相談したいと思って」と言ってみることです。
これはその記者だけに、まず独占的に教えることになります。少し大げさにいえば、「特ダネの提供」ということになります。記者にとって、特ダネをとることは至上命題。それを提供してくれる人は重要なネタ元です。
もしその記者が興味を示さなければ、別の記者にアタックするなり、広くプレスリリースをすればいいのです。
また、記者が取材をしてくれても記事が載らないこともあります。そのときも、記者をせめたりしないこと。何よりも記者自身が不本意に思っています。そこで広い心で見守ってあげて、次の機会へとつなげてください。

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5. 記者のブレーンになろう

こうやって取材を何回か受けたりする関係になったら、取材ネタだけでなくて広くいろんなことを話してみるといいでしょう。一度ランチや晩ごはんなどを一緒にしてみるのも一案です。そういう何気ない話のなかに、記者にとってのネタが埋まっていることもあります。また、今はまだ取材の時期ではなくても、将来的に…というネタもあるかもしれません。
人間関係ができていけば、NPOや、活動分野について「こういうネタはないか?」「こういう人は知らないか?」記者から相談を受けることもあるでしょう。そういうときには、「自分と直接関係ない」などといわず、できるだけ相談にのってあげましょう。そうすることでまた、自分たちの活動を取材してもらうことにつながるかもしれません。
いわば、記者のブレーン、相談相手になってあげるのです。優秀な記者にはそういう存在が必ずいます。あなたはNPOの活動分野の専門家なのですから、いろいろと相談にのってあげられるでしょう。
ここまでくれば、もしその記者が転勤などしても、別の記者を紹介してもらえるでしょう。

6. 良い記者と知り合うには

ふだんから注意して、自分の関心分野の記事や番組を見るようにしましょう。署名などがあったら、チェック。その記者に話を聞いてもらいたいと思ったら、今はフェイスブックやツイッターをしている人も多いですから、まずそこからコンタクトしてみましょう。
そこでつながらなければ、以前取材をしてもらったその社の記者に連絡先を聞いてみるのもいいでしょう。ただし、聞き方には注意しましょう。頼み方によっては「あなたよりもその記者のほうが質がいいから、そちらを選んだ」というふうにも聞こえかねません。
あるいは、その記事で取材されている団体が知り合いであれば、そこから紹介してもらう手もあるでしょう。
これらのやり方でも難しく、かつどうしてもコンタクトしたければ、その社に電話をして所属部署にまわしてもらい(新聞ならどの面で書いているかで、だいたい部署がわかります。違ったら、その記者の名前をあげて、正しい部署にまわしてもらいましょう)、「これこれについて、××記者に取材してもらいたいのだが、連絡先を教えてもらえないだろうか」と頼んでみましょう。直接連絡先は教えてもらえなくても、先方から連絡があるかもしれません。すべて断られることは少ないと思います。

コツ

記者は、取材先と良い人間関係をつくりたいと思っています。取材する人とされる人、どちらかが一方的に利用するのではなく、お互いに役立てるような関係をつくれるように心がけましょう。あるときはネタを提供して記事を書いてもらう。またあるときは記者の相談にのって人を紹介する…など。そうやって長い関係をつくっていくのです。

秋山 訓子(あきやま のりこ)

朝日新聞記者。政治部、経済部、アエラ編集部などを経て政治部次長。NPO法制定のころより、NPO,NGOと政治のかかわりについて取材を続ける

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本記事は、2014年03月12日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
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