トップページに戻る

認定を目指す環境NPOが確認すべき3つのポイント

5 1

多様化・複雑化する環境問題の改善には、息の長い取り組みが不可欠。良い環境は誰にとっても欠かせないものですから、たくさんの人の力を集めて、進めていきたいですね。
身近な自然環境の保全から、国際的な政策提言まで、様々な活動が行われていますが、共通して、市民が最も参加しやすい方法のひとつが「寄付」です。環境NPOは、ぜひ認定NPO法人となって、たくさん寄付を集めましょう!
とはいえ、何から手を付ければよいのか、いざ認定申請となると、関心はあっても、つい後回しに…。でも難しく考えずに、まず、3つのポイントの確認から、はじめてみませんか?

ビフォーアフター

ビフォー

・認定NPO法人に関心はあっても、何から準備を始めればよいのか、スタートがきれないまま、もう何年も経過…。
・理事も事務局も会員も、自分たちが活動することに精一杯で、寄付募集は二の次。その結果、いつまでたっても賛同者は増えず、活動の成果もあがりにくい…。

アフター

・具体的な検討をはじめることで、認定申請への意欲が増し、理事・事務局・会員の気持ちがひとつになる!
・認定制度を理解すると、寄付獲得の意欲が盛り上がり、誰もが熱心に賛同を呼びかけるようになる!
・皆さんの活動への寄付を通じて、たくさんの人が、環境問題の解決に貢献できるようになる!

手順

1. 「寄付金」の条件を理解する

認定を目指す環境NPOが確認すべき3つのポイントを確認する前に、まず「寄付」の条件を理解することからスタートしましょう。
認定基準のひとつ、パブリック・サポート・テスト(通称PST)では、実績判定期間中の寄付金をカウントし、一定の条件を満たしているかどうかが問われます。ここでいう「寄付金」には、いわゆる「寄付金」のほかに、「助成金」や「賛助会費」等も含まれることがあります。
PSTで寄付金とみなされる条件は、次の2つで、これを理解することが認定申請の第一歩です!

(1)支出する側に任意性がある
寄付者の意志で支出され、金額も寄付者が自由に決められることが求められます。
金額の目安を示して、寄付をお願いすることには問題ありません。
しかし、イベントの参加費や商品の代金に一定額の寄付金を含め、その寄付金部分も支払わないとイベントに参加できない、商品を購入できない場合には、強制的な徴収にあたり、寄付金としては認められません。

(2)直接の反対給付がない
 寄付者が寄付金の見返りを受け取らないことが求められます。
お礼状や活動を報告する手紙、無料の会報誌等、商業的に売買されないものは問題ありませんが、一般的に商業的価値を持つ物品やサービスを寄付者にお返しする場合、寄付ではなくその物品やサービスの対価とみなされ、寄付金としては認められません。

2. 確認すべきポイント①「会員制度」

さて、寄付金にカウントできる条件を、よく頭に入れて、「会員制度」を確認しましょう。
環境分野のNPO法人には、会員の種類がたくさんあって、多彩な会員特典を設けている団体がよくみられます。認定を目指す上では、寄付金にカウントできる収入が多いほうが有利ですから、会員制度の設計はとても重要。PSTで寄付金にカウントできる会費を増やすために、会費の性格を見直してみましょう。
例えば会員への割引サービスを実施しているけれど、その利用者は年に数えるほどだった、ということもよく聞かれます。ほとんど使われない特典を廃止したり、会員制度を整理し直したりすることで、「寄付金」がぐっと増えるかもしれません。

図:「環境分野の認定NPO法人が増えています 認定を取得すると助成金・寄付金がもっと集まる!」より
(三井物産環境基金助成事業)(NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会発行)

  2   npo

3. 確認すべきポイント②「助成金」や「行政からの補助金・委託金」

PSTには、計算方法が2つあります。1つは、一年間に3,000円以上の寄付を100人以上から受けていることが条件の「絶対値基準」。もう1つは、収入金額に占める寄付金収入が20%以上であることが条件の「相対値基準」です。
 一年間に100人も寄付を集めるのは難しい!と思われる団体でも、相対値基準ならクリアできる場合が少なくありません。まず、次の2つの収入があるかどうか確認しましょう!

(1)助成金
 助成金を受ける機会が多い環境NPOは、まず、助成元の法人格を確認します。企業や一般社団、一般財団等からの助成金もたくさんありますが、もし、あなたが受けている助成金が公益社団、公益財団、認定NPO法人、社会福祉法人等からの場合、相対値基準の計算で有利に働きます。

(2)行政からの補助金・委託金
 環境NPOは、行政から補助金を受けたり、委託事業を受けたりする機会もありますね。国・自治体からのそういった収入は、相対値基準の計算で、うんと有利に働きます。寄付金が今はとても少なくても、クリアできるかもしれませんよ!

図:「環境分野の認定NPO法人が増えています 認定を取得すると助成金・寄付金がもっと集まる!」より
(三井物産環境基金助成事業)(NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会発行)

  3   npo

4. 確認すべきポイント③「積立金」

活動に使用する車を取得したり、守りたい土地を購入したり、環境保全活動では、大きな出費を伴う時もあり、長期積立を行っている団体もあるでしょう。これ、注意しないと認定基準に抵触してしまうのです。
 基準の一つに、受け入れた寄付金総額の70%以上を特定非営利活動事業に使うという条件があり、寄付を募って将来のために積み立ててばかりだと、寄付を活用していないとみなされてしまうのです。これはひどい!ということで、「特定資産」という救済措置ができました。長期積立を行っている団体は、速やかに特定資産化しておきましょう。

図:「環境分野の認定NPO法人が増えています 認定を取得すると助成金・寄付金がもっと集まる!」より
(三井物産環境基金助成事業)(NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会発行)

  4   npo

5. 制度を学んで、認定取得を目指す

さあ、これで3つのポイントを確認しました。具体的なチェックを行うと、なんだか認定申請が身近に思えてきませんか?ぐっと関心が湧いたところで、あらためて制度の全容を学んでみましょう。理解の速さも深さもぐんとアップするはずです。
シーズでは、認定を目指す団体のために、認定NPO法人振興会というサービスを提供しています。ぜひこちらもチェックしてくださいね。

認定NPO法人振興会
http://c-s.or.jp/admission/index.html

コツ

・「基準が難しいし、厳しい!」「事務が面倒!」「考えている時間はない!」認定NPO法人制度は、そんなふうに思われているかもしれません。たしかに、制度の全体を完璧に理解しようとするのは気の遠くなるような話で。はじめからそこを目指さず、まずは具体的な事実の確認からはじめましょう。たくさんの人の力を借りて、少しずつ理解していけば、全体がつかめてきた頃には、申請書もほとんどできあがっているかもしれません。
・寄付は、最も人気の高い参加の方法のひとつ。たくさんの人が、寄付を通じて、環境問題の改善に貢献する機会を提供することは、NPOの大切な役割のひとつ。自分たちだけが一生懸命になるのではなく、できるだけ多くの人の賛同を得るために、寄付を募ることの意味をメンバーの共通理解にしましょう。認定申請に際し、団体のあり方を見つめ直すには、全員の協力的な態度が不可欠です。

NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会

1994年11月創設。1998年のNPO法成立、2001年の認定NPO法人制度成立、そして2011年6月の制度大改正を市民側からリード。市民活動を支える制度を勝ち取ってきました。NPOの個別サポートプログラムを4月からスタート。これからのシーズは、「基盤整備の時代」から「NPOの成長と成果の時代」を目指します。

スポンサー


本記事は、2014年03月28日公開時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。
ChangeRecipeではあなたのNPO活動における知識や体験談を必要としています
あなたが活動するなかで苦労したことやそれを乗り越えるために行ったノウハウは、他の地域で活動している方がとっても必要としてます。
あなたの投稿で日本の社会変革のスピードを加速してみませんか?