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アドボカシーとは

「市民参加」、「NPO」、「協働」・・・最近、こんな言葉を耳にすることが多くありませんか?いずれの言葉も、社会の仕組みやルールづくりの中で市民が果たす役割を拡大していくためのキーワードです。

なぜ、いまの社会は市民の力をそれほど必要とするようになったのでしょうか。

その背景には、経済成長を遂げて物質的に満たされてきたため、市民のニーズが細分化・多様化してきたこと、そのニーズの多様化に行政の対応能力が追いつかず限界にきていること、企業も市民社会の一員としての責任を果たす必要が求められるようになってきたことが挙げられます。

その結果、私たち市民の多様で新しいニーズをかなえていくためには、行政が動くのを待っているのではなく、望ましい方向へと社会を変えるように自分自身で働きかけなければ実現できない状況となっているのです。

ここ数十年の間に社会的課題として認識されるようになった環境問題でも、こうした多様化が進んでいます。

環境庁がつくられるきっかけが公害問題だったように、高度経済成長時代の環境問題は比較的狭い範囲に限られたものでした。

しかし現在の環境問題は、酸性雨や地球温暖化のように国境を越え、地球レベルで考えなければならない問題へと拡大しています。

時代とともに変化したのは範囲だけではありません。

問題の中身もじょじょに多様化しています。

例えば、生物多様性の問題では、以前は熱帯多雨林などの原生的な自然を開発から守るといった自然保護が主流でしたが、近年では、田んぼや雑木林といった里山の保全、外来生物への対策、さらには遺伝子の多様性の保全まで、さまざまな問題を包含した社会的課題へと広がりつつあります。

こうした環境問題の拡大・多様化にともなって、問題に関わりのある人々(ステークホルダー)にも変化が見られます。

公害の時代の人間関係は、公害を引き起こす汚染物質を排出する加害者である企業と被害を受ける市民、という明確でシンプルな対立構造でした。

しかし、現在の環境問題では、市民一人一人が温暖化の影響を受けている被害者であると同時に、温暖化ガスの排出者すなわち加害者でもあるように、ステークホルダーの構造も多様で複雑なものになっています。

このように複雑化した環境問題を解決するためには、だれか一人が行政に提言をするだけでは解決の糸口を見つけるのが非常に困難です。

問題にかかわる多くのステークホルダーに声をかけ、解決策を見つけるための活動に参加を促し、最終的な合意形成へと導く。

こうした新しい課題解決のやり方がいま必要とされています。

NPOや市民が、率先して社会の問題とその解決策を提起し、多様なステークホルダーの参加・協力を得て合意形成を図り、望ましい社会に向けて良い政策をつくりあげていく。

本サイトでは、この一連のプロセスを「アドボカシー」と呼びます。政策提言と訳されることが多いのですが、提言に終わらず、実現することが大切です。

いま環境NPO に求められているのは、まさにこのアドボカシーを実行する能力だと言えます。

しかしそうはいっても、市民やNPO が政策づくりに参加するという活動形態は、社会に定着してまだ日が浅く、アドボカシーという言葉そのものも耳に馴染んでいるとはいえません。

このウェブページは、これからアドボカシー活動を始めようという人たちを主な対象に、活動の概要やポイントを知り、具体的なイメージを持ってもらうとともに、実際に行政に声を届けるために役立つ情報を提供することを目的に作りました。

このウェブページが、これからアドボカシー活動を始めたいという方々の一助となれば幸いです。