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記事No 10162
件名 Re: 入会拒否の判例ございませんか。
投稿日 : 2011/10/14(Fri) 16:37:43
投稿者 弁護士 浅野晋
参照先
匿名希望 さん

 今のところ、NPO法人への入会拒否に関する判例は見当たりません。
ご参考までに、いくつか類似の事案についての判例を紹介します。

1、 平成19年8月30日大阪高等裁判所判決
  ゴルフ場の法人会員権の譲渡について理事会の承認を必要とする会則が設けられている場合につき,従前の登録記名者が引き続いてゴルフ場を利用するために名義変更申請をした場合,客観的に見て会員の適格性を欠くと判断することが当然として是認されるような特段の事由がない限り,承認を拒絶できないとした事例
(掲載誌)  判例タイムズ1280号239頁 判例時報2001号38頁

2、平成14年1月23日東京高等裁判所判決
  私人である社団ないし団体には結社の自由が保障されているから、新たな構成員の加入条件は、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるものであって、結社の自由を制限してまでも相手方の平等の権利を保護しなければならないほどに、相手方の平等の権利に対して重大な侵害がされ、その侵害の態様、程度が憲法の規定の趣旨に照らして社会的に許容しうる限界を超えるといえるような極めて例外的な場合に限り、新たな構成員の加入を拒否する行為が民法90条により無効となり、民法709条の不法行為にあたるものというべきであるところ、私的な社団としてのゴルフクラブの構成員の加入を国籍によって制限することは、そのような例外的な場合に該当するものということはできない。
 (掲載誌) 判例時報1773号34頁

3、平成11年7月26日東京地方裁判所判決
  社団法人たる区医師会が医師の入会を拒絶したことが当該医師に対する不法行為にあたらないとされた事例
 (掲載誌) 判例タイムズ1029号243頁

4、平成7年3月23日東京地方裁判所判決
  在日韓国人につき、日本国籍を有しないことを理由にゴルフクラブの法人会員の登録者への変更申請を承認しなかったことは、憲法一四条の規定の趣旨に照らし、社会的に許容しうる限界を超えるものとして違法であるとされた事例
 (掲載誌) 判例タイムズ874号298頁 判例時報1531号53頁

5、昭和56年9月9日東京地方裁判所判決
  外国人及び帰化して相当年限を経ていない者を入会不適格とするゴルフクラブの会則取扱細則が公序良俗に反しないとして、日本に帰化して2年9か月を経過したもと在日韓国人に対し同細則に基づいてされた同クラブの入会拒否を違法でないとした事例
 (掲載誌) 判例タイムズ460号120頁 判例時報1043号74頁
             弁護士 浅野晋

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