English Page
記事No 10440
件名 Re: 法人設立登記前の事業からの移行について
投稿日 : 2012/03/27(Tue) 07:11:57
投稿者 弁護士 浅野晋
参照先
わき さん

 以前に「法人成り」ということで解説していますが、再掲します。

NPO法人の設立の方法を、「法人なり」という方法ですると、すべて解決するようにおもいます。詳しくは、次の「法人成りの解説」をお読みください

法人成りの解説

一、法人設立の諸形態
 1、NPO法人の設立の仕方には、次のようなものがあります。
   ①新設……今まで団体としては何の活動もしていなかったが、新たにある目的の団体を作ってNPO法人設立の認証を受けて法人となる場合。
   ②解散・設立……従来より任意団体として活動をしていた団体を解散し、同時に同じ目的、事業の団体を同じ人たちで作って設立の認証を受けて法人となる場合。
   ③併存・設立……従来活動していた任意団体はそのまま残して、同じ目的、事業の団体を同じ人たちで作って設立の認証を受けて法人となる場合。
   ④法人成り……従来より活動をしていた任意団体が、NPO法人の設立認証を受け手法人となる場合。
 2、上記②の場合も③の場合も、新たに設立されたNPO法人は、解散した任意団体とは異なる団体ですから、任意団体の会員は、自動的に新設NPO法人の会員になるわけではありませんから、新たに入会手続が必要となります。また、任意団体の資産や契約関係(例えば、事務所の賃貸借契約など)を、どのように新設NPO法人に承継させるかという問題が生じます。
 3、③の場合、これらの問題が生じません。

二、「法人成り」とは
 1、「法人成り」というのは、「権利能力無き社団」の実体を有する任意団体が、NPO法人設立の認証を得て「法人格」という法律上の資格を取得するものです。
 2、これは、例えてみれば、誰かが運転免許証を取得するようなものです。その人は、運転免許証を取得する前でも取得した後でも全くの同一人物ですから、その人の資産とか法律関係は、免許証取得の前後で何の変化もありません。変わるのは、「運転免許証取得」という「資格」を得たため、その資格に基づいて認められる自動車の運転が許されるようになるということです
3、「法人成り」も、権利義務の主体としての地位はそのままで、「法人格」という社会的な資格を取得するというものですから、法人成りをしたNPO法人は、任意団体(権利能力なき社団)だったときの構成員(会員)がそのまま構成員(会員)となりますし(つまり、改めて入会手続をする必要がない)、また資産や契約関係もそのまま当然に承継します。

三、「法人成り」をする場合の手続
法人成りをする場合の手続の流れは、次の通りです。
   ①「任意団体の臨時総会」と「NPO法人の設立総会」を兼ねた総会の招集をする   
・これは、任意団体の総会招集手続に基づいて招集してください。
     ・議案は、別紙「議事録」記載の議案をご覧下さい。この総会の招集は、この議案で行います。
・なお、上記議案書の第2号議案(○○会の規約変更並びに設立する特定非営利活動法人○○会の定款を定める件)ですが、「特定非営利法人○○会」の定款の制定は、任意団体の「○○会」の規約の全面改正の形式で行います。従って、「特定非営利法人○○会」の定款を決定するための議決は、「○○会」の規約の改正手続きに従って行ってください。
②総会の議事の内容、議事の進行の仕方については、別紙「議事録」をご覧下さい。
③添付した定款は、特定非営利活動法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会シーズの定款です。参考にしてみて下さい。 
④任意団体「○○会」からの引き継ぎ資産は、収支予算書の中に「任意団体○○会からの引継資産」とか、「任意団体○○会会計からの繰越金」といった表現で計上してください。

             弁護士 浅野晋

- WebForum -