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2000年05月10日 10:00

行政 : 介護保険事業課税に関する国会答弁(その2)

 

 

介護保険事業が、収益事業として課税するとした大蔵省の決定に関して、4月27日の参議院財政金融委員会で、その理由や背景についての説明が再度、政府からなされた。

これは、民主党の櫻井充参議院議員の質問に対して、宮澤大蔵大臣が答えたもの。一部新聞では、宮澤大臣がNPO法人の介護保険事業課税の減免に前向きな答弁をしたと報じられた答弁である。

以下に、参議院の速記録(未定稿)から、その質疑答弁の内容をお知らせする。


○ 櫻井充君
 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 法案の審議の前に、まずNPO法人に対する課税についてお伺いしたいんですけれども、介護サービスを提供するNPO法人に対して課税するというふうに新聞報道がございましたが、なぜこのようなNPO法人に課税しなければいけないのか、その目的等について御説明願いたいと思います。

○ 国務大臣(宮澤喜一君)
 NPO法人を含めまして公益法人につきまして、収益事業から生ずる所得に対しては法人税を課する、収益事業に属さないものは法人税を課しませんが、収益事業に属するものは法人税を課すというのが規定の根本でございます。それは申すまでもなく民間企業が行います収益事業と競合関係に立ちますので、課税の公平、中立性という観点からでございます。
 そこで、当然のことですが、収益事業とは何かということを定義する必要がございまして、法人税法の施行令で物品販売業を初め三十三の業種を挙げまして、これらは収益事業である、これに属さないものは非収益事業である、収益事業には課税をする、そういう法の趣旨に基づきまして、NPO法人の行うサービスの中で収益事業と考えられるものは課税をする、こういうことでございます。

○ 櫻井充君
 しかし、同じ介護サービスを提供している社会福祉法人に対しては課税をしていないわけですね。つまり、両方とも非営利ということをうたっているわけであって、その点から考えれば整合性がないように思えますが、いかがでございましょうか。

○ 国務大臣(宮澤喜一君)
 いわゆる介護保険法の介護サービス事業はたくさんの団体が営んでおります。営利企業も営んでおります。医療法人も営んでおります。あるいは生協、農協と言われるような協同組合もやっておりますし一般の公益法人もやっておりますから、さまざまな事業主体がございます。その中で、法人税法上、医療保健業の収益事業に該当するものは課税ということでございます。
 御質問の趣旨は、しかしながらいわゆる社会福祉法人の営むものについては同じ内容のものであっても免税をしているんではないか、こういうお尋ねでございます。
 これにつきまして、政府としての考え方は、つまり社会福祉法人の営むものだけ例外的に収益事業から除外されていることの理由は、社会福祉法人が社会福祉という一般的に公益性の高い目的に専ら奉仕している法人であること、したがって法律上、設立、管理、監督に関して厳密な、厳格な内容の規定が設けられていおること、またそれに必要な設備施設等についても少なくとも最小限の、ミニマムなものを保有することを要求されておること等々、また社会福祉法人が生活困難者のような人に対して無料あるいは低額で保障しているといったような、社会福祉法人の持っておる社会的な責務とそれに求められておる要件というものを特に厳しくしておる、そういう理由をもって社会福祉法人が営んでおりますときにはこれを収益事業から除外しておるというのが政府の今までの考え方でございます。

○ 櫻井充君
 確かに、社会福祉法人という名前からすれば社会福祉を行っていることになるのかもしれません。しかし、介護サービスを提供している、NPOという名前かもしれませんけれども、社会福祉を行っているという点では全く同じではないでしょうか。
 ですから、その名前からということではなくてやっている内容から考えれば、こういうNPOに課税するというのはやはり整合性がとれないように思いますが、もう一度御所見をお伺いしたいと思います。

○ 国務大臣(宮澤喜一君)
 もう少し事情は複雑でございまして、確かに社会福祉法人というものが求められておる特殊な地位あるいは責務、それについての監督等々から、同じことをやっておってもというところが非常に問題でございますけれども、社会福祉法人についてはそういうことも認めておる。しかし、仮に同じことをやっておればNPOでも同じではないかという御議論は私は確かにあるだろうと。
 これから介護サービスが行われることになりますけれども、一番厳しいジャンルにいるのは社会福祉法人でございます。その次に公益法人というものがまたございます。その次にNPOがございます。それから、一番こちらに民間法人、営利法人があるわけで、みんなが同じことをやっておるかどうかということ、そこのところは私はいろいろ議論が存在するところだろうと思っておりまして、殊に今回、介護サービス事業というものがこれから行われる、そしてNPO法人がそれをどのように行うだろうかということはこれから実は見ていくべき問題だろうと私自身は思っております。
 そういう立場からいいますと、全く同じことをやっている社会福祉法人は収益事業ではない、非課税である、NPOは課税だというだけの説明ではちょっと私は十分でないだろうという思いはしております。今後NPOがどういう事業をするかによりまして、同じことが公益法人についても言えることになりますけれども、公益法人にしろNPO法人にしろ、内容いかんによってはそれは収益事業ではないというふうに認定する場合があるかもしれない、あるいはそういうことが考えられるのではないかというふうに私自身も考えますから、今後NPO法人のやります介護事業の内容に従いまして、ここは新しく考え方を打ち出していかなきゃならぬのかもしれないと。
 御質問の趣旨に全く聞く耳も持たないという気持ちで伺っているのではないので、そういうことを考える必要があるかもしれないということは注意して見てまいりたいと思っています。

○ 櫻井充君
 なぜこういう質問をしているかといいますと、NPOというものを政府がどうとらえているかということになるんだと思うんです。つまり、今後NPOがどんどんアメリカのようにふえていって、そしてアメリカのように行政の一部を担っていくような形で育っていってもらいたいと思っているのか。今回こういう形で課税してしまうと、参入しようと思っていたNPOとて撤退してしまうんじゃないか、日本にNPOが育たないんじゃないかという心配をしているんです。
 今、大蔵大臣はどういうことをやるのか少し見てからというふうにおっしゃいました。これは、税をかける、それを決定してからNPOの活動をごらんになるんでしょうか、それとももう少し様子を見てから、このぐらいの収入であればということで法人税をかけることを決定されるんでしょうか、その点についてお伺いしたいと思います。

○ 国務大臣(宮澤喜一君)
 御心配の点、殊に御心配のもとにある点は私も実はわかっていないわけではありません。
 NPOというものが誕生したときに、何となく最初警戒の目を持って見られていたという時代を私は知っていますが、その後、急速にNPOというものが成長してきて、そして社会との関連というものも新しくいろんな意味で見直されている、そういう変化の時代にあると思います。NPOは御承知のように公益法人とか社会福祉法人とかというものと違いまして自然に誕生するわけでございますから、それに法的な一種の枠組みを与えるか与えないかということはここ二年ぐらいの間に決めなければならないという立場に政府はおります。
 NPOの本質上、政府の監督を受けないのがNPOでございますので、政府というのはどこを指すかと。一遍、経済企画庁を指すということになっていますけれども、しかしそれによって免税が行われたり行われなかったりするということは余り合理的でないので、やはり免税団体にするかしかないかということはNPOのこれからの仕事の仕方によってだれかが決めていかなければならない問題であります。課税の問題であればあるいは大蔵省か国税庁であるのかもしれません。それはいわゆる収益であるか非収益であるかという実態を判断してこれから具体的に決めていかなければならない問題であります。
 私が国税庁の諸君に申しておりますことは、かつてNPOというものに対してある種の偏見をもっておったとすればそれはやめた方がいい、現実に社会のためにどういう仕事をしているのかということを正面から見て行政をした方がいいということを実は申しております。まだ多少時間がございますけれども、そういう立場からNPOに対する課税の問題、法人格の問題というのはこれから新しく決めていかなきゃならない問題である。櫻井委員の冒頭におっしゃいました危惧については私もわかっております。

○ 櫻井充君
 NPO自体の運営というのは非常に厳しい状況にあって、しかも運営資金を得るために今どういう方向に向かっているかというと、NPOに寄附した場合に、その寄附行為、寄附をした人たちの税制を優遇しようというふうに動いているわけです。その動きとこのNPOに法人税をかけようという動きは全く逆行しているような気がするんです。
 もう一点お伺いしたいのは、では例えばNPO法人に課税した場合、税収は幾らぐらいだというふうに予想されているんでしょうか。

○ 国務大臣(宮澤喜一君)
 前段のところですけれども、まさにそういうことなんですが、それならNPOなら何でもいいか、そういうわけにもまいらないところが、これはどうしても公益法人にしろほかの団体が規制を受けておりますから、そこは難しいところで、そこで個々のNPOの活動に即して判断をしなければならないだろう、こう考えておるわけでございます。
 税収の問題については、私は税収のことは考えたことがありません。税収が欲しいからNPOに課税しようというふうな気持ちは持っておりません。普通に納税していただく方には納税していただくというだけのことで、その中で、これはもう非課税でいいんだと、ほかの団体等と比べて非課税に値する、非収益であるということであれば、それが幾らになっても大した問題じゃありません。

○ 櫻井充君

 ぜひお願いなんですが、NPOが海のものとも山のものともわからないというような御発言がありましたが、まじめにきちんとした形で参入しようとしている方々も数多くいらっしゃいます。ですから、活動をきちんともう少し見ていただいた上で判断していただきたい。課税すべきかどうかということについて早急に決定するのではなくて、大臣も先ほどおっしゃっておりましたけれども、様子を見なきゃいけないだろうというお話がありました。ですから、ぜひしばらく様子を見た上で、これなら課税対象になるとかならないというふうに決定していただきたいということを要望しておきたいと思います。

○ 国務大臣(宮澤喜一君)

 海のものとも山のものともと申し上げたつもりはありません。私が申したかったのは、NPO全体をどうするということではなくて、一つ一つの具体的なNPOの活動に従って判断をしていくべきと思いますから、最終的に櫻井委員の言われたような、大変に急いでNPO全部に課税と、そんなような行政をするつもりはございません。

○ 櫻井充君

 どうも申しわけございません。

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