English Page

ニュース

2000年08月16日 10:00

行政 : 自治省がNPOに関する報告書作成

 

 

 自治省は、8月4日、「市民活動団体(NPO)と行政のパートナーシップの在り方に関する研究報告」と題するレポートを発表した。

 これは、自治省が1997年に設置した「市民活動団体(NPO)と行政のパートナーシップの在り方に関する研究会」(本間正明委員長)の3年に亘る研究をまとめたもの。

 「NPOと地方公共団体との関わり(基本的な考え方)」「NPOの特徴」「様々なNPOの登場と地方公共団体の対応」「NPOと地方公共団体との関わりの在り方」などについてまとめられている。

 研究会は、自治省の自治大臣官房地域政策室が主宰していた。

 自治省の発表による研究報告の概要は以下の通り。


市民活動団体(NPO)と行政のパ-トナ-シップの在り方に関する研究報告概要

                          平成12年8月4日
                               自治省

本報告書は、NPOと地方公共団体がパ-トナ-シップを構築するためには何が必
要か、何に注意すべきかを整理するとともに、他の地方公共団体の参考となる
ようなパ-トナ-シップのモデル事例を示したもの。

1 基本的考え方

○「私的な領域」と「行政的な領域」の間に存在する「パブリックな領域」の
 諸課題に対応するものとして、NPOへの期待の高まり。

 簡素で効率的な行政システムを確立し、住民の多様なニ-ズに対応するため
 に、地方公共団体においてもNPOの活動と適切な連携を図っていくことが必要
 であるが、NPOは、自らの問題意識で捉えた課題に対して自らの方法で解決す
 べく活動を行うものであり、地方公共団体との接点や関わりは部分的・限定的。

○様々なNPOの中には公共的ニ-ズに応えるものもあり、地方公共団体が主に関
 わりを持ちうるのは地域に根ざしたNPOであり、その際、両者が対等な関係の
 もとに協働・強調していくことが重要。

2 NPOの特徴

○NPOは自発的に公共サ-ビスの提供を行うため、柔軟かつ迅速な対応が可能。

○NPOを地縁団体との関係でみると、次のように様々であるが、両者の特性を十
 分認識し、それを最大限に生かしていくことが重要。

 i) 自治会が母体となるが活動は分離するもの

 ii) 自治会と協力して活動するもの

 iii)自治会から分離して活動するもの

3 様々なNPOの登場と地方公共団体の対応

○NPOとの具体的な関わりに当たって地方公共団体が対応すべき点は次のとおり。

(1)行政の在り方の見直し

 i) 部局横断的な対応の検討、連絡調整機能の強化等の総合行政の必要性

 ii) 情報公開の推進

 iii)NPOに対する補助金決定の過程や成果の明確化等の補助金制度の見直し

 iv) 地域の課題や必要なサ-ビス、NPOの活動状況等を踏まえたNPOへの委託
   の推進
 
(2)NPOの活動を行いやすくするための地方公共団体の施策検討に当たっての
   留意点  

 i) NPOとの意見交換、職員研修等による、その特性や地域における実情等の
   把握、理解

 ii) IT等の活用等工夫をこらした様々な情報提供、アドプト・プログラム(*1)
   等によるNPO・ボランティア活動参加のきっかけづくりと、NPOと社会貢
   献活動の支援を行う企業とのマッチング活動等による環境整備

    *1ボランティア活動の支援の一形態で、アメリカで始められたもの。
      「里親プログラム」等と訳される。

 iii)ネイバ-フッドマッチングファンド(*2)等によるNPOからの事業提案
   を生かす仕組みによるNPO活動の後押し

    *2アメリカで、地域で活動するNPOを活用・育成し、コミュニティ-
      開発の実現を図るため、連邦政府の補助金を活用して地方公共団
      体が設置したファンド。各種公共施設の整備やイベントの開催等
      について、NPOが経費の一定割合を負担するとともに事業の提案を
      行い、地方公共団体が残額をファンドから助成するもので、ほぼ
      同額の助成になることが多いことから「マッチングファンド」と
      呼ばれる。

4 NPOと地方公共団体との関わりの在り方

○ NPOが、地方公共団体との協働により、地域活動に取り組んでいるケ-スを
  整理すると次のとおり。
 
(1)NPOが直接公共的サ-ビスを提供するケ-ス

 i) NPOが地方公共団体の委託を受け、公共的サ-ビスを提供するケ-ス

   住民に対して効率的・効果的に公共サ-ビスを提供するために行うもの
   でありNPOが今後事業委託先の一つとなるとの意見がある。

    例)公園の管理運営等

 ii) NPOが地方公共団体の目の届かない、又は先駆的なサ-ビスを提供する
    ケ-ス

   行政のパイロットプログラムの役割を果たすNPOに対しては、地方公共団
   体が助成等を行うことも考えられる。

    例)女性の緊急一時保護、被災者支援等

 iii)NPOと地方公共団体とが同形態の公共的サ-ビスを提供するケ-ス。

   同じ成果を得るのに供給者としてどこが一番効率的であるかなどが、競
   争を通じて問われることとなる。

    例)介護サ-ビス等

(2)NPOが広い意味でコミュニティ-活動を主体的に行うケ-ス

   相当の住民の支持を受けている場合、各種コミュニティ-施策の対象と
   することも考えられる。また、このような活動を行うNPOは、地方公共団
   体との関係以上に、既存の地縁団体との関係が重要なものと考えられる。

    例)地域社会での子どもの教育、地域の歴史を活かしたまちづ活動等

(3)住民のコミュニティ-活動・ボランティア活動をNPOが支援するケ-ス 

   活動の経験・ノウハウの少ないボランティア団体等に対して、専門知識・
   技術を有したNPOが支援するものであり、地方公共団体としても、コミュ
   ニティ-活動支援のためのセミナ-等を委託することが考えられる。

    例)地域住民による各種NPO・ボランティア活動の横断的な支援等

(4)住民参加型行政を推進するに当たってNPOがコ-ディネ-タ-となる
   ケ-ス

   まちづくり分野をはじめとして、今後住民と地方公共団体とのコ-ディ
   ネ-タ-であるNPOの活動が期待され、地方公共団体は、NPOとの関わり
   を通じて、住民のニ-ズ・意見を反映した専門的な提言を有効に活用す
   べき。

    例)まちづくり活動における、住民と行政の橋渡し役、ワ-クショッ
      プの企画運営等を通じた地域住民のニ-ズの調整・取りまとめ等

(5)NPOが、地方公共団体、企業、住民等の共同事業体として活動を行うケ-
   ス地方公共団体も構成員の一人となるとともに、先駆的活動への取り組
   みが可能なこと、住民自身による問題認識の共有が図られること等のメ
   リットが考えられ、新たな形態として注目される。

    例)行政、企業、住民等の地域総参加方式による環境改善運動等

連絡先:自治大臣官房地域政策室
         井上・長谷
Tel.03-5574-7216

ページ上部へ戻る

MAILMAGAZINE

NPOに関する政策・制度の最新情報、セミナー・イベント情報など月数回配信しています。 NPO法人セイエンのメールマガジン登録ご希望の方はこちらから

contact

特定非営利活動法人
セイエン/シーズ・市民活動を支える制度をつくる会(清算手続中)

〒108-0014
東京都港区芝四丁目7番1号 西山ビル4階
※2021年4月1日より、新住所へ移転しました。シェアオフィスでスタッフは常駐していません。ご連絡は電話・メール等でお願いいたします。2022年4月よりFAX番号が変更になりました。

TEL:03-5439-4021
FAX:03-4243-3083
E-mail:npoweb@abelia.ocn.ne.jp
ホームページ:http://www.npoweb.jp/

事務所地図・交通アクセス

  • 東京都「認定NPO法人取得サポート」
  • NPO法改正&新寄付税率
  • 震災支援情報
  • 認定NPO法人になるための運営指南