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2001年05月30日 10:00

行政 : 自民党でNPO税制の見直しが議論に

 

 

 5月23日午後、自由民主党の「非営利組織(NPO)に関する特別委員会」が自民党本部で開催された。

 前回(5月18日)の委員会で、現場のNPO団体からNPO法改正やNPO支援税法への意見も聞き、問題点を明らかにしようとなっていたことから、今回の委員会ではNPO団体(もしくはNPOのネットワーク団体)からのヒアリングが行われた。

 ヒアリングに参加したNPO団体は、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会、さわやか福祉財団、市民互助団体全国協議会、日本国際ボランティアセンター、国際協力NGOセンター、日本ナショナルトラスト協会、日本NPOセンターなど14団体。

 出席者は、団体代表のほか、国会議員約10名、秘書、内閣府担当者など30名程度。

 冒頭、熊代昭彦委員長代理が、以下のように挨拶した。

 熊代議員:「特定非営利活動促進法の改正に関する要綱(案)」をお配りしていますが、これは本当にたたき台です。今日の主たる議題としましては、NPO団体から意見を頂いて、議論をさせて頂きたい。

 また、加藤紘一議員も以下のように挨拶した。

 加藤議員:今、党の中における役職停止ということで熊代さんに委員長代理をお願いしています。本来挨拶なんて、申し上げてはいけないのですが、そういうこととは別に、我々一所懸命この問題をやっておりますので、選挙前で忙しいこともあるんですが、とぎれない努力を続けたいと思います。よろしく今日は話をお願いします。

 参加団体からは、NPO支援税制に対して、多くの問題点、批判が述べられた。

 以下のような意見が出された。

■法人制度の改正について

  • 「特定非営利活動法人」という名称は長くてよく分からない。分かったようで分からない法人名である。もっといい名称にならないものか。
  • 法人名称の「特定非営利活動法人」という名前が長い。銀行口座などで苦労するので、もっと短い名前に変えてほしい。
  • NPO法の改正について、認証ではなく、届出制度にしてほしい。法人格申請の際に、完全に事前指導されている実状がある。これではNPOの自由意思が守られない。また、認証する側の都道府県側も悪い団体を認証してしまうのではと心配をしている。どちらにとっても届出制度のほうがいい。
  • 4ヶ月の縦覧期間は長い。閲覧期間が長い。設立は簡単にして、その後のディスクロージャーはしっかりするようにしたら良い。
  • 設立時に、出さなくて良いような書類もあるので、もう一度検討していただいて、誰でもNPOがとれるように簡略化をお願いしたい。

■NPO支援税制について

  • 税制の方も、書類の簡略化を考えて欲しい。
  • そろそろ自民党の先生にも市民団体を信用して頂いきたい。税の認定要件などを見ると、まだまだ信用されていないように思える。
  • 海外でも団体の規模によって、小さい団体は小さいなりに、大きい団体は大きいなりに提出する書類とかが違う。一方、今回の認定要件は規模の大小に関わらず一律となっている。団体の規模や実状に合わせて、法人法も税法も、検討していただきたい。
  • 日本の中で寄附が集まりにくいということがあって、寄附をもっと集めていこうとなってきたのが、まだ最近のこと。委託とか、事業とかで収入を図りつつも、同時に市民の参加を広めていこうとして、寄附を集めようとしているのに、はじめから3分の1要件はきつい。アメリカでも3分の1要件はあるが、同時に、「仮認定」制度というのがあって、4年間頑張って3分の1をクリアすれば、本認定になる。税制を利用して、寄附や会員を集めていこう、今からやろうという団体をサポートするのが本来の支援税制だと思う。今の要件だと、優秀な団体だけ支援しますよとなっている。実状に合わない。仮認定のような仕組みを作ってほしい。
  • 寄附金が、全収入の3分の1という要件はきわめて厳しい、現実的ではない。
  • NPO 支援税制の要件に広域性の要件、つまり、1つの地域だけでお金を集めたり、1つの地域だけで利用者を限定していてはダメという要件があるが、在宅ケアサービスという隣近所で対応をする活動は、生活に密着していることに意義があり、また、より良いサービスができる。公益性を広域性でみることは納得できない。
  • 行政のサービスにない仕事をするのだから、創設者がNPOは自腹を切って運動を始めることは多い。役員の講演料などを団体に寄附してやりくりしているのが実状だ。言い出しっぺである役員が寄附をすることに関して、パブリックサポートテストの算定式の中で不算入の規定があることは、「良い仕事をしろ、自腹はダメよ」ということになる。これではまちづくり運動がなりたたない。
  • 国際協力をしているNPO法人である。パブリックサポートテストで、総収入金額に占める寄付金・助成金の額の割合が3分の1以上というところで、特に1者からの助成金及び寄付金の額の2%を越える部分は寄付金総額の計算上、分子に不算入というのがある。国連、ないしは外務省からの事業委託や補助なども近年よりNGOを支援する形で増えているにもかかわらず、それをより多く取ることで私たちがこの基準を満たせなくなるのでは、どこかで矛盾が生じているのではないかなと思っている。ぜひ2%のところを再考してほしい。
  • 職員が日本人だけで40人、海外のスタッフを会わせると70~80人になる。その人間が直接もしくは銀行送金などを利用して、海外への資金の流れが年間100回を越える頻度で行われている。それを逐一事前に報告しなければならないという要件があるとのことだが、業務上支障をきたすと思う。
  • 国連と委託契約をしており、毎年仕事をしている。また、昨年からJICAと開発パートナー事業というのがあって、委託契約をしている。財政規模は約2億円ちょっと。スタッフは日本人が10数名、海外の現地人150名の常勤で働いている。委託契約が多いので、まず税制優遇措置は受けられない。国連は法的な資格があるかどうかではなく、中身で評価してくれている。年間100万ドル以上の委託を請け負って仕事をしている。国際社会ではこういうことをしてる実績があるのに、日本社会ではややこしい要件のために 優遇税制とかほとんど無理だという現状である。海外の大きなNGOと対抗して仕事をしていかなければいけないのに、この税制では日本のNGOが海外で活躍できない。
  • 宗教活動の禁止という要件がある。私たちは、キリスト教の精神に基づいて活動をしている。NPO法では、宗教活動を主たる活動としていなければ大丈夫なのだが、税制の方には禁止と書いてある。団体の精神を学ぶときに聖書を使ったりすることがある。これでは税制支援が受けられないのではと心配である。
  • 情報公開で、10万円以上の寄付者は名簿を一般閲覧するとされている。支援者の人々の住所、氏名が外に漏れると名簿業者にまわったりして、DMに使われたりとか、特定の支援者の方のプライバシーの侵害が考えられる。最悪の場合、支援者が私たちの支援を中止することも考えられる。この要件があると、申請すること自体を考えてしまう。
  • 私たちの法人では、先日、総会で申請を試みようかと話になったが、認定要件が厳しいこと以上に、「申請してくれるな」と支援者から言われた。寄付者名簿の公開が問題となった。名簿が名簿業者にわたるのは確実である。脱税目的であれば、税務署に報告することで十分ではないか。また、公開基準の10万円というのは金額的に低くて、支援者の気持ちを盛り下げてしまうことになる。
  • 要件に関して、国際協力に関係する団体からアンケートを行った。情報公開について、いろいろな書類を求められていて、プライバシーに関わることは、寄附意欲を減退させ、犯罪行為を誘発させることの恐れがある。認定目的だけに使用して、一般に閲覧させることは止めて欲しい。
  • パブリックサポートテストでは、3000円未満の足きりとか、助成金の2%の頭うちとか、規制が多すぎる。これでは、ほとんど3分の1をクリアできない。ハードルを低くして欲しい。分子に、ぜひ正会員の会費の額を入れてほしい。
  • パブリック・サポート・テストについて。アメリカでは確かに公益性を判断するものとして使われているが、助成金に関しては米国でも頭打ちはない。助成金は審査委員会などの審査を経ているのだから、助成金を多くもらうことで優遇税制を受けられないのはおかしな話。また、役員と社員に関しての寄附について、役員・社員の寄附が半数を超えるとカウントしないという要件がある。役員や社員が寄附を出すことは、団体を支えるための活動。認定を受けるために、社員の数を減らすのでは、非民主的な団体となってしまい、NPOらしくない。
  • まちづくり活動の支援をしている団体。同一市区町村内から寄付を受けれられるのは80%以下となっている。実態として、まちづくり活動は地域で活動をする。子供会、町内会、商工会などをサポートして、地域のコミュニティをサポートしていこうとしている。まちづくり活動をするNPOにとっては、マイナスになる要件。パブリックサポートテストに関しては、分母に算入して、分子に算入しないものに事業委託がある。自治体からの事業委託は多い。地域に密着したコミュニティーニーズの調査などを行い、大きな収入源になっている。このこともマイナスになる。まちづくり活動団体のほとんどが認定を受けられないのではないか。
  • 草の根の在宅福祉支援グループ。NPO支援税制については4つ問題を指摘したい。1つめは、会員要件。サービスの受益者を会員と同じとみなすというのは、現実的でない。これをはずして欲しい。2つめ、交通費程度の実費負担分はいいとなっていますが、ぜひ労働の対価にいたらない謝礼の部分も入れて欲しい。3つめ、3分の1要件の非現実性。福祉団体にアンケートをしたところ、全く該当しない。4つめ、みなし寄付金制度を実現して欲しい。
  • 福祉系NPO。今回の認定要件は、逆立ちしてもダメ。この要件は針の穴を通るように難しい。勉強すればするほどみんな怒っちゃって、どうなっているんだと言う。

■その他の税制に関して

  • 社会福祉法人とNPO法人との課税では公平性を欠いている。課税なら課税、非課税なら非課税と公平にしてほしい。
  • 特別土地保有税と固定資産税に関して。ナショナルトラスト活動で、北海道で湿原を保有しているNPO法人があり、13.5ヘクタールを持っている。開発行為をしないので、特別土地保有税がかかる。湿原で土地が建たないにも関わらず、税金がかかってくる。立法の趣旨は土地登記を防止することと記憶している。別のナショナルトラスト活動でも、山林を所有したために固定資産税がかかったりしている。これらの税制の見直しを考えていただきたい。

■所轄庁の対応について

  • 10件以上のNPO法人を求めに応じて作っているが、素人ではできない。手引きを見ても途方に暮れる。役所に相談に行くと、主観的な指導をする。認証制度には疑問がある。無用な指導はやめてほしい。
  • 所轄庁の定款例は過重な定款例を記載している。あれでは小さな団体が動けなくなる。

 最後に、松原が以下のようにまとめた。

 NPO支援税制の説明会を各地で開いていまる。出来たこと自体は評価するし、枠組み自体は良い。認定要件も明確になったことも良い。しかし、実際には、各地で説明をすると、みんな怒るのが現状。各地の団体にとっては出来たことは分かるけれども、自分の団体がうけられるかどうかが関心。そのことでいうと、仕組みとしてはいいところまでいきながら認定要件の細かいところで実態に合わなっていないという不幸なすれちがいが起きている。現場の団体には失望感が広まっている。一歩前進という評価にならない。早急に見直して欲しい。また、良くしていこうという方向性を早く打ち出して欲しい。

 これらの参加団体の意見に対して、出席した議員からは以下のような意見が出された。

  • 税制については、これからいいものにしていく。みなさんの要望を聞いて、直して行かなくてはいけない。ぜひ要望を聞かせていだだき、良いものにしていきたい。
  • 支援税制の実効性についての不満よく分かる。直せるところは10月までに直していきたいと思う。しかし、今回の税制にはいいこともある。つまり、これだけ文句が出ると言うことは、詳細に要件をオープンにしたからだと思う。昔なら、裁量行政でやっているうちにわけ分からなくなっていただから、今回は若手の役所の担当者の方が細かく書いてオープンにしようと言うことで頑張ってくれた。その努力はわかって欲しい。だからこそ文句が出るようになった。透明性は確保できた。(パブリックサポートテストの)2%頭打ちというのは、50人ぐらいは応援隊がいてほしいなと思っていたことからだ。だから、それが非現実的だとなると、また相談しなくてはならない。
  • 外務省や国連の委託が中心な団体は、一般の市民活動になるのかならないかという本質的な議論もあるのではないか。
  • 所轄庁の指導ということでは、趣味で指導している人がいる。
  • 法人制度が準則だと、原則課税にしないとおかしい。
  • 定款例も何種類もつくったらいい。中学の試験受けるのに大学の試験受けさせるようなもの。
  • 広域性要件で、同一市区町村内で80%未満はだめだという要件は、これから再検討しなくてはいけない。
  • 税制の要件がわかりにくいという点では、出発は議員立法からいっているのだから、もっと分かりやすくするのが我々議員の役目だ。
  • 今省令がまとまりつつありますから、財務省令の原案をチェックしないといけない。
  • パブリック・サポート・テストは、団体が一人二人の人に支配されないようにするというのが目的。それさえクリアすればいい。

 最後に加藤紘一議員が以下のようにしめくくって、ヒアリングは終了した。

 いろいろ参考になった。いろいろお聞きしている中で、本来こうなってほしいというところまでいくのに時間がかかるのだということも実感した。仮認定の話というのは、うまくセッティングできるのかということを考えてみたい。NPOも、小学校、中学校、大学と育っていくもの。大学の試験を受けられるようになったものだけが最初から合格という話は難しすぎるのかなと思った。それと、もう一つは田舎にいくとみえるんだけど、市役所の企画課にボランティア連絡協議会事務局みたいなものが置かれて、ぜんぶしきり始めることがある。しかし、よく考えてみると市長さんの選挙が近いとか。市の仕事を一緒にやるのもいいと思うけども、それが、新たなステータスになるような市民活動は育っていかないと思う。そこも考えながら支援税制もデザインしていかなければいけないんだろう。確かに、いろいろご不満もあるだろうが、パブリックは役所だけがするものと思ったところに、まずNPO法ができて、支援税制ができて、かなりの大きな一歩が生まれてきていると思っている。役所も頑張ってくれたと思っている。それをみんなで育てながら、より使いやすい物にしていかなければならない。それが我々の仕事かなと思っている。精一杯これから10月に向けて頑張っていきたい。

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