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2001年06月20日 10:00

行政 : 自民外交部会でもNPO税制が問題に

 

 

 自由民主党外交部会の「国際的NGOに関する小委員会(以下「NGO小委」と略)」(塩崎恭久委員長)は、6月20日、「NGOに対する税制措置等について」をテーマとする委員会を開催し、新しく導入が決まったNPO支援税制に関する国際協力NGOからのヒアリングを行った。

 ヒアリングに参加したのは、国際協力NGOセンター、ワールド・ビジョン・ジャパン、国境なき医師団日本、日本国際ボランティアセンター、ブリッジエーシアジャパン、シーズなど、9団体。

 国会議員約30名ほどに秘書、NGO関係者、外務省、内閣府など、70名ほどが出席した。

 最初に、塩崎委員長が、「今日は、新しく始まるNGOの税制問題に限って議論したい。9団体のNGOの皆さんの話を伺いたい。政令は3月30日に出たが、省令は、たぶん6月下旬に出ると言われている。意見をいただいて、それを見る際の参考にしたい」という趣旨の挨拶を行った。

 その後、参加団体が、認定NPO法人制度に関する意見を述べたが、ほとんどの団体が「制度ができたことは歓迎するが、この要件では自分の団体は認定を受けられない」と訴えた。

 意見は、認定要件に集中した。

 参加者から出された主な意見は以下の通り。

  • 現在、全国で大小合わせて約400の国際協力型NGOが活動している。欧米に比べて数は多いが、規模は比べ者にならない。今回の税制措置に関して、いくつかのNGOにアンケートしてみたが、ほとんどが今回の認定要件に合わないという結果が出ている。
  • 認定要件に、宗教活動を禁止する条項があるが、当会は、キリスト教の精神に基づいて活動している。団体の精神を学ぶということで聖書をスタッフの間で読んだりしたりする。これが引っかかってくるのではないかと心配である。NPO法の精神に合わせて、宗教活動を主たる活動としなければ税制の認定を受けれるようにしてほしい。
  • 10万円以上の寄付者の住所氏名を閲覧するようにするということだが、プライバシーの保護の問題がある。30万円とか50万円以上としてほしい。それならば、寄付者の数が限られてくるので、個別に理解を得ていくことも可能だ。
  • 寄付者名簿を閲覧する必要はどこにあるのか。DM業者に悪用されるだけではないか。
  • 閲覧をやめるか、閲覧するとしても個人の住所はやめて、氏名だけにしてほしい。
  • 認定要件に「寄付金の70%以上を特定非営利活動に係る事業に充てること」というのがある。これでは30%しか管理費に充てられない。助成金や補助金は、管理費に充てられない。だから管理費は募金でまかなっているのが現状である。管理業務の重要性を理解してほしい。
  • 寄付金の70%を事業費に充てろということだが、これは同一年度でこのような処理をしろということだと思う。寄付金は、ある年度にたくさん集まることがある。翌年度に繰り越せる仕組みにしてほしい。
  • この場合の、特定非営利活動に係る事業費とは何のことかわかりにくい。団体の活動として、事業費、間接費の他に、募金に要する費用というものがある。募金活動は重要であり、この経費を事業費として認めて欲しい。
  • 「海外に送金する場合は、事前に国税庁に届け出ること」という要件があるが、現在でも500万円以上を銀行経由で海外送金する場合は、日銀に報告することとなっている。これを利用して、銀行経由で報告できるようにしてほしい。いちいち届け出ていたら事務ができない。
  • 海外送金の届け出については、100万円以上送金する場合に届け出るなどといった下限を設けて欲しい。
  • UNHCRやUNDPから委託事業を受けている。パブリックサポートテストの算式において、これを受ければ受けるほど認定が受けれなくなるのは問題である。
  • 国連関係やJICAからの委託事業をもらうことが悪い(認定が受けにくくなる)というのは理解出来ない。
  • 正会員からの寄付をたくさん受けては認定が受けられなくなるとか、助成金がたくさん貰えば認定が受けられなくなるといった認定要件は、NGOが正しく発展することを妨げるものである。ここを変えて欲しい。
  • パブリックサポートテストの算式において、国際機関からの補助金の扱いが明記されていない。国や地方公共団体からの補助金と同等にしてほしい。
  • 規模の小さな団体では、この認定要件の書類を作るのは大変。英米みたいに規模の大小で、認定に必要な書類の数や精度を変えて、小さな団体でも認定が受けられるようにしてほしい。

 その後、出席した議員と質疑応答が行われた。

 主な質疑応答は以下の通り。

Q:海外送金の事前届け出は問題だという話だが、実際、一年にどれくらいの海外送金があるのか?

A:月2回としても、最低24回程度はある。

A:8カ所世界に事務所がある。月1回送金するとしても、それだけで、年間約100回になる。また、海外の状況は、毎月変わる。送金の額だけでなく、使途も書けということだが、それも難しい。

A:現地事務所は紛争地にある。それであまり現地事務所にお金を置いておかないような工夫をしている。その事情を理解してほしい。

Q:宗教活動が問題になるとはどういうことか?

A:国際協力型NGO400団体のうち、約20%は、宗教的精神に基づいて活動している。宗教活動の禁止の条項はどのように運用されるかによって、大きく分かれてくる。

内閣府:省令や運用でこれから明確にしていくべきだと考えている。

Q:寄付者名簿の公開はそれほど大きな問題なのか?

A:困る問題だ。結局、いくら以上の寄付した人は、名簿が公開されますよと明示して、寄付を集めることになるが、確実に寄付は減るだろう。

 委員会は、「次回も引き続きこの問題を検討したい」として、終了した。

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