行政 : 郵政民営化、ボランティア貯金維持を期待
8月2日、参院郵政民営化特別委員会において、谷合参議院議員が、民営化後の国際ボランティア貯金制度の存続を求める質問を行ったところ、生田日本郵政公社総裁は「こういう非常に質の高い貢献というものは必ず引き継いでくれるもの」と、存続に努力するとの回答を示した。
国際ボランティア貯金制度は、郵便貯金の利子の一部を利用者の同意を得て、民間の海外援助活動に寄付をする制度。
郵便貯金の通常貯金や通常貯蓄貯金の貯金者が、その受け取り利子から一部を寄附することに同意し、その寄附を日本郵政公社に委託して、郵政公社が、NGOや民間ボランティア団体に配分するという仕組みになっている。
「郵便貯金の利子の民間海外援助事業に対する寄附の委託に関する法律」(通称「ボランティア貯金法」)に基づいて、1991年よりスタートした。
現在のボランティア貯金制度の貯金の加入件数は、2713万件超。寄付金の配分総額は、今年で、総額8600万円が配分されている。
現在までの累計総額は、約181億円にのぼる。
今回の郵政民営化法案が成立した場合、この国際ボランティア貯金がどうなるのかが、NGO関係者から心配されていた。
8月2日、谷合正明参議院議員(公明党)が、このような状況を受けて、参院郵政民営化特別委員会において「民営化後の郵便貯金銀行がこのような国際ボランティア貯金のようなサービスを行うことが望ましい」として政府・郵政公社に見解を求めた。
委員会での答弁や法律案に基づいた、民営化(2007年4月1日)された場合の、ボランティア貯金の仕組みや政府の姿勢は以下の通り。
- 2006年分のボランティア貯金の利子は、郵便貯金管理機構が継承。
- ボランティア貯金は、2008年3月31日まで、管理機構が運用。
- 2008年4月1日以降は、新会社・郵便貯金銀行の経営判断。
- 実際は、2007年4月1日の郵便貯金銀行の発足時に、ボランティア貯金と同様なサービスを維持するかどうかを判断。
- 政府・郵政公社としては、制度の維持を期待。
回答の主要部分(抄)は以下のとおり。
○竹中郵政民営化担当大臣
「今回の(民営化)法案では、ボランティア貯金については、整備法の附則の中で、民営化後の貯金銀行に、民間の企業であるので、政府が特定の個別商品の提供を義務づけるということは民営化の趣旨にそぐわないということ、一方で、平成18年度分の寄付金が発生することから、この承継法人である独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構にその事務を行わせる経過措置を設けている。民営化後は、どのような金融商品を提供するかは、一義的に経営者の判断ということになるが、国際ボランティア貯金については、これまで、郵政公社が社会貢献の一環として提供してきたサービス、またそれによって培われてきた信頼感を維持していくということは経営にとって重要と考えられるので、しっかりした判断が行われるということを期待している。」
○生田日本郵政公社総裁
「私はこういう非常に質の高い貢献というのは必ず引き継いでくれるものというふうに思っておりますし、新しい経営陣の新しい経営理論の中に取り入れてもらえるように私も努力したい。まあ、余り努力しなくてもつないでくれるだろうと思っていおります。」
○小泉総理大臣
「義務付けるわけではありませんけれども、今あるこのような国際ボランティア貯金、あるいはこの国際ボランティア貯金に触発されてまた何か別のいいアイデアを開発して、いろんな面で貢献できるような商品が開発されるということを期待しております。」
谷合議員は、回答を受けて、以下のようにコメントしている。
「郵政民営化の議論で、衆議院・参議院を通じて初めて国際ボランティア貯金制度を取り上げた。郵政公社であろうと、未来の民営会社であろうと、ボランティア貯金の普遍的な使命があると考えている。この制度は、これからの市民社会にとってますます重要性が増してくるのは間違いない。私としては、これからも、制度の存続を働きかけていきたい。」