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2002年の報告

2007年08月29日 12:02

「市民セクターの信頼性の確保」への提言


2002年9月7日、「市民セクター全国会議2002」のオープニングで、シーズ事務局の徳永洋子が「市民セクターの信頼性の確保」への提言を発表した。以下に全文を掲載する。「市民セクター全国会議2002」のホームページでも、他の提言とあわせて、この提言の全文が掲載されている。


積極的な情報公開で信頼性の確保を

徳永 洋子(シーズ=市民活動を支える制度をつくる会)

<はじめに ~信頼性の確保の重要性~>

 特定非営利活動促進法の下の狭い意味でのNPO法人を含めて、非営利目的で公益のために活動する団体、いわゆる「NPO」と呼ばれる団体は、利潤追求を目的としていないため、企業のように採算にとらわれず、また、個々がもつ社会的使命の実現を目指しているので、行政のように画一的、平均的な活動とならず、柔軟、かつ機動的に活動できます。

 そのため、NPOは、福祉、環境、災害救援、国際協力、文化などの様々な分野で、その重要性が広く認識され、市民自身による社会づくりの自発的な担い手として、その役割が期待されています。

 NPOは、いわゆる市民セクターを構成するもので、その活動は、物心ともに市井の支援者に支えられており、それが存在意義だと言えます。

 NPOの資金源のうち、支援者からの会費、寄附金、対価収入は、比較的安定していて自由度が高い収入です。それに対して、企業や財団やからの助成金、行政からの補助金は、一時的、かつ使途が定められた資金で、資金を得られなくなったときに団体の継続ができなくなってしまうリスクがあります。

 しかも、こうした助成金・補助金は、急に拡大することの見込めない一個のパイのようなもので、NPO同士でその取り分を競っていても、市民セクター全体の経済的な拡大にはなりません。

 さらに、公的な助成金、行政の事業委託、企業の協賛金、業務委託に頼るばかりでは、活動自体が提供元の干渉を受けるものになり、市民活動としての自律性が阻まれる可能性が出てきます。

 また、市民が主体的に社会問題の解決等にかかわる場として、より多くの個人支援者から活動資金への寄附、ボランティア活動参加による協力の得られることが大切です。

 したがって、個々のNPOが、物心ともに恒常的に活動を支えてくれる支援者を増やすことは、その団体の経済的な安定と自律的な活動のみならず、市民セクターの活性化にも不可欠だと言えます。

 しかし、現実には、広く社会一般からNPOが支持を受けることは、そう簡単ではありません。新聞紙面にNPOが頻繁に登場し、行政や企業との協働事業も盛んになり、関心や期待感が高まっているにもかかわらず、こうした意識がNPOに対する個人の寄附やボランティア参加などの支援に十分結びついていないのはなぜでしょう。

 よく知られている伝統的な共同募金、マスコミ主導の募金に寄附が集中して、個々のNPOに対する寄附が集まらないのは、そのNPOがどのような団体なのか、その活動がどのように社会に役立っているのか、といった点が不明確で信頼できないからというのが理由でしょう。

 また、事業収入も、NPOへの信頼がなければ拡大しないでしょう。信頼できないところから物を買ったり、サービスを受けたりしないのは消費行動の基本です。

 ボランティア参加をしようと思っても、信頼できない人たちとは関りたくないと尻込みをすることになるでしょう。

 このように、NPOの信頼性の確保は、団体の人的・資金的組織基盤を固めるために大切なことです。そして、個々のNPOへの信頼が市民セクター全体への信頼性の確保につながり、市民活動の活性化をもたらすでしょう。

 そのために、個々のNPOにできることを3つ提言させていただきたいと思います。

<提言>

1)ホームページで情報公開をしよう!

 社会的な信頼性は、NPOが団体の状況を情報公開し、それをもとに支援者が判断していくことで確保されるものではないでしょうか。

 情報公開の義務は、特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法にも盛り込まれています。NPO法人の収支決算書や、役員名簿、事業報告書などは、毎年所轄庁への提出が義務付けられており、誰でも所轄庁に行けば閲覧できます。こうした情報を見ることで一般市民がそのNPO法人について判断し、支援していくというのがNPO法の趣旨です。

 さて、仮に、あるNPO法人を支援しようと考えて、関連情報を所轄庁に閲覧に行く人はいるでしょうか?口コミ、マスコミなどで知って、「さて、どうしようか…」といった段階で、わざわざ所轄庁に出向いてファイルを見る人は少ないと思います。

 そこでインターネットの活用が望まれます。経済産業省所管の経済産業研究所が今年7月に発表した「NPO法人アンケート調査結果報告」では、ホームページの開設は、4割のNPO法人にとどまっています。認証されたNPO法人は、所轄庁のホームページに掲載されていますが、掲載内容は、代表者名、所在地、定款上の目的程度で、毎年の事業報告などは所轄庁に出向いて閲覧するしかありません。

 積極的に支援者の信頼を得るためには、個々のNPOが一般の人が手軽にアクセスできるインターネットを活用して、活動紹介にとどまらず、総会の報告、年度ごとの会計報告、事業報告を自ら公開する事が不可欠だと思います。

2)自己評価と結果の公表をしよう!

 NPOの社会的責任として、1)で述べた、団体の現状についての情報公開にとどまらず、活動目的を具体的に公約して、そのためにどれだけの予算でどれだけの人がどう活動して、どこまで達成できたかを自己評価して、検証・総括した結果を外部に公表することが必要でしょう。

 強い使命感で活動すればするほど、活動内容が自己満足に陥り、公的なニーズ、公益からずれてくる恐れがあります。そうすると、支援者は拡大しません。

 また、活動の目標の中で、数値化できるものについて達成率を公表すれば、職員やボランティアの励みにもなり、活動内容を見直す折の手がかりにもなります。

 一方、個人寄付者が、どこに寄附をするか決定するにあたって、NPOを客観的に評価するシステムが必要だと言われ、自己評価ではなく、外部評価団体による評価基準や方法についての研究がおこなわれているようですが、NPOは独自の価値観にもとづいた使命のもとに成立しており、一元的に優劣を比較して「NPOミシュラン」というようにランク付けをしたり、成果を数値的に表現したりするのは無理ではないでしょうか。

 内閣府国民生活局による、平成13年度の調査報告「NPO活動の発展のための多様な評価システムの形成に向けて(NPO評価手法に関する調査報告書)」でも、評価によってNPOが業務改善や透明性などを確保して、支援者などとの信頼を醸成することが必要だとされるとともに、評価手法の多様性、要するに、「切り口によって、評価は変わる」ことが認められています。

 主体的な評価方法で自己評価して、その評価方法とともに結果を公表することは、そのNPOがどのような価値観でミッション達成を目指して、どこまで達成できているか、達成できないのは何が足りないかを説明することになります。

 「とにかく、いい事をしています。がんばります。支援してください!」と訴えるだけではなく、活動内容を冷静に自己評価して、マイナス面も含めて支援者に報告することは、団体の誠実さと聡明さをアピールすることになり、信頼性の確保につながるはずです。

3)「寄り合い」をつくろう!

 信頼性を確保するのに一番有効なのは、活動に参加してもらって、活動状況、事務局の運営状況を実際に見て、知ってもらうことです。「百聞は一見にしかず」です。

 参加者を増やすには、地の利を活かす、地域に根ざした広報活動が効果的ですが、活動の対象が、まちづくり、環境保護、住民サービスでないと、とかく地元住民との交流が薄くなりがちです。

 そこで、共存共栄を目指して、狭い地域、たとえば駅周辺、沿線、といった範囲のNPOが集まった「寄り合い」を作るのはどうでしょうか。

 地縁をもとに集まって協力することで、次のような効果が期待できます。

1. 地域情報の共有と活用

 「こんなイベントがあるらしいが、活動紹介のコーナーを作ってもらえないだろうか…」「無料で使える集会所があるから、一緒に何かしようか…」というような情報を共有して活用することで、活動の展開がはかれます。単独では参加できなくても集合体ということで参加が認められる地元のイベントがあるかもしれません。

 また、活動報告会、バザーなどをするにあたり、広すぎて単独ではもてあましてしまう自治体の集会場も、分かち合えば賑やかなイベント会場になり、それぞれの支援者が集まって、集客と盛り上がりが見込めます。

2. 地元メディアへのアピール

 地域の人集めに有効なメディアとして、ミニコミ誌、地元FM局、ケーブルテレビ局がありますが、そこで取り上げてもらうために、「地元NPOグループ」という点を強調して集団としてアピールすることで、紙面や番組に紹介してもらうことが可能かもしれません。

3. 広報活動の効率アップ

 互いに、チラシなどを支援者に配布することは、広報のチャンスが増えるという効果だけでなく、互いを保証しあうことにもなります。

 さらに、個々の団体の活動内容を盛り込んで、「地元のNPOを応援してください」といったチラシを共同で作れば、コストが「割り勘」になるだけでなく、単独では置いてもらえない公共の場所での配布が可能になるかもしれません。極端な話、駅前で配ったり、個々の家のポストに投げ込んだりしたとして、単独団体では「何?…怪しい…」と無視されるでしょうが、地域情報という形をとることで一読してもらえるかもしれません。

4. より広い対象への問題提起

 分野を超えて一緒に活動したり、団体の情報を交換したりすることによって、より広い対象への問題提起と関心の喚起が可能になり、支援者の拡大につながります。

 まずは、ご近所のNPOに声をかけて、折々に連絡を取り合って、定期的に集まることを目的にした「寄り合い」を作ってみてはいかがでしょう。

 「寄り合い」から生まれる知恵と工夫で、より多くの人を巻き込む活動が可能になると思います。

<まとめ ~積極的な情報公開で信頼性の確保を!~>

 上述の3項目は、どれも情報公開にかかわることです。自分たちが一体何をやっているかを、皆が理解できる言葉と方法で明らかにするということが、信頼性の確保の基本ではないでしょうか。

 社会的な信頼は、個々のNPOが団体の状況を情報公開し、それを人々が判断していくことによって生まれるもので、その積み重ねによって、市民セクター全体への信頼性が確保されていくことになると思います。

発表日:2002.09.07

掲載日:2002.10.02

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