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2006年の報告

2007年08月29日 16:03

シンポジウム「寄付者志向のNPOを目指して」報告

~NPOの信頼性をいかに確立するか~

 2006年3月20日、東京四ッ谷の主婦会館にて、シンポジウム「寄付者志向のNPOを目指して~NPOの信頼性をいかに確立するか~」(主催:シーズ=市民活動を支える制度をつくる会、助成:独立行政法人福祉医療機構 高齢者・障害者福祉基金)が開催された。

 このシンポジウムのコーディネーターは、シーズ事務局長松原明が務め、パネリストとして、赤塚和俊氏(公認会計士/税理士/NPO法人NPO会計税務専門家ネットワーク理事長)、石川治江氏(NPO法人ケア・センターやわらぎ代表理事)、早瀬昇氏(社会福祉法人大阪ボランティア協会事務局長)、日比野亨氏(株式会社東芝社会貢献室室長)、轟木洋子(シーズ・プログラムディレクター)が登壇。

 シンポジウム会場には、80名ほどのNPO関係者が集まり、関心の高さが伺えた。

 シンポジウム冒頭、シーズ・事務局長の松原とシーズ・プログラムディレクターの轟木が日本の寄付動向の現状や信頼性についてシーズ、内閣府、共同募金会のデータをもとに説明。

 NPO法人のうち93%は寄付収入が10%未満であり、今後寄付を中心に収入構造を組み立てたいとするNPOも5.9%と低い数字であることなどNPO側の寄付集めの意識の低さを表すデータが示された。一方、寄付者側からすると、NPOの寄付募集方法の実態や寄付者が寄付をしなかった理由の第1は「呼びかけがなかったから」であり、今後NPOに寄付をしたいかという問いには3割強が「したい」と回答されていることも紹介された。

 また寄付をした経験がある人に聞いた項目を見ると、寄付をした動機に「社会の役に立ちたい」「他人の役に立ちたい」というニーズがあることが説明された。

 NPOが寄付や会員を集める場合、団体のニーズからスタートして寄付集めをすることがほとんどだが、寄付者のニーズを見てNPOが寄付集めをするべきとの話がされたところで、パネルディスカッションに移った。

 パネルディスカッションでは、寄付者ニーズ、寄付者にとってのNPOの価値、NPOを寄付者志向にすること、信頼性に関するポイントなどについて議論が行われた。

赤塚氏:

 寄付をあてにしたいNPOと寄付をしてもいい人の間にすれちがいがある。NPO側には、寄付を求めるのを遠慮する傾向がある。また、多くはいいことをやっているから、理解してくれて当然という考えもある。遠慮と傲慢は、ある意味同じ。黙っていても理解して欲しいという意味で、共通している。
日本でどういう寄付が多いかというと、共同募金と赤十字。地縁、血縁、情緒に訴える寄付集めであるが、そのままでいいのか?

 日本の認定NPOは、2万6千のうちのたった40。制度のさらなる緩和が求められる。一昨年、アメリカのIRS(日本の国税庁にあたる組織)で長年務めてきたハント氏を招いたことがあり、そのとき、だまされて寄付したらどうすると聞いたら、自己責任だという回答だった。寄付者が確かな目を持つことが求められているようだった。

石川氏:

 実は、設立当初から寄付の呼びかけをしていない。寄付集めにはエネルギーが要る。まだ介護保険法がなかったころから、介護にとりくんでいるが、市長に会って助成金を求め、信頼を得る作業を行ってきた。

 信頼性という点では、ISO9001を取得。利用者から高い評価がある。ISOを使いこなせる組織は、信頼性が高まる。

 介護保険のない時代から地域の介護に取り組み、その中で、補助や助成金など対価性のないお金を得て活動を伸ばしてきた。使い道や効果を考えると寄付と同義で考えられる。

早瀬氏:

 募金集めには縁がある。33年前、現在のあしなが育英会(当時の交通遺児育英会)で街頭募金に立ったことある。募金のポイントは組織化であり、それはイコール信頼性。募金というのは距離感が大事。距離感が短くなると寄付をする。身内に弱い。データを見ると、近所から頼まれてという寄付動機が多いが、このことからも頷ける。近所の人、同僚、家族、知人の他に、テレビなどで頻繁に目にすることでも身近に感じる。

 ボランティア・プログラムの提供をしているが、ボランティアを何かしたいけど、何をしたいか分からないひとがいる。昔は、こういう人たちは問題意識が低いかのように捉えられていたが、それは間違っていた。これはNPO志向(メーカー志向的)発想だったと思う。今後はそうではなく、支援者志向のメニューを考えるべき。ボランティアは、自分を活かして、参加したい。参加の仕方を探しているのであって、活動分野は問うていない。この事例はボランティアについてだが、寄付でも同じことが言えるだろう。参加の仕方を切り開くことが大事。

日比野氏:

 寄付の決定の仕組み。企業が寄付を決定するには時期がある。今年4月からの寄付の枠は去年までには決まっている。1件ずつ決定がされ、社内の承認の手続きが必要。たとえ1万円でも専務の決裁がいる。活動に共感しても説明できないと、それで終わってしまう。世界中から寄付の要請がくる。基本はノー。大企業が5万円や10万円ぐらい簡単に出せるのではないかと思われるかもしれないが、そうはいかない。

 企業の社会貢献では単なる寄付はしない。満足感がないから。企業も社会貢献活動をしたいと思っている。だから、単にお金を出すのではやりがいを感じない。かといって自主プログラムは難しいので、一緒にできる事業の提案があるとありがたい。

 企業が寄付先を探すときはパートナーを探している。一度良好な関係ができれば発展する。信頼性を築いて寄付を集めるには、収支計画がしっかりしているか、企業の寄付はどれぐらいの割合で、全体像はどうなのか、数字を使った説得性が必要。

轟木:

 寄付というのは、寄付者と団体との交換関係だと考える。寄付者が一方的にお金を出して終わりということではなく、お金を受け取った団体が、寄付者に何を返していくのかが大事。たとえば、国際協力団体のなかには、寄付者と現地の子どもが文通などで交流できる仕組みを作っているところがある。寄付は領収証を送って終わりなのではない。先月来日した米国の寄付の専門家は、「寄付をもらったら7回のサンキューを言うように」と言っていた。

 企業でいえば、ぱれっとというNPO法人は、リーマン・ブラザーズ証券会社から支援を受けているが、これは寄付から始まったのではなく、社員ボランティアによる障害者と健常者向けの英会話教室から始まった。この活動で社員がやりがいを感じ、社風も変わったということだった。

 また、きちんと事業をしている団体は、活動のなかに必ず人の心を動かすメッセージがある。こうしたメッセージをきちんと発信することが大事だ。

 上記のように各パネリストから発言があった後、コーディネーターの松原が「寄付者にとってNPOの価値は何か」というテーマを提起し、各パネリストが以下のようなディスカッションを行った。

赤塚:

 消費者金融が駅前でティッシュ配っていて、果たして効果があるのかと思うが、実はテレビはイメージを植え付け、名前を覚えてもらうための手段。実際に客に来てもらうには、距離感を縮めることが大事。「今お金が必要だ」と思う人は、最後はティッシュをみて近くの店に入る。このように、身近に感じることが大切で、寄付にも同じこと言える。

石川:

 日々の活動では、寄付をなかなか思い描けない。エネルギーをかけられないということもある。寄付だけでは事業の継続性担保できない。しかし、寄付は、人々が参加する「面」にしていくことが大事だろう。

早瀬:

 ボランティア募集案内をユーザー志向にしようとしたら、たいへんな手間がかかる。情報は生もの。情報の更新を常にできないサイトではだめ。個々のNPOでは対応できない部分もある。

日比野:

 企業も社会貢献としてやりたいことがあるが、その専門ではない。だから、企業がやりたいけどやってくれるNPOを支援したい。これが、寄付をする側にとってのNPOの価値だろう。

 以上のようなディスカッションがあった後、コーディネーターの松原が、「寄付が必要かというと、やはり必要だ。多くの人が関わり、動いていく支援が大事。寄付は、NPOの活動に参加しませんかというアクションの呼びかけ。寄付は、人に対する働きかけだ。個々人で出来ることには限界あるが、社会のために役に立ちたいと思う人は多く、そうした人の思いを活かすことが寄付。寄付というチャンネルを通じて、一人でも多くの協力や参加を得ていくことが、NPOの発展、社会全体のためになることだ」とまとめた。

2006.04.27

【設立のご報告】
皆さまのご支援のおかげで、寄付文化の革新を目指す「日本ファンドレイジング協会」を、全国47都道府県の580人の発起人・360人の当日参加者の方と共に、2009年2月18日設立できました!
ご参加・ご支援ありがとうございました!

日本ファンドレイジング協会に関する今後の情報は、「日本ファンドレイジング協会オフィシャルブログ」をご覧ください!

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